1/1
タイトル未定2024/07/24 12:42
奇麗なものに昔から嫌悪感を抱いていた。奇麗な言葉、奇麗な行動すべてが信じられず嘘で塗り固められた偽善の塊のように思えた。汚いものにこそ、そこには裏表もなく安心を感じた。こんな自分はどこかおかしいのだろうか。純粋に純粋なものを信じられない、人との関わりを求めようとすればするほどその考えは強くなっていく。
奇麗なものは儚さを持っている。すぐに壊れてしまうのならいっそ汚いもののほうが純粋なのではないか
なぁ美麗、花火奇麗やね
隣でそういいながらはしゃぐ直人は大学に入って3か月たたないうちに付き合い始めたサークルの同期だ。
うん、奇麗やね
適当に相槌を打つ。恋人と花火を見てもいつからか胸が高鳴らなくなった。夜に美しく咲いたものが数秒立たずに消えていく、そんなものに儚さを感じ。来年も一緒にこの花火を見られるか分からない自分たちを投影してしまう。
最後に特大の花火が打ち上げられると会場にいた大勢の男女はすぐに帰宅の準備を始め数分後には駅まで続く長蛇の列ができていた。