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第2話

 魔法儀の当日。


 ケイブはいまだ記憶が混濁している状態だった。


 近藤雄二としての32年間と、ケイブ・クオーツカスとしての15年間の記憶が同時に存在している。


 ケイブが生きるキングウェル王国は、地球とは別の星にあるようだ。居城から見える夜空の星々は地球のそれとは異なり、色とりどりの煌めきがある。


 ケイブは近藤雄二の生々しい記憶に戸惑いながらも、魔法儀へと向かう支度を調えた。


 魔法儀は、その貴族の住む街で一番大きな教会で行われる。教会長の取り次ぎにより、魔法の適正を見定める。


 魔法は、次の6種類から成る。


 地、水、火、風、光、闇


 上記のうち、地、水、火、風、いずれか1つは必ず適正があることになっている。


 そして才能がある者は、光、闇の適正も加えて持っている。


 魔法とは、自然に流れるエネルギーそのものである。生きとし生けるものには、必ず備わっている力だ。


 人間に宿る魔法エネルギーは微々たるものだが、世界を構成する地水火風の四大元素から得られる魔法力は莫大だ。


 人間が持つ魔法エネルギーを媒介として、大自然の魔法エネルギーを動かすことが、この世界の魔法の定義である。


 また、歴史に名を残す大魔導師の中には、星魔法を使えた者もいたそうだ。


 夜空の星から魔法エネルギーを借りて魔法力を行使したのだという。理論上は可能だが、余程の天賦の才が必要であることは想像に難くない。


 面白いことに、水辺に住む人々は水属性の適正があり、鍛冶職人は代々火属性の適正を持つ者が大半である。(ただし、魔法儀を受けることが出来るのは原則貴族のみである)


 この事実により、地、水、火、風の中で、一番馴染みが深いものに適正を持つようになると推測されている。


 ケイブが生きる世界は電気などなく、自然と共生している。なので、人々は地面や水、火、風と直に接して生きているといえる。


 以上より、四大元素のエネルギーに深く接することが、魔法を使いこなす第一歩なのである。



 教会長は眉毛まで全て白髪の老人である。純白のローブに身を包み、ケイブの手を取る。


「ケイブ・クオーツカス様。それではこの魔法陣の中心にお立ち下さい」


 ケイブが中心に立つ円形の魔方陣は、60度の角度で6等分されている。


 それぞれのスペースに、地、水、火、風、光、闇、と魔法文字で書かれている。


「目を閉じて祈りを込め、この蓮華を上に放り投げて下さい。蓮華が落ちた場所が、ケイブ様の適正がある魔法となります」


 魔方陣と特殊な魔法文字により、必ず適正がある属性へと蓮華が落ちる仕組みになっているようだ。


 目を閉じて祈りを捧げ、ケイブは蓮華を放った。ケルンやキャロンも目を放さず見つめている。


 蓮華は花弁を散らし、3つの箇所に落ちた。


 光と闇。


 そして、もう1つはーーーー


 何と、魔方陣の外側だった。

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