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メカヲタ、初陣を圧勝する(改訂)

物語中盤以降を書き直しました。

二日かけてドラグナートに到着した僕達は直ぐに駐留している部隊を訪問した。

彼らは既にだいぶ疲弊した状態が続いているようで顔色が優れない兵士も複数存在していた。

部隊長である人間種のヴィネットと言う女性が迎えてくれたが、援軍が見当たらない事に失望していた。

「王はこの街を失っても良いとお考えなのでしょうか?」下士官がそんな事言っちゃダメでしょう、ましてここに守護竜様が来てるって言うのに。

「いいえ、ヴィネット。それはあなたの勘違いですよ。王はこの街に最大戦力を送ってよこされたのですから。」

やんわりとヴィネットの言葉を否定するメルフィーナ王女にヴィネットはどこにそんな戦力があるのか?と興奮気味に突っかかって来ている。

余程切羽詰まった状況なのだろう、回りくどい言い方では納得もできないだろうし早速防衛戦を構築してしまおうと僕は動き出す。

「彼が最高戦力です。」ドラゴンの幼成体を指さしそう言う王女に「確かに彼が居ればスタンピードは起こるでしょう。しかし敵の戦力はそれを上回っていると何度も上申致しました。」そこまで言った直後僕の向かった先でズシーン!っと大きな音が次々と起こる。

「敵襲かっ!!」とヴィネットは現場に急いだ。その後ろにエルフィーナとメイドゴーレム、執事ゴーレムが続きその後ろを騎士達とメイドが着いてきていた。

ヴィネットが走って現場に到着した時、そこには100機のストーンキャノンが既に設置を完了していた。


街の外壁上に30機、壁面下に70機のストーンキャノンが整然と並べられ各機体の横には山積みに石材が置かれている。

「いつの間にこんな戦力を?」ヴィネットは肩で息をしながらやっと到着したメルフィーナ王女に尋ねた。

「ですから申し上げました通り、彼の力です。彼は紛うことなき我らの守護竜なのですよ。」

幼成体の存在価値など今まではそれこそスタンピードのスイッチとしてくらいしか意味が無かった。

王都を守る最後の手段と言った立ち位置で、正直王都以外には何の恩恵も無かったと言える。成竜になってからは空を飛び火を噴く事で少なからず恩恵はあったが、今程戦力差があっては成竜が居たとしても戦力不足は変わらなかっただろう。

しかし、今期の守護竜は僕だ。

ドラゴンロードから魔力を託され、圧倒的な異世界の知識を引っさげた古代竜マキナである。

「このゴーレム達も戦力の一部に過ぎません。まだ切り札を彼は隠し持っています。」

そこまで話した所で僕がメルフィーナの所に戻ってきた。

僕は黒板を利用して「駐留部隊からゴーレム一体に3名ずつ石材を積む役割をお願いしたい。」と伝えた。

未だゴーレムの戦闘力に疑問を持っていた様だが、どこに敵の目があるか分からないこの前線でおいそれと試験運転は行えない。

その旨を説明しそれでも必ず圧勝してみせるからと、どうか信じて欲しいと伝えた。

これだけのゴーレムを瞬時に用意した時点で彼女に選択肢など無かった。

その日の内に担当するゴーレムを選択し、各ゴーレムに3名ずつ弾込めサポートを用意した。

残りの500名は予備兵力として陣の最後尾に待機して貰う事で合意した。

「くれぐれも先走って敵に近づかない様に,例え敵が接近してきたとしてもそのまま命有るまで待機!これを破った場合、利敵行為とみなして死刑も有り得る!」と伝えて貰った。

何せ弾幕を抜けた兵士の近くが一番危ないからね、皆さん約束守ってね。

こうして数日は何事も無く過ぎ去った。

3日目国境付近を巡回していた偵察班が敵部隊凡そ5000が越境し、こちらに向かっていると報告が入った。

数は5,000か、敵も愚かだな。

攻めるなら最大戦力で一気に打ち倒すべきだろう。

まして相手が新型兵器を出して来たなら、尚更だ。

僕は各ゴーレムに装弾する様命令した。

敵はこちらの射程も戦術も分かっていない。

案の定まだ遠いとみて今までの戦争通り布陣を組み始めている。

兵力は騎馬1200、弓1000、歩兵2000、魔道兵800と言った具合だ。

愚かな、そこは既に射程内だ。

敵の布陣が4割ほど完成した頃全ゴーレムに全力投石を命令した。

ドキュっ!!と投石の音とは思えない音を立てて石が敵を目指して真っ直ぐ飛んでいく。

100機のストーンキャノンが揃った動きで100発の投石を全力で発射した。

「続けて次弾発射、その後はこちらに向かってくる敵を優先して狙って随時発射。」

そこからは阿鼻叫喚だった。

初弾の全力投石は当たった者はその場で弾け人としての形を保っていなかった。

襲いかかる投石は早過ぎて盾で受け止める事さえ困難だった。

混乱し運悪く生き残ってしまった残兵は絶望的な距離を突撃させられる。

しかし隊列もろくに取れていない状況で、混乱した指揮系統も合わさりただの的に成り下がった神聖国軍は次々に投石の餌食となり倒れていった。

相手の弓さえろくに届かない距離で決着が着いてしまうという悲惨な程の圧勝だった。

凡そ3割の兵力を失った神聖国軍は漸く命令系統が回復し、全軍に撤退命令が出されバラバラになって撤退していった。


800人のドラグロード王国騎士は勝どきを上げ涙を流してその勝利を喜んでいた。


しかし僕はこのまま神聖国軍が完全撤退するとは考えていなかった。

彼らは必ず兵力を再編成しもう一度攻めて来ると確信していた。


おそらく敵はこのストーンキャノン達を移動出来るとは考えていない。

布陣を変更する前に手薄な面に対して騎馬による強襲をかけようと考えるだろう。

と言う事は次は残った7,000を二手に分けて二正面作戦に出るだろう。

そこでストーンキャノンの4割を一時回収残りはそのままの配置で迎撃を体制をとる。

4割のストーンキャノンは後出しで攻めてきた面に配置し攻撃を加え突破して来たところへ満を持してサイクロプスを投入するという流れだ。


正直彼ら神聖国軍に勝ち目など無い。

魔法が使えようと、ゴーレムを作れようと攻撃範囲に入らなければ意味は無いのだ。

この時代で彼らが出来る選択肢はそう多くない。

スピードで撹乱するか、夜襲をかけるかだが、ゴーレムに夜襲は意味が無い。

故にスピード重視で突破を図るしか無いのだ。

そしてそれで来ると分かっていれば対策は至極単純だ。


一晩明けて予想通り夜襲は無かった。


朝日が登り切った頃、敵軍は二手に分かれて進軍を開始した。先日と同じ面に2000、手薄な面に5000の兵力のようだ。そして僕の予想通り、騎馬兵を先頭に配置している。

兵力は騎馬2000、歩兵1500、魔道兵1500が手薄な面に。

弓兵1500と歩兵500が先日と同じ面に配置された。


「騎馬隊が接近してきました!」見張りの兵士が報告する。


僕は隠しておいた40機のストーンキャノンを騎馬兵の突撃面に配置、そのまま射撃を開始させる。

突如空中からゴーレムが現れ、目標面の防衛に入った事で一瞬の迷いが出た騎馬部隊だったが、数が40であった為そのまま突撃を行ってきている。

40機のストーンキャノンが次々と騎馬を吹き飛ばしているが弾幕が薄いのも事実。

2000居た騎馬は1700まで減ってはいたがここままのペースなら半数以上が壁面に到達出来る距離だった。


彼らの悪夢はここから始まった。

行けると確信して全速で走らせていた騎馬兵達は突然の衝撃に吹き飛ばされ、意味も分からず地面を転がった。


空から降り注ぐ50体のサイクロプス。その巨体を活かして敵騎馬兵の中央に着地。衝撃波と共に、周囲の兵士たちは吹き飛ばされていたのだ。

50機のサイクロプスは戦場を自由に駆け巡り、逃げる敵を次々と倒していく。

敵の魔法部隊がサイクロプスに魔法攻撃を撃っているがサイクロプスを誘い込む事になり、逃げることも出来ず倒されていく。


騎馬兵の残数では最早突破は不可能になっている。サイクロプスの目標が騎馬や魔道士から歩兵達に移り皆潰されていく。

僕はこれ以上の戦闘は意味が無いと判断し全ゴーレムを停止させた。


「全軍、投降せよ!これ以上の無駄な殺生は避けたい!」僕の指示でヴィネットが敵将に訴える。


しばらくの沈黙の後、敵軍の白旗が上がり始めた。戦いは終わったのだ。

7000近くいた神聖国軍は1300ほどになっていた。先日戦いと足せば8,700の損失が出ている。

圧勝するとは言ったが、僕は虐殺がしたいのでは無い。

だが必要であればそれも辞さないだけだ。

神聖国の全兵力は把握出来ていない。しかし今回の損失はあまりにも大きい。

宣戦布告無しに1万もの戦力を投じ、大敗を喫したのだ。

この始末をつけない訳にはいかないだろう。


この戦いを通じて僕が作ったゴーレム師団はそう簡単に突破される戦力では無いが、今回の様な臨機応変な対応には僕が居る必要がある。

多方面から攻撃を受けた場合、今回と同じレベルで対応するのは困難なのだ。

そのまま戦ったとしてもサイクロプスとストーンキャノンの組み合わせは有効なのは間違いない。

今後はこの兵力を指揮し戦える指揮官の育成が重要になってくると感じた。



僕は空を見上げた。これが本当の戦いの始まりなのだろう。


今後を考えると今持っているゴーレム師団の大半はこの街の防衛用に置いて行くべきだろう。


ヴィネットに指揮官としての素養が十分であれば良いが、指揮官養成学校を作り養成する事も必要だろう。


ゴーレム師団も新しい形を考えて行かねばならない。

攻略されてからでは開発は間に合わない。

常に新しくバージョンアップを重ねてこそ優秀な兵器となっていくのだ。


圧勝という初期の目的を達し、とりあえずの結果を出したことになったが僕は喜ぶ気にはなれなかった。

一方的に打ち倒した敵にも家族や仲間が居た事だろう。

敵と戦争をしているのだ、宣戦布告も無しに攻めてきた敵に情けをかけるつもりは全く無い。

それでも、多くの人が僕の力によって命を落とし、また救われた事を僕は忘れないだろう。

僕は守護竜だ。

守るべきものの為に、僕は力を振るう事を躊躇わない。


この初陣に僕はそう覚悟を決めた。

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(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク

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