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メンクイだけど、君が好き

白いドレスに、コーラルカラーで仕上げた化粧。


着てるだけでも重いけど、それでも今の格好は女の子の憧れだ。


「なっづん〜〜〜!!!おめでど〜〜〜〜!!!!」


「なっつん、幸せになるんだよ」


桃菜とみおりんそ言葉に、ちょっと目がウルッときちゃったんだけど!


化粧崩れるから泣けないっていうのに!


特に桃菜の泣き顔はなかなかなもんだ。


「わだじのどぎはなっづんをよべなぐでごめんねぇぇぇぇ」


「ごめん、かなり聞き取りにくい」


桃菜の結婚式の時は、式の前に桃菜の同僚で仲良い人達が桃菜の元に来てたみたいだった。


中々入れそうになかったから、みおりんも私も遠慮してたんだよね。


今回は、私の本当に仲良いと思ってる2人には絶対に先に見てもらいたかったの。


「夏美ぃぃぃぃぃぃ!!!お姉ちゃん心配よぉぉぉぉぉぉ私より先に行っちゃうなんてぇぇぇぇぇぇ!!!!」


シスコンな姉よ、その言い方だとかなり不吉だからやめてくれないかな?


「お姉ちゃんだって婚約したでしょ?」


「そうだけど…」


正直なところ、私は姉が本当に結婚できるのか(旦那さんを支えられるのか、とかの意味で)、正直心配だからね!!!


「ほら!なにのんびりしてるの!うちのお父さん待ってるからね!早くしなさい!」


お母さんの言葉に、私は裾を少し持ち上げて、立ち上がった。


「うん、今いくね」








久しぶりにお父さんとこうやって並んで歩く。


一歩ずつ、踏みしめるように。


後ろで親戚の小さい子たちが裾を持ちながら歩く。


私が向かう先には、新郎が待ってる。


何着てもカッコいいと思うけど、今日は今までで最高潮にカッコいい。


「夏美」


最高にカッコイイ新郎の前まで行くと、小さな声で私の名前を言う。


______今日、この人と結婚する。


こんな日が来るなんて、数年前の自分には絶対に想像なんて出来なかった。


出会った時は、ただカッコいい人だな、としか思わなかった。


でも、話してるうちに、趣味も、性格も合ういい人だってわかった。


あなたから、たくさん話しかけてくれたよね。


今思うと全部、私のためにしてくれてたんだよね。


それでもあなたの気持ちに確信を持つことは出来なかった。


だって、あなたはこんなにもカッコいいんだから。


今までイケメンのことを信用できなかったところだってあった。


トラウマにもなってた。


それを、あなたは違うよと、教えてくれた。


「今日という日に、来ていただいた多くの方々が見てくれている前で、もう一度プロポーズしたいと思います。


お付き合いをする中で、夏美さんと過ごすことにどんなに居心地の良さを感じたかわかりません。


ずっと一緒にいるなら夏美さんしかいないと思いました。一緒に幸せになりましょう。結婚してください。」


_____龍也さん、今まで、本当にありがとう。


これからも、よろしくね。


私達、幸せになろうね。


「よろしくお願いします」


いけない、涙が出そう。


今は泣いちゃダメ。


指輪交換の時間になった。


一緒に選んだ、結婚指輪。


龍也さんの手は少しだけ震えてた。


私も同じだ。


みんなの前でこういうことをするのには、気恥ずかしいのもあるけど、緊張の方が大きい。


「それでは誓いのキスを」


ベールを龍也さんがあげる。


少しの間、私たちは見つめ合う。


龍也さんの顔が、私の顔に近づいてくる。


私も近づいて、唇に、しっかりとキスした。








私は、メンクイだ。


そんな私が龍也さんを選んだのは、メンクイだから、じゃない。


メンクイだけど、性格が合うから、あなたが好きなの。


顔なんて、好きになる理由にはならない。


顔がいいから恋愛対象外だとか、そんなことを言ってた私はある意味顔のことを気にしすぎてた。


愛って、こういうものなんだよね?







__________


_____


__


「北川さん〜こっちの処理、お願いします!」


「え!?それより期限が迫ってるものいくつかあるでしょ!?」


「すいません!」


結婚してから、1年くらいが経った。


結婚しても、まだ旧姓のままで仕事もバリバリやっていた。


「アムコニに連絡は!?」


「済ませてます!」


プロジェクトの方は、やっと終わりの構想が見えて来たくらいで、でもまだ半分くらいしか終わってない。


「これもあれもあるからね!」


「はい!」


仕事に集中してるのは、今だって何も変わってない。








「夏美、そろそろ子ども欲しくない?」


家に帰ると、夕食を食べてる時に龍也さんがそんなことを言い出した。


「え、今?」


「もう結婚して1年目くらいだろ?


子育てだって俺、手伝うから」


子ども、ねぇ…


結婚する前も色々考えた時にどうしようかって思ったんだよね。


「龍也さんは欲しいの?」


「俺は欲しいし、夏美だって2人以上欲しいんだろ?」


うっ。


2人以上の下り、私がお義父さんに間違えて言っちゃったあの言葉から言ってるよね!?


恥ずかしい!!!!あれは黒歴史!!


「そりゃ、龍也さんにそっくりな子どもとか、可愛すぎてやばいとは思うけど…」


想像するだけで、たまらんく可愛いしメロメロになりそうと思うけど…


「仕事だって続ければいいし、産休とか育休とか使えばいいよ」


でも、その間のリーダーは誰がやるの?


とか、そんなこと考えると、どうしても消極的になっちゃう。


「そうかもしれないけど…」


「お願いだ!早く2人の子どもが欲しい!」


どうも、同僚が自分の子どもの写真を見せてきて、溺愛してるのを見て自分にも欲しくなったみたい。


わかるよ、わかる。


…正直なところ、仕事のことがなければ子どもは欲しい。


「でも、赤ちゃんは授かりものだから…


簡単にできるものじゃないと思うけど…」


「それまで頑張ればいい!」


…もう!根負け!


「わかった、今日から妊活しよう」


今まで避妊ばっかりしておいて、妊活って言葉はおかしいかもしれないけど、私はそう宣言して、本格的な『赤ちゃんお迎え計画』が始まった。








「あっ…」



ギシギシと鳴るベッド。


特に私が忙しくて、久しぶりに2人揃って布団に入るのは2週間ぶりかな。


「夏美っ…」


私の顔を見ながら、必死に動いている龍也さんは、久しぶりに見たからなのか、かなり色っぽく感じて、私までこれ以上ムラムラしちゃうじゃん。


そんな愛しい旦那さんの首に手を回す。


「ギュッとして…?」


私の言葉に、龍也さんは胸がガッツリ龍也さんの身体にくっつくぐらいまで近づく。


「私達の子ども…龍也さんに似た子がいいな…


そしたら龍也さんまで嫉妬しちゃうくらいメロメロになっちゃう」


「俺は夏美に似た女の子が欲しいな…


…いや、男の子も女の子も欲しい」


「あっ…やめっ…」


「やめないから」


龍也さんの動きが激しくなる。


そして、最後に抱きしめる腕に力が入るのを感じてから、私達は投げ捨てた服とかを着たり、掛け布団を整えて、抱き合って寝た。










それは、いつも通りの朝だった。


「今日は早いの?」


「今日は日帰り出張だからね」


龍也さんがいつもの1時間前に出発したのを見て、私は優雅に飲むヨーグルトでも飲んでる。


いつもならコーヒーとか紅茶とか飲みたいところだけど、曲がりなりにも妊活中だから、変なものは食べられないし、飲めない。


「そういえば最近生理こなかったな…」


いつ以来だろう、1ヶ月半?


_______それ、流石におかしくない?


急いで、スケジュール表を見て最終月経日を確認する。


…勘違いじゃない、かなり生理が遅れてる。


気のせい?でも、今回妊娠してるかも…?


一応念のため買っておいた検査薬を持って、トイレに走る。


「……」


こんな風に、知るんだ。


ずっと、テレビとかでつわりがあって検査薬使って、とかそんなものだと勘違いしてた。


「遂に…」


私達夫婦にも子どもが…!!!!


どうしよ、これ早く伝えたいけど!!!!!


さっき行ったばかりじゃんね、今連絡したら出張なんて放り出してうちに帰ってくるに一票。


でもそんなことにでもなったら、会社に迷惑かける!!!!


私としては嬉しいけど!!!!!


「あ…」


会社で思い出したよ、


私も今日普通に会社あるじゃん…


体調悪いわけじゃないし、と思いながら、行く支度を始めた。


いつもと同じはずの玄関が、明るい日差しを浴びて輝いて見える、


そんな錯覚に陥るほど、私の世界は輝いて見えたんだ。







出会って3年ちょい、


付き合って2年半、


結婚して1年半、


________そんな私達家族は、新たな1人を迎えてまた一歩進んでいく。






Fin.

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