詩集
後光
腕の中でねている顔を ふと見ると
ほのかに明るく 光っている
後光って 本当にあるんだ
教えてくれた 生まれて三月の
小さなあなた
こどもの こころ
「あぶないからやっちゃだめ」
「やめなさい」
「やめなさいって言ってるでしょ?」
同じことを 何度言っても
何度言っても わかってくれない
その 幼いこころで
許してくれる
何度も 何度も
同じ失敗ばかり 繰り返している
わたしのことを
嵐の雲が
見上げると、空一面に黒い雲。
台風接近。
そういえば、天気予報でいっていた。
上空は風が強くて、巨大な雲のかたまりが、どんどんどんどん流れてく。
怖いくらいの力強さで、流れてく。
真っ暗なのに、雲の内部にたしかに光があるのがわかる。
真っ黒なのに、エネルギーが雲の中からあふれてる。
こういうものを、わたしはほかにも知っている。
いつだっけ。
いつどこで、知ったんだっけと思ったら……。
あれに似ている、あの感じ。
身ごもっていた日の、あの感じ。
見知らぬ生命が、押し寄せてくる、あの感じ。
ここではない、どこかで
おなかの赤ちゃんが、私をおかあさんにえらんでくれた。
そういう言葉を、どこかで読んだことがあります。
すてきだな、いいなあって心がほっこりしたけれど。
でも、それだけじゃないよね。
この子が私をえらんでくれた。
だけど、私だってこの子をえらんだ。
私がえらんだ。たくさんの生命の中から。
ほら、子犬とか子猫とかと出会ったときにもあるでしょう。
いっぱいいるのに、なぜかたった一匹と目があって、
あ、
と思う瞬間が。両想いの一瞬が。
そういう時間が、あったかもしれない。
ここではない、どこかの場所で。