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魔導帝国の英雄譚 〜そして少年は英雄になる〜  作者: 愚者
1章 学院生活編(上)~魔法嫌いの剣士~
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27話 秘奥、開帳す

 

 ――ヴァイス=ノルツァーは戦禍に包まれる学院を一人、悠々と歩いていた。手癖の悪い赤髪の少女が置き土産に放ったゴーレム達を瞬時に石くずに変えた彼は「信徒」に簡単な指示を与えた後、こうして単独行動に乗り出していたのである。


(計画は概ね順調。魔導演習場の方では教師達が主軸に生き残りが防衛陣地を構築しており、攻略しているこちら側にも少なからず被害が出ているようですが、彼らは放置していても問題ない存在。学院が保有している「遺物」の奪取も順調に進んでいますし、結界も維持するのが辛くなってくる時間。そろそろ潮時かもしれませんね)


 だが、事が上手く運んでいる時ほど思わぬ横やりが入り、全てを台無しにする。それをよく知っているヴァイスは片時も警戒を怠らない。そんな彼の気掛かりな事と言えば、自分の凶刃から逃げおおせ、未だ所在が判明しない三人の学生の事だ。


(一度は逃げたコロナ=イグニス達が戻って来たのは少々驚かされましたが、問題ありません。グラムに秘められた「人工精霊」の「不浄」を受けたアクト君はまともに動けないし、よしんば回復出来たとしてもあのような雑魚に負ける筈がありません)


 それでも得体の知れないあの上位精霊の事もある。危険な芽は徹底的に排除しておくのが道理だろう。元々、コロナについては襲撃に乗じて抹殺する予定だったし、多少予定が崩れても自分なら難なく修正出来る。そんな事をヴァイスが考えているその時だった。


「あれは……!」


 突如、学院の敷地内から轟ッ! と圧倒的火勢を誇る灼熱の火柱が天高く立ち昇った。火柱は実に十数秒以上赤く燃え続け、時間経過で魔素と大量の火の粉となって消滅する。突き破られた曇天の隙間からは太陽の温かな光が学院に降り注いだ。


 大火力の炎熱系魔法。そんな物を操れるのは学院の教師でも無ければ絶対に無理だ。だが、この状況で教師がわざわざ目立つような真似をする必要性が無い。勿論、操り人形の廃人に過ぎない「信徒」でもあれだけの火力を出すのは不可能、ならば一体誰が……


「……まさか、僕を誘っているのか?」


 一つの可能性に至ったヴァイスの脳裏に、とある少女の姿が思い浮かぶ。熱と炎を司る彼の世界的魔法大家、その全てを継いだ少女ならば不可能な芸当では無いのかもしれない。


「……良いでしょう。そちらがその気なら、こちらも全力で叩き潰すまでです」


 確信があった。あの火柱の下には自分が探していた人物達が待ち構えていると。先の戦闘でかなりの熱を帯び、急速冷却していた魔導義体に第一段階で稼働を命じる。重厚な駆動音が生じると共に激しい戦意を漲らせながら、ヴァイスはその場所に向かうのだった。


 ◆◇◆◇◆◇


 学院の一角に、ある建物があった。建築素材としてはメジャーな大理石で造られたそれは荘厳さを感じさせつつも調和の取れた空間だった。左右に等間隔で並べられた長椅子を挟んで中央に真っ赤な絨毯が奥の祭壇まで続いており、壁には色鮮やかなステンドグラスが一面に張られている。


 外では激しい戦闘が行われているにも関わらず、その建物は争いとは無関係のように静謐さと秩序で満たされていた。


 だが、一つ特筆すべき点として……その建物の天井には大きな()がぽっかりと開けられており、曇天の隙間から差す陽光が内部を温かく照らしていた。その様はまるで天上から舞い降りる神の後光のようで、ある種の神々しさを醸し出していた。


 演習場や大図書館など、ガラード帝国魔法学院は敷地内に様々な主要施設を抱えている。時として神に真っ向から喧嘩を売るような真似をするのが魔道士だが、信心深き魔道士も居るには居る。そんな魔道士の卵たる学院生の為に建てられたのがこの礼拝堂だ。


「――来たわね」

「……ああ」


 其処には、長椅子に腰掛ける二人の男女――アクトとコロナが居た。アクトの方は既にエクスを聖剣状態にして待機しており、コロナも総身を巡る魔力を熾して、両者共に戦闘準備万端といった様子で、礼拝堂の入り口に立つその男――ヴァイスを睨み据えていた。


「やはりあの炎は貴女の仕業でしたか。コロナさん。おや、リネアさんは何処に行ったんですか?」

「そんな事をアンタに教える義理は無い、と言いたいけど、別段隠す事では無いわね。リネアは既に先生達の元へ送り届けたわ。此処にはアタシ達とアンタの三人だけ。自分の力に絶対の自信を持ってるアンタならきっと単独で乗り込んで来ると踏んでたわ」


 何時もの強気な態度で話すコロナ。初めてヴァイスと遭遇して打ちひしがれるようなか弱い少女の姿は何処にもなく、今のコロナは燃え盛る炎の如き自信と情熱で満ちていた。


「そうですか。では、横の君は何故完全復活しているのですか? どうやってグラムの『不浄』の権能を……いや、同格の精霊の力ならば相殺出来るのか……? いや、それにしては傷どころか魔力まで回復している様子。一体どういう事ですか?」

「そんな事をテメェに教える義理は無い、と言いたいが、別段隠す事じゃ無いか。この赤髪のチビが片時も離さず持ってた霊薬のお陰だ。これで俺は万全を期してテメェと戦えるって訳だ」

「ちょっと、誰か赤髪のチビよ」


 コロナと同じ語り口で話すアクト。今までのようにヴァイスに向ける激しい戦意は消えることを全く知らないが、その本質は少し変わっていた。今の彼は我を忘れる程の身を滅ぼすような黒い憎悪ではなく……全てを飲み込む烈火の如き闘志が宿っていた。


「で、一度は僕から逃げた腰抜けと一度は僕に殺されかけた死にぞこないが、二人揃って今更何の用ですか? あれだけ派手な演出をして僕を呼び出したからには、リベンジマッチのつもりなのでしょうが……本気で僕に勝てるとでも?」


 直後、挑発的な言葉を並べるヴァイスから身の毛もよだつおぞましい殺気が放たれた。魔剣の力無しでの彼の純粋な殺気にアクトはともかくコロナは思わず委縮してしまう――その筈だった。


「……ほう?」

「殺気で怯まそうとしても無駄よ。腹を括ったアタシのメンタルはリネアより強いの」

「確かに俺達個人の力じゃ、テメエには敵わないのかもしれない……だが、誰が個人で戦うと言った? ()()()()ならば、テメェにも届くだろうよ」


 彼女はそよ風のようにそれを軽々と受け止め、全く動じることが無かった。アクトの方も単独でヴァイスと戦う事へのこだわりを捨て、堂々と協力して戦うことを言い放った。


「一体全体、どういうつもりですか? 君は過去を捨てようとしていながら過去に囚われた矛盾の存在。そんな君が今を生きる誰かの手を取るなど――」

「関係ねぇよ。……このチビ曰く、どうやら面倒な性格らしい俺は、この先また何処かで過去に悩むだろうさ……だがな、今だけは、この一時だけは『日常』って奴を守る為に戦うんだ。もう、()()()は迷わない。ただ前だけを見て進む」

「……!」


 ヴァイスの濃密な殺気を一蹴するようにして放たれたアクトの強烈な気迫に、ヴァイスは不覚にも一瞬飲まれてしまった。覚悟を決めた人間は強いとはよく言った物だ。アクトは何のしがらみも因縁も無く、ただ純粋に彼を倒そうとしている。純粋故に、その瞳には一切の曇りが無い。


 ――隣に立つ少女から提示された「第三の選択」……過去を捨てる訳でも、過去を引き摺って生きる訳でも無い、ただ未来を生きる為に戦う選択を、彼は選んだ。……彼が過去に置き去りにしてきた戦友達も、今、何処かで未来を生きようと戦っている筈だ。ならば、自分だけが何時までも立ち止まっている訳にはいかない。きっと、「彼女」もそれを許してくれるだろう。


「……なるほど。この短時間の間に何があったのかは知りませんが、心境の変化でもありましたか? ですが関係ありません。君の力では僕には絶対に勝てない。それをもう一度分からせてあげましょう」


 不気味な笑みを浮かべたヴァイスは腰の鞘から己の得物を引き抜く。片刃の魔剣・グラムは主の意思に応えるように刀身から禍々しい瘴気を放ち始める。同時に、彼の体から生じる魔導義体の駆動音が数段大きくなっていく。魔剣と魔導義体……こちらも準備万端といった様子だ。そして――


「僕達の戦いもこれで最後になる。ならば、もうこれも必要ありませんね」


 ヴァイスは漆黒のフードを脱ぎ去り、素顔を露わにする。陽光を受けて照らされるその相貌は、アクトと同じ黒髪で紺碧色の瞳をしたかなりの美青年だった。アクトの見立て通り、彼より少し年上の顔つきは数々の修羅場を潜り抜けた猛者のそれ。プロの魔道士顔負けの歴戦の風格を漂わせていた。


「そんな怪し過ぎるローブ着てるから一体どんな顔してるのかと思ってたが…なんだ。意外と綺麗な顔してるじゃねえか」

「放っておいてください。直ぐにそんな減らず口、叩けないようにしてあげますからねッ!!」


 ヴァイスは床を蹴り砕き、アクト達目掛けて突貫する。魔力は回復したようだが、今のアクトは動くどころか魔力放出すら行っていない完全に無防備な状態だ。達人同士の戦いはほんの瞬き程の時間を争い、刹那の間にできた隙を突く戦いだ。聖剣すら構えていないアクトに自分の一撃は防げない。


(貰った……!)


 ヴァイスがこの戦いの勝利を確信したその時、未だ構えすらしていないアクトの口元が弧を描き――


 轟ッ!!


「なっ!?」


 突撃するヴァイスの前方に突如、巨大な紅蓮炎壁が高く燃え上がった。驚愕の表情を浮かべるヴァイスは何とか急制動で炎壁に激突する事だけは避けられたが、アクト達と彼を隔てるようにしてそびえ立つ炎は、彼の奇襲を完全に潰してしまった。


「分かって無いわね。アンタがこの場所にのこのこ足を踏み入れて来た時点で、既に勝敗は決しているのよ」

「これは……!」


 パチン、とコロナが指を鳴らすと彼らを隔てる炎壁が瞬時に消滅する。代わりに、今度はヴァイスの左右を挟むようにして紅蓮の炎が渦を巻いて彼に襲い掛かる。


「くっ……」


 ヴァイスは辛うじて回避するが、うねる灼熱の業火はその威力を衰えさせることなく燃え盛り、絨毯や長椅子を跡形も無く消し炭にし、石床を真っ赤に赤熱・融解させた。


「【舞え】、【叫び】、【燃えよ】」


 熱波と炎波の襲撃はまだ終わらない。コロナが凛とした声で一言呟く度に、紅蓮の波がヴァイスを消し炭にせんと猛威を振るう。軌道は直線的なので回避は比較的容易いが、それを差し引いても絶大な威力と物量と速度。ヴァイスは機械の体を焦がしながら徐々に余力を奪われていく。


 圧倒的火勢の炎が次々と叩きつけられた礼拝堂は静謐と秩序を司る聖域から一転、凄まじい熱量が逃げ場を求めてひたすらに暴れ狂う、眩き赤光の火炎地獄と化した。


(な、何だコレは!? 詠唱も無しで一体どうやってこれだけの大火力を!?)


 凄まじい焦燥感を滲ませたヴァイスは己の「眼」に霊的視覚での解析を命じる。……分かったのは、丁度、激しく燃え続ける礼拝堂の中央に立っているコロナが()()()()()()()()()()()とんでもない速さ……いや、ほぼノータイムで急速に事象改変を行っている事だった。


(有り得ない! 初等魔法ならいざ知らず、これだけの熱量を生み出せる炎熱系魔法を何の詠唱も無しに発動させるなど無理だ! 何か、何か理由がある筈……これは!?)


 更に、彼の「眼」は新たな事実を発見する。何と、コロナ達が待ち構えていたこの礼拝堂には、至る所に何らかの魔法触媒が配置されており、それらはこの場所一帯を囲うようにして「魔法陣」を描いていたのだ。


「これはまさか、大規模結界魔法……!?」

「そうよ。この結界の中では、アタシは全ての炎を自由自在に操る無敵の魔道士になることが出来る」


 ヴァイスの疑問にコロナは肯定を示す。それでもヴァイスは納得出来なかった。確かに、結界魔法の中には各種属性魔法の発動に伴う事象改変速度を早めたり、威力を上げたりする物も存在する。だが、それらは戦いを有利に進める為の補助装置的な意味合いが強く、戦況を引っ繰り返せる程の力を持っている訳では無いのだ。


 コロナが操っているであろうこの結界魔法は、従来の結界魔法を遥かに超越した非常に強力な物だ。元・大貴族とはいえ、一学生に過ぎない彼女が何故そんな物を操れる?


 そんなヴァイスの疑問に答えるように、コロナはフッ、と不敵な笑みを浮かべながら語り始める。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()――


「分からないようだから教えてあげる。この結界の能力は……‟指定範囲内における術者の炎熱系魔法の発動工程の完全省略及び術者の炎熱系魔法発動時における事象改変の絶対的優先権”よ」

「……は?」


 ヴァイスはその言葉を理解するのに幾ばくかの時間を要した。いや、理解してもしきれなかった。というのも、その魔法はあまりにも規格外過ぎたからだ。


 コロナが築いたこの結界内では、彼女はどんな炎熱系魔法であろうと精神集中・魔力励起・呪文詠唱・事象改変など、魔法発動に必要な工程を全てすっ飛ばして行使することが出来て尚且つ、結界内で他の魔道士がどんな魔法の呪文を詠唱して発動させようとしても、それが一つの事象として世界に反映されない限り……つまり発動前ならば、彼女はどれだけ後出しであろうと優先して炎を生み出すことが出来るという事。


 無論、これ程の結界を何のリスクも無しに使うことは出来ない。予め魔法陣を構築しておく必要があるし、消費魔力も馬鹿にならない。そして、炎熱系魔法限定ではあるが……条件が揃えば非常に強力。コロナの言葉通り、結界内ではその術師は無敵になるだろう。


 如何に極限まで呪文を切り詰め、相手より早く戦いの主導権を握るかが重要な現代魔法戦において、この魔法はその在り方を根底から引っ繰り返してしまう程の代物だ。


 物量という面ではルクセリオンが保有する《静かなる狂気》も強力だが、どれだけ「信徒」を揃えようとこれだけの速度と火力で押されれば一溜りも無い。ほぼ全ての魔法を切断・消滅させるアクトの《魔道士殺し》も大概だが、この魔法も負けず劣らずの反則だ。


「ヴァイス、今だけはテメェの気持ちが分かるぜ。何てったって、概要を聞かされた時は味方の俺ですらドン引きしちまう程のド級チート魔法なんだからな」


 度肝を抜かれたヴァイスに、アクトは同情の苦笑を浮かべる。彼が終始剣を構えるどころか一歩たりとも動かなかったのは、コロナの力を信じていたからだ。自分の命を預けるには一ヶ月と少しという時間は短過ぎる……だが、今の彼には分かっていた。この少女はかつての「仲間」のように全幅の信頼を寄せるに相応しい「本物」なのだと。


「これこそが、我がイグニス家に伝わる秘奥の一つ、《炎庭(えんてい)》よ! アタシが支配するこの炎の領域の中では、誰であろうとアタシに勝つことは出来ないわ!」


 誇らしげに堂々と語るコロナを讃えるように、彼女の周囲には無数の紅炎の火柱が展開され、空気をジリジリと焼く。古来より伝えられてきた秘奥――研究と研鑽を積み重ねられた末に作られた独自の魔法式を披露したという事は、それはコロナが紛れもなく全力全開の本気の現れであった。


 ――文字通り「(イグニス)」の名を冠するイグニス家は、魔道士の間からは多数の崇敬と畏怖の意味を込めた異名で呼ばれていた。


「火炎王」、「炎の名手」、「炎獄」、etc.彼らに付けられた異名は多岐に渡るが……その中でも当時、帝国を治めていた「皇帝」から直々に賜り、古くから万人に共通して呼ばれている異名があった。


 人呼んで「紅蓮大公(ザ・スカーレット)」――熱と炎に関する魔法を極めに極めたイグニス家が代々受け継いできた誇り高き二つ名。その()()()()()()()の継承者たるコロナは、まさに燃え盛る紅蓮の炎を自分の手足のように操る火炎の支配者の如しだった。


「くっ……!」


 一瞬で決着を付けようとしていたヴァイスは立ち回りを慎重にせざるを得なかった。当然だ、この礼拝堂の何処からあの大火力の炎が襲い掛かって来るか分かったものでは無い。彼の魔導義体は強力だが、機械は機械。どれだけ保護と体勢を積み重ねようが熱などの攻撃にはある程度の脆弱性を抱えてしまうのだ。


「……さっ、お膳立てはしてあげたわよ。後はアンタの仕事。一応、援護はしてあげるからさっさと倒してきなさい」

「ああ。間違えて俺ごと燃やすなよ?」


 コロナの言葉を皮切りに、床に突き立てていた聖剣を引き抜いたアクトは不敵な笑みと共に軽口を叩く。


「バカ言ってるんじゃ無いわよ。炎の扱いでアタシが遅れを取る訳が無いでしょう!」

「ははっ、そうだな。……じゃ、行ってくる。『あの約束』の事、忘れるんじゃねえぞ」

「……ええ。そっちこそね」


 含みのある言葉を残し、極光に輝く聖剣を握りしめながらアクトは歩き出す。己が宿敵を打倒せん為に――


「力を貸してくれ、エクスッ! これで三度目の戦いだ。此処で決着を付けるぞ!」

(お任せください、マスター!)


 主の言葉に剣精霊は力強く応える。意思を一つに同調させていく彼らの強固な意志を表すかのように、彼らの魂の複合具現体たる聖剣からは、更なる神々しい輝きが生じる。


「……!」


 徐々に歩く速度を上げていくアクトを認識したヴァイスは焦燥に顔を歪ませるが……やがて意を決したように目を閉じ……ニヤリと凶悪な笑みを浮かべる。彼も腹を括ったのだ。これまでとは比べ物にならない強さと覚悟を持つであろう己の宿敵を打倒すると。


 刹那、両者は同時に床を蹴り砕き、激突した。交錯する聖剣と魔剣、燃ゆる礼拝堂の中で二つの閃光が耳をつんざくような甲高いを金属音を響かせながら何度も、何度も、ひたすらに打ちあう。


「行くぞ……勝負だ、ヴァイスゥゥゥッ!!」

「上等ですよ……! こうなったらコロナ=イグニス共々殺してあげますよ、アクト=セレンシアァァァッ!!」



 後に「第一次オーフェン事変」と呼ばれる学院襲撃事件での最期の戦いが幕を開ける……!



一斉投稿編第3弾です。よろしければ評価・ブクマ登録・感想・レビューの方、お待ちしております!

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