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エッセイシリーズ

長編の下書きや設定資料、どう整理していますか?

作者: た~にゃん

 久方ぶりにエッセイが書きたくなりました。た~にゃんと申します。

 ちょっと聞いてみたいのですが、書き手の皆様は長編の下書きや設定資料はどのように作成し、整理しておられますでしょうか。

 こんなやり方あるよとか、こんなツールが役に立つよとか、こんなことに気をつけたらいいよとか、もしありましたら、ぜひご教示いただきたく。




◇◇◇◆◇◇◇




 とりあえず、現在自分が採用している諸々について書いてまいります。


━━━━━━━━━━━

①下書きツールについて

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 自分は長編の下書きや設定資料作成に、すべてメモ帳アプリを使っています。具体的にはGoogle Keep (メイン)とKeep My Notes (サブ)の二つ。以前はGmailの下書き機能を使っていましたが、一度不具合を起こして以降、そちらは使っていません。(ちなみに、執筆にはパソコンではなくAndroidスマホを使っています)


ー<Google Keepのいいところ>ー

 ・動作が軽く、フリーズしない

 ・データロストのリスクが低い

 ・文字数管理がしやすい

 ・メモを分類しやすい

ーーーーーーーーーーーーーーーー


 動作が軽くてフリーズしづらい。素晴らしきかな。執筆以外にも、生活のいろいろに使ってメモは増える一方ですが、それでもサクサク動きます。フリーズも以前に比べると格段に減りました。



 データロストのリスクが低いのもさすがGoogleさん。一度スマホをうっかり落下死させ「バックアップ……取ってなかったぁ」と半ば絶望して機種変した時も、アカウントを引き継いだら、ちゃんと落とす直前までのデータが復活しました。どんなにホッとしたことか。

 とはいえ、「絶対」はないので、ちょくちょくもう一つのアプリ(Keep My Notes)やなろうの下書きエピソードにバックアップを取ったり、Bluetoothでパソコンに送ってワードにコピペしてUSBメモリに保存し、それでも心配なときはめっちゃ圧縮してコンビニプリントしております。これで安心。



 Google Keepは一枚のメモに書ける文字数がマックス20000字で、文字数管理がしやすいです。章あたりメモ五枚を超えそうだと「ヤバい。冗長しとる」と気づけるわけですな。便利。

 ただ、残念なことにGoogle Keepには文字数カウント機能がないため、下書きをエピソード分割するときは、文字数カウント機能のあるKeep My Notesの方を使っています。Keep My Notesの方で、文字数調整や誤字脱字チェックなどをしてから、なろうに投稿、という流れですね。



 Google Keepにはラベル機能があります。ちなみにこんな感じに作っております。


挿絵(By みてみん)


 いわゆるフォルダみたいなものですね。ラベルを開くと、メモがズラッと出てきます。色分けしておくと、ラベル内の細かい分類も一目瞭然。


挿絵(By みてみん)


 一枚のメモにラベルを複数つける(重複登録)こともできるので、資料メモを使い回したいときにとても便利です。


 ただ、ラベル表示はひらがな先頭の五十音順。ラベルタイトル先頭を漢字にすると後ろ(スクロールしてずっと下方)に置かれてしまうため、そこは不便。現在執筆中の『翼の勇者』ラベルにわざわざひらがなの「あ」を入れていたり、本文の数字が01とか02とかあえて二桁になっているのも、アプリの仕様に合わせてでございます。

 ちなみにこの仕様はサブで使っているKeep My Notesもほぼ同じですね。ラベル(フォルダ)の並べ替え機能がありません。




◇◇◇◆◇◇◇




 皆様は執筆に何を使っておられますか? パソコン執筆派? スマホ執筆派? アプリはワードとか? それともメモ帳?


 アプリストアを見ても、メモ帳や執筆アプリ……それこそシナリオ執筆とか小説執筆に特化していたり、チャットGPTが組み込んであったり、たくさんの種類がリリースされているようです。


 自分は……チャットGPTは要らないかな。影響をモロに受けそうで怖い。だけど、キャラ相関図を作る機能には「いいなぁ」と憧れます。エクセルで自作はできるだろうけどそれはそれ(笑)。


 皆様はいかがでしょうか?





━━━━━━━━━

②設定資料について

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 長編を書くなら設定資料を作るのも必須……だって自作とはいえ、細かいこと全部覚えておけないもの(小声)。


 設定資料とひと口に言っても、いろいろな種類がありますよね。

 現在執筆中の『翼の勇者』(ハイファンタジー)で、自分が作った設定資料メモは以下のものです。



ーーーー<設定資料リスト>ーーーー

①キャラクターシート(全体・個別)

②地名リスト

③ネーミングネタリスト

④世界観設定資料

⑤表記統一リスト

⑥考察メモ

⑦自作へのダメ出し&保留ネタリスト

⑧地図(紙に手描きしたもの)

ーーーーーーーーーーーーーーーーー



 順番に見ていきましょう。


①キャラクターシート(全体・個別)


 物語に登場するキャラクターのフルネーム(長いと覚えられない)、見た目、性格、生い立ち、スキルなどを箇条書きにしています。 

 拙作『翼の勇者』の主人公リディアの設定はこんな風に書いてあります。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

リディア・レヴィ・コンコーネ


コンコーネ男爵の娘。姉。黒魔法『生き物を隠す魔法』を使う。属性魔法は一切使えない。(アイテムボックスも不可)

内気で大人しい、弱気。夢見がちなところあり。派手な格好が苦手。

こっくり深いローズブラウンのロングヘア。瞳の色はガーネット。人形のような愛らしい顔だち。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 見ての通り、主人公は貴族令嬢なもので、ミドルネームまでばっちりあります。フルネーム、長い。覚えられない。特にミドルネーム、絶対忘れる(笑)。

 たいていのキャラは本文中では名前のみの表記になりますもの。ミドルネーム、絶対忘れる(二回目)。

 他にも外せない&間違えられない設定を書いております。性格なんかはブレが出ると大変ですから。


 このメモの目的はミドルネームを忘れないため……以外にも大事な目的があります。

 こちらをご覧ください。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<01登場キャラ>メイン5、サブ1、章8

【メイン5】

リディア(ローズブラウン、茜目、ドールフェイス、18)

メリル(同上)

ジーン(オークブラウン、色白紅目、妖艶美貌、21)

ウィル(モルドレッド)(金、緑目、垂れ目つり眉、ワンコ系少年王子、15)

ヘレネ(銀、色白海目、神々しい、虚弱ヘタレ医師、22)


【サブ】1

パスカル(ガッシリ体型、使い魔、28)


【章】8

マックス(カナリア、甘い垂れ目、菫目、優男、22)

ノートン子爵夫人(叔母)

エミリアーヌ(赤毛、巨乳、苛烈、侯爵令嬢)

アグラヴェイン(病み窶れ、王妃)

レグルス(黒髪、涼やか目許、王太子)

シャルロッテ(黄土色バサバサ、ネコ耳、金目、ドラえもんカラーエプロンドレス、フランケン)

アイスローズ(水色サラサラ、クール、眼鏡、メイド)

ヤン(初老、会頭、慎重)   

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 長編で何が怖いか……? 

 それはズバリ、「キャラ被り」ではないでしょうか。少なくとも私はそう思います。

 考えてもみてください。金髪碧眼の、主人公を引き立てる太鼓持ちもしくは説明要員なアーノルド、アレクサンダー、アラン、アリス、アイリーン、アメリア……。似たり寄ったりキャラ大量発生に震えが止まらなくて夜しか眠れないでしょ?


 これを少しでも防ごうと、章ごとのキャラクターリストを作成。箇条書きで外見・性格・所属他特徴のメモのみ、見やすさ重視。モブならこれで十分です。あと、キャラクター数が多すぎても読者が混乱しますので、それを防ぐ目的もあります。


 このシートはあくまでも見やすさ重視。モブキャラの生い立ちの詳細や裏設定があれば、このメモとは別に個別メモを作っています。






②地名リスト


 ファンタジーな世界観なら、地名をイチから考えなくてはなりません。場合によっては位置関係も。そして、例によって私は横文字の地名を覚えられません。ちゃんとメモを取っておかないと、アとオとウの区別がぐちゃぐちゃになる自信があります。






③ネーミングネタリスト


 執筆中、手が止まる原因第一位ってこれじゃね?


 名前、決めてねえ!!


 ゴブリンとかハーピーとか、モンスターなら有名な種族名がいくつもありますから、そこまで困りません。でも、薬草名や素材名、花の名前虫の名前エリアボスの名前……。錬金術師とか薬師とかの職業ものも人気ですし、自分も書きたい! と勢いでプロットを作り、何でもないポーションの材料名で躓くという。


 ええ、私もですとも。


 ネット上に各言語のネーミングリストを載せているサイトもあります。でも、毎度毎度調べるの、面倒くさいですよね。書き手なら、書きたい情熱が醒めないうちに一気に書き上げてしまいたいもの。


 なので、使い回し可能なリストを作ることにしました。薬草や素材にありそうな形容詞(色とか触感とか)をダーッと思いつく限り日本語で書き出して、隙間時間でググッてはメモ、それらを「~の実」とか「~の花」等と組み合わせて、いかにもありそうな素材名を捏造。執筆に詰まった時、飽きた時に書き溜めています(下記)。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【薬草名アイデア】

オレウムの実(油脂系)

ジャッロの花

ピピタの木(イタリア語、ささくれ)

ミュミュル草(囁く、より)

イフェイオン(ハナニラ)

コルダータ(心臓形の、ラテン語)

アルテミシア(ヨモギの学名)

ルビア(茜の学名)

ペリーラ(紫蘇、荏胡麻の学名)

ウィス(力、ラテン語)

カロル(熱、ラテン語)

アギトagito(覚醒、挑戦、ラテン語)

アリウム(匂う、ラテン語、ネギ属、ニンニク)

ミラビリス(不思議な、素敵な、ラテン語、オシロイバナの学名)

スカブラ(葉茎のザラザラした~、ラテン語)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・              



 皆様はネーミングに困ったとき、どうしておられますか??






④世界観設定資料


 設定資料といえばコレ! お金の単位や物価、度量衡、移動速度、ギルドのルールや仕組み、宗教に歴史(年表)……考えることは山ほどあります。お金の単位や物価表、それから移動速度は、ナーロッパな世界観なら作品を問わず使えそうなので、③同様、使い回し用メモを作っています。






⑤表記統一リスト


 いわゆる表記揺れ対策です。括弧や区切り記号の使い分けルールとか、御者馭者どっちだ問題とか、呪文詠唱の書き方だとか、字下げルールとか。「これ、どっちで書こう?」を見つけ次第、書き留めておくようにしています。

 ただ、書いている最中は細かいことまで意識できていないことが多く、チェックが後手後手になり結局見落としている気もします。今後の課題。






⑥考察メモ


 内政ネタとか、因果関係を作る時――自分の場合、章プロットを作るときに作成します。

 自分は物語を作るとき、視野が狭くなっている気がするんです。せっかく「これいい!」とひねり出したストーリーに大穴があると凹むじゃないですか。なので、「○○という条件下で考えられること」みたいなテーマで思いつく限り書き出して、ストーリーを練っています。採用することもあれば、不採用お蔵入りになる考察もあります。






⑦自作へのダメ出し&保留ネタリスト


 自作を読み返した時、ここをもう少しなんとかできたら……! て感じることはありませんか? 私はしょっちゅうです。何か足りない、と感じたらメモに吐き出します。自作は自分にとって最高の妄想材料でなければならない(笑)……ので、満足できない箇所は容赦なくダメ出しです。

 保留ネタリストには、取り入れたいけどまだ本文に書けていないネタだったり、伏線未回収ネタをQ&A形式にして書き出してあります。処理できたら、どこそこに書いたと記入。メモしないと忘れるからね!


 こうして書き出してみるとマジで忘れっぽいな、自分! でも、整合性とか利便性(使い回し)を考えると、作らずにはいられないメモたちです。






⑧地図(紙に手描きしたもの)


 執筆中の『翼の勇者』は冒険ものなので、初めて真面目に地図を作成しました。はじめはノートに手描き。それをお絵描きアプリに取りこんでイラストにしました。ちなみにこんな感じ。


挿絵(By みてみん)


 今のところ、物語を書いてからそれに合わせて地図を描いています。文章ファースト。文を書く前に、大まかな地図イメージを頭に描くので、作成に難航したりはしないです。

 地図を描けば説明文だけではわかりにくい位置関係が伝わって良いだろう、ファンタジーらしい雰囲気も伝わるだろう、と思います。その一方で、ふんわり設定の方が矛盾点を指摘されにくくていいのでは? とも思ったり。


 皆様はどうでしょう。オモテに出す出さないは置いておいて、絵図を描く派ですか? それとも、イメージは脳内完結派ですか?




◇◇◇◆◇◇◇




 ここまでつらつら書いてきましたが、自分のやり方を人に勧めようって意図はないです。


 掃除や整理整頓のやり方と同様、たとえ有名人が「これいいよ!」と言っても、それが自分のスタイルに合うかどうかはわかりません。執筆スタイルも情報整理も、結局は自分に合うやり方がいちばんなのです。


 それはわかっています。でもでも!


 他の方がどうやっているのかは、それはそれで気になるじゃないですか。掃除や整理整頓のやり方がテレビで流れていれば、真似するかどうかはさておき、とりあえず見るでしょ? ウチはウチ、よそはよそ。でも他人様のやり方もちょこっと知りたい、みたいな(笑)


 普段はオモテに出さない、長編執筆の裏側。バックヤードのあれこれ。聞いたら……(。•ω<。)ダメ♡? 

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― 新着の感想 ―
∀・)なかなか興味深いエッセイだ。 ∀・)短篇はないしも長編のプロットはもっぱらノートにキャラクターや舞台のイメージ画像なんかを貼って楽しんでいたりしますね。「僕は」ですけども。 ∀・)小説を書く…
[良い点] 面白い! 人の環境って参考になりますね。 色々なツールを使っているところに驚きました。 地図がめっちゃかっこいいですね。おお! と思いました。 [一言] 私の場合は、ほぼWordに統一して…
[一言] 私は下書きはなろうの下書きに直接書いてます。 メリットはネットが繋がっているところであれば、どんな媒体でも書けることと、プレビュー機能で読者からはどう見えるのかが随時確認できることです。 デ…
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