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第7話

「む。せっかくのワンピースに泥がついてしまってるな。これを拭いて、と。ツインテールも乱れてるから、整えてやるか」


「変態……」


  気絶しているリミュの服装や髪の乱れを直している俺に、リーフェが軽蔑の目を向けている。


「ケイブくんは変態なの?」


  ナホーティアは純粋な目で見つめてくる。


「変態じゃねーよ! なんか今朝から服とかベッドとかが乱れてると、気になって気になって仕方がないんだ」


  ここで、キャロンがわざとらしく咳払いをする。


「それについては、このキャロンが説明致しましょう! 恐らく、授かったスキルに性格が影響を受けているのだと考えられます」


「整理整頓スキルを授かったから、整理整頓が好きな性格になった、っていうことか?」


「ご明察です! スキルとはそういうものなのです。次第に、スキルにふさわしい人格になっていくのですよ」


  なるほど。そういえばリミュも剣豪のスキルを授かってから、男勝りになった気がする。


  俺の整理整頓好きは、我ながらちょっと度が過ぎている気もするが。これもスキルのせいなのだろう。


「確かに。私も分析のスキルを授かってから、物事を深く見つめるようになった気がするわ」


  メガネをくいっと手で上げながら、リーフェは軽くうなずく。長めのイヤリングと、肩までかかる青みがかった髪が揺れる。胸元が開いたドレスを着ているせいか、仕草が色っぽい。


  リーフェは魔法儀で水術士と判明し、分析と魔導士のスキルを授かっていた。リミュもそうだが、二つのスキルを授かっている人物は天才扱いされるのが常である。


  特に分析はかなりのレアスキルらしい。相手の攻撃や弱点を見極めるトンデモ効果があるそうだ。


「それでは次は私の番ね」


「おう! 俺のスキルを笑ったこと、後悔させてやるぜ」


  リーフェは深呼吸をして、両手を胸の前で組む。すると、身体から青い寂光が発せられた。


「リーフェは分析する。該当座標K166、M337、魔法粒子率15.7%、地系粒子率33.5%、水系粒子率30.2%、火系粒子率4.5%、風系粒子率31.8%、攻撃対象ケイブ・クオーツカスの内在魔法粒子率45.6%、魔法粒子分布図を展開。魔法粒子量が最も低い弱点を確認。分析者の名に於いて適正魔法を行使。水魔法ウォーターストライク発動!」


ーーやばい。何かがくる!


  俺は魔法が発射される前に先制攻撃を加えるべくリーフェに突進する。


  リーフェは流れるような動作で両手を上に掲げた後、片手のみを俺に向けた。透明な水の膜がリーフェを覆う。キラキラと宝石のように輝くベールを身に纏っているようで、思わず俺は見とれた。


  すると、優雅な白鳥の形をした水の塊が掌から発射され、真っ直ぐ俺に向かって飛んできた。


「クエエエエエエエエエッ!」


  鋭い雄叫びを上げる白鳥は全身から光が溢れており高貴なオーラを放っている。慌てて剣で振り払うが、びくともしない。


  そしてーー!




「おふっ」




  白鳥が俺の股間に激突した。


  あまりの衝撃に悶絶し、地面を転げ回る。キャロンとナホーティアは呆然として言葉も出ない。


「す、すまない」


  リーフェはちょっと顔を赤くしてポツリと謝ってきた。


「ちくしょー! いてえ!!」


「分析は、相手の弱点をロックオンして魔法を放つスキルだ。分析の結果、判明した弱点が、、、そこだったわけだな」


「それ、スキルで分析する必要ある??」


  全男性共有の弱点なのだから、スキルを使わずとも解りそうなものだが。魔法粒子率がどうとか言っていたが、完全に要らない情報だと思う。


「ふざけやがって! 何倍にもして返してやる」


「変態……」


「変態じゃねえ! 俺の痛みを思いしれえええ!」


  涙ながらにリーフェに突っ込んでいく。痛みがまだ引いていないので、脚がもつれている。


  すると、リーフェは再び両手を胸の前に組んだ。


「リーフェは分析する。該当座標K166、M337、魔法粒子率16.3%、地系粒子率35.3%、水系粒子率29.1%、火系粒子率4.4%、風系粒子率31.2%、攻撃対象ケイブ・クオーツカスの内在魔法粒子率23.1%、魔法粒子分布図を展開。魔法粒子量が最も低い弱点を確認。分析者の名に於いて適正魔法を行使。水魔法ウォーターストライク発動!」


「クエエエエエエエエエッ!」


  再び優雅な白鳥が飛来する。翼をバタバタとはためかせ、一直線に俺へと向かって来る。


  そしてーー!




「おふっ」




  白鳥は、再度俺の股間をついばんだ。


  激痛で言葉も出ない。


「すまない。やはり結果は同じだったようだ」


「すまないじゃすまねえ!! 分析する必要無いだろう。使う魔法だって前と同じじゃねえか」


「私はウォーターストライクしか使えない」


「余計に分析する必要がねえええ! 何が『適正魔法を行使』だ。完全にネタスキルだろ!」


「何がネタスキルだ! 寝言は、お前のお粗末なスキルで私に勝ってから言うんだな。リーフェは分析するーー」


「ひいいいいいいっ!」


  俺は分析スキルの詠唱を最後まで聞くことなく、リーフェに背中を向けて逃げ出した。


「クエエエエエエエエエッ!」


  白鳥の目線は、完全に俺の股間を射抜いている。すると、整理整頓スキルが俺にささやいてきた。


『忠告。剣は絶対に手放さないで下さい』


「なんでだよ!白鳥さんに追いつかれるじゃねえか!逃げるなと言うのなら、リーフェに勝つ方法を教えてくれよ!」


『承知致しました。乳デカむっつり女のクソスキルを打破する最適な思考を誘導します』


ーーあれ?もしかしてお粗末スキルと侮辱されたことに怒っているのだろうか。


『剣を持ったまま、乳デカ女の半径五メートル以内に近づいて下さい』


「わかった! うおおおおおお!」


  今や俺は整理整頓スキルに全幅の信頼を寄せている。逃げるかと思った俺が突然近づいてきて、リーフェは驚いている様子だ。


『対象の半径五メートル以内の接近を確認。雷魔法を自動発動します』


  整理整頓スキルの声が響くと同時に俺の剣に電気が流れる。


  その瞬間、リーフェの背後にあったリミュの鉄剣が俺に引き寄せられた!リミュの時と同様に、鉄剣を電磁石にしたのだろう。


「ああっ!」


  引き寄せられた鉄剣はリーフェの背中を直撃。この最大のチャンスを俺は逃さなかった。リーフェに向けて雷魔法を放出!


「ぐああああっ!!」


  地面に倒れ伏すリーフェ。痛みに顔を歪めつつ、悔しそうに俺を見つめる。


「私の敗けだ。さあ、好きにするがいい」


「いやいや、そんな嫌らしいことはしねえよ! ただ、お前の服の乱れは直させてもらおうか……」


  覚悟したように目を瞑るリーフェ。その時だった。


「ケイブくん、あぶない!」


「クエエエエエエエエエッ!」




「おふっ」




  白鳥さんが俺の股間にストライクした。


  分析スキルにより放たれた魔法は、対象を攻撃するまで消えないらしい。




  早く言ってよ……




  俺は目の前が真っ白になった。

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