01話 城塞学院都市オーフェン
「――さて、此処がオーフェンか。噂通りの大仰な造りだな」
そびえ立つ巨大な壁を見上げ、少年は苦笑を浮かべる。青みがかった美しい緑色の瞳に、この地方では珍しい艶のある黒髪で、服装は薄着の上にそこそこ高級そうなローブを羽織り、旅人の様だった。
腰に下げた鞘には一振りの剣が収められており、歩行に合わせて僅かに見え隠れする白刃が太陽の光を受けて鋭く輝いていた。
ガラード帝国。広大な面積と豊かな天然資源が眠るアルテナ大陸中央部に、かつて其処に存在していた数々の国を吸収・統合していった巨大帝政国家。
そんな帝国の主要都市の一つが、この城塞学院都市「オーフェン」だ。オーフェン最大の特徴は、何と言っても都市の大半をぐるりと囲むこの大市壁の中に居を構える、大陸でも有数の超学究都市であるという事だ。
(こんな壁、「軍用魔法」一発であっという間に壊されるってのに。まあ、今更作った物をどうこうも出来ないんだろうけど……)
この堅固な壁に囲まれた都市は、半端な無法者の侵入を許さない。その所為で年々敷地不足に陥っているのだが、窮屈さと引き換えに住民はある程度の安心を得て暮らせている。
「次の者!」
少年が壁を見上げていると、通行門を守護する衛兵の大声が響く。それに気付いた少年は、慌てて動き出した。
「荷物検査をさせてもらう。最近は何かと物騒だからな。それと、何か身分を保証する物はあるか? 無い場合は幾らか通行料を徴収させてもらう決まりになっているが」
「あーはいはい身分証ね。ちょっと待ってくれよ――」
衛兵の指示に少年は腰につるした剣を渡し、肩に下げた麻袋から一枚の書状を取り出す。一級の素材で作られた羊皮紙には人物名らしき文字が血判と共に記されていた。
「ふむ、剣以外には特に怪しい物は無し。ん? その書状は――ほう? お前、『学院』の生徒なのか。しかもこの名前……なっ! あの学院長の名前じゃないか!?」
荷物を一通り調べた衛兵は渡された書状を見ると、瞬く間に顔色を青くする。少年にというよりは、書状に書かれた名前に怯えている様だった。
「こ、これは失礼した。まさか学院長殿直々の推薦とは。貴殿の様な国の未来を担う貴重な人材と出会えた事を光栄に思う」
「そりゃどうも」
かなり時間がかかった気がするが、少年――アクト=セレンシアは、城塞学院都市オーフェンの門をくぐり、ようやくその地へと足を踏み入れた。
ガラード帝国は四季の変化がはっきりした気候で、今は春の時期。柔らかな春の日差しと穏やかな風が、門をくぐったアクトを出迎える。
「ふう、ようやく入れた……さて、アレが『ガラード帝国魔法学院』とやらか」
門から少し離れ、独り呟くアクトの視線は街の一番奥の丘陵地帯に建つ一際大規模な建物に注がれていた。中でも、施設の中央にそびえ立つ巨大な時計塔の威容は此処からでも十分に感じ取れた。
「魔法」――古来より人類によって伝えられて来た神秘。そこから生み出された新技術「魔導技術」によって、ガラード帝国は凄まじい発展を遂げ、軍事・技術の面において大陸最強とまで呼ばれる大国家となったのである。
そして、帝国には各地に「魔法」を用いて世界の真理に迫ろうとする者達――「魔道士」の卵を育成する魔道士育成専門学校「魔法科学院」が設立されており、才能と意欲のある若者が日々魔法の研鑽に励んでいる。
王立ガラード帝国魔法学院もその一つだ。時の皇帝によって巨額の国家予算を投じられて設立されたあの学院は、大陸でガラード帝国が魔導大国として名を轟かせる基盤を作った学校であり、最高峰の魔法学府として近隣諸国にも広く知れ渡っている。
今日、帝国に名を馳せる魔道士の殆どが学院の卒業生であるという確固たる歴史と伝統が存在し、帝国のみならず世界で魔法を志す全ての者達の憧れとなっている。
「来ちまったなー……まったく、あの性悪ババアの言い付けなんて本当は聞きたくなかったんだけど、断ると後が怖いし、『師匠』もああ言ってたから仕方無く来たけどさ……」
アクトの脳裏に思い出したくもない元『師匠』の顔と、尊敬する今の『師匠』の顔が浮かぶ。これがあの魔女の指示だけだったなら、きっと自分は来なかっただろうなと、アクトは重い足取りで学院へ続く道を歩き始めるのだった。
オーフェンは、噂に聞いた通り活気に満ちた場所だった。分厚い防壁に囲まれて閉鎖的だと思われがちだが、この街は位置的に帝都「バハルース」に程近い場所にあると同時に交易の中心地として有名であり、他の地方から様々な文化が流入してくる。それ故、多種多様な文化を取り入れた流行の最先端を常に行き続けるのだ。
何世代も続く由緒正しきガラード帝国魔法学院の設立と共に生まれ、魔法学院と共に発展したのがオーフェンだ。立ち並ぶ建物は静かな色合いの古式洋風建築で纏められ、重厚で古風な趣深い町並みを演出している。
対照的に、労働階級の人間が働きに出る企業や各省庁などが立ち並ぶ中央区には、最新の建築様式を取り入れた近代的な町並みが広がっている。どちらが良いか悪いかはなく、新旧新古に満ちた色合い鮮やかな都市なのだ。
何やかんや言っても、初めて訪れる街と言うのは少なからず胸が躍る物だ。初めて見る景色や、見た事も無い珍しい物品を見物しながらアクトが陰鬱な記憶を薄れさせようとしている――その時だった。
「ああー!? 遅刻しちゃうー!」
「ちょって待ってコロナ!? 前前前ーーーッ!?」
街の中央にある噴水広場には、帝国独特の様式の大きな噴水が優雅に設置されていた。辺境出身でこういった雅な建築に疎い彼はその発展ぶりに唖然とし、ふらりと周囲を彷徨っていると、
「……は?」
何時もの彼なら気付けていただろう。だが、完全に気が抜けていた今の彼には間抜けな声を出すことしか出来なかった。横から自分のほぼ目前まで迫る小柄な少女の体を前に――
ドンッ、
「きゃ!?」
「うおっ!?」
鈍い衝突音。丁度、噴水の近くで突っ立っていたアクトは、勢い余って彼女もろとも背後の噴水へと突っ込みかける。このままでは諸共にずぶ濡れ確定だ。その直前、優れた剣士であるアクトの判断能力が光る。
(体勢的に濡れるのは、もう避けれないか。だがこのままだと体勢的にこの子が怪我をする可能性があるな……仕方無い。少し失礼して……)
ザッパーン!
二人は噴水に突っ込み、盛大な水飛沫が上がる。その周りを、少女を呼び止めようとしたが間に合わなかった金色の髪の少女と、何事かと周囲の人々が次第に集まって来る。
「……ぷはっ! 痛ったたぁ……」
噴水は思いの他深く半身が完全に浸かる程だったが、暫くして少女が水面から顔を出す。遅れてアクトも顔を浮かび上がらせる。咄嗟に少女をかばって水の噴出口がある柱にぶつかったため、背中に鈍い痛みが残る。
「大丈夫コロナ!?」
「……うん、ありがとうリネア。何とも無いわ」
コロナと呼ばれた赤髪の少女の無事に、リネアと呼ばれた金髪の少女が安堵の溜め息を吐く。二人の少女は、誰もが一目奪われる程の美貌の持ち主だった。
片や、燃えるような真紅の赤髪を二つに分けた所謂「ツインテール」に、やや吊り気味な紅玉の瞳、処女雪のような白い肌、精緻に整った端麗な容姿は、妖精のように凛々しい。
今はやや消沈しているものの、その攻撃的な美貌には涼やかな自信と覇気が満ちていた。
片や、一つに纏められた眩い金髪に、柔らかな金色の瞳、きめ細やかな肌はまるで上質の絹のようだ。赤髪の少女とは対照的な清楚で柔和な気質が感じられ、その整った顔立ちな天使のように可憐だった。
見る者に穏やかで儚げな印象を抱かせる、そんな少女だ。
二人共、何処かの制服らしい黒と赤を基調とした、まるで軍服のような上着・スカート、ある種の美しさを感じさせつつも引き締まった格好だ。左胸に付けられたバッジには、知恵の象徴たる‟林檎を齧る梟”の紋様が刻まれている。
「よかった……もう! だから前を見て走るように何時も言ってるのに!」
「うっ……ごめんなさい……」
金髪の少女の説教に、赤髪の少女がしょんぼりと落ち込む。
「……どうやら、無事みたいだな」
今まで無言を貫いていたアクトがその空間に割り込む。水に浸かったままなので、このままだと二人共、風邪を引きかねなかった。
「あっ!? 忘れてた! その、ごめんなさい! アタシの不注意で……大丈夫でしたか?」
「大丈夫だ。でも、次は気を付けろよ? 俺みたいに咄嗟に受け止められる奴なんてそうそう居ないだろうしな」
「はい……助けていただいてありがとうございました!」
礼儀深く、反省の色を濃く浮かべる少女に、やれやれと呆れながら起き上がろうとしたその時――アクトは両手に奇妙な感触がある事に気付いた。
(ん、何だコレ?)
体勢的に少女がアクトに覆いかぶさっている様な体勢だったので彼の両腕の先は丁度彼女で死角になっていた。何かは分からないが、ハリのある、だがそれでいて小さな感触だ。
「「……あっ」」
コロナも起き上がろうとして気付いたのか、二人は同時に気付いた。アクトの両手がコロナの小さな体の中心辺り――その慎ましやかな双丘に軽く触れていた事に。しかも水でかなり濡れていた為、制服越しに大胆な赤色の下着が透けていた。
「――ッ!?」
その光景を一瞬、ほんの一瞬凝視してしまったアクトは顔を赤くしてバツが悪そうに目を背ける。
「……」
「あー……これは、あれだ。あのまま突っ込んだら君が怪我しそうだったもんで、とっさに抱きしめて衝撃を殺そうとしたんだが……」
濡れているのに嫌な汗が大量を流すアクトが必死に弁明するのに対し、コロナは何が起こっているのか分からないといった表情でキョトンとしていた。アクトとしては行為自体は彼女を怪我から守る為の紳士的でナイスフォローだと思ったのだが、如何せん触った場所が悪過ぎた。
アクトは心の中で叫ぶ。「これは事故です」、と……
「~~~!?」
ようやく状況を飲み込み始めたコロナがその頬をみるみる赤く染めていく。ふるふると体を震わせ、怒りの火山にみるみる血というう名のマグマが登っていき、
「……ぃ」
「ん? 今何か言ったか?」
「……い」
「えっ、今なんて――」
「何時まで触ってんのよ、【このヘンタイ】ッ!!」
遂に噴火。髪と同様、顔を真っ赤にしたコロナが、妙な言葉を口走った。
「――ッ!?」
それは、一体何処から生じたのか。突如、謎の光が彼女の拳に集まり――
(魔力!?)
その光の正体に気付いたアクトは全力で防御態勢を作ろうとするが、この不安定な姿勢でまともな形など作れるはずもなく、
バツゥーンッ!!
「うおあっ!?」
水が弾けた。先程の水飛沫など比較にもならない程の高さと音をともなって、謎の衝撃がアクトの体を水面から大きく吹き飛ばす。威力たるや壮絶で、噴水に溜まった水を半分程外に出して余りある威力だった。
「……痛ってぇ。おいコラ! 何しやがるんだ!?」
水面から大きく飛ばされたアクトは地面に激突する寸前、ギリギリで受け身をとっていた。もし今の力が無力な一般人に向いていたら無事では済まなかっただろう。
(「魔力」を使った攻撃だと!? まさかコイツ、魔道士か!)
「魔力」とは、人体に秘められた生命力に直結する未知の力。研究が進んだ現代でも未だにその全容は判明していない。この魔力を用いて超常の力を呼び起こすのが魔道士なのだ。
勿論、指定された区域内で魔力を使うのは、万国共通の重大な規則違反だ。
「アホか! こんな街中でいきなりぶっ放すとか正気かお前!?」
「うるさいうるさいうるさい!! こんな事故に乗じて乙女の体を触るなんて最低よ! おまけにアタシの体をジロジロと……っ!そんなの、例え一国の王であっても万死に値するわ!」
「んな滅茶苦茶な!?」
衆人環視の中、本当はこっちが怒りたいアクトに対し、最早逆ギレと言っても過言では無いぐらいまくし立てるコロナ。今のは過失的にはコロナの方が悪いはずなのだが、これ程の剣幕で迫られては彼も一歩退かざるを得なかった。
「絶対に許さない! 黒焦げにしてあげる!」
「んだと!? 黙って聞いてりゃ調子に乗りやがって! そっちがその気ならこっちも――」
マズイ、とアクトは嫌な汗を流す。目の前の少女は明らかに冷静さを欠いている。規則がどうのこうのは今の彼女の頭には無いだろう。
今、彼を吹き飛ばしたのは魔法では無く純粋な魔力を用いた攻撃だ。もし今のが魔法だったら大怪我は必至だっただろう。剣士として目の前の少女を瞬時に制圧出来る自信はあるが……実際はそうはいかないだろう。
一目で分かる。目の前の少女は一筋縄ではいかない相手であると。しかも、周りには一般人が大勢居る。いざ戦闘になれば彼らを巻き込む恐れがあり、下手には動けなかった。
(さて、どうしたものか……)
場は一色即発の事態に陥る。アクトが腰の剣に手を伸ばすと同時に、コロナも得体は知れないが強烈な気迫を放ち始め、二人が激突する寸前、
「コロナ駄目だよ! 街中で一般人に『魔力』を使うなんて! バレたら一発退学ものだよ!?」
すると、二人の間に割り込んだリネアの鋭い制止にコロナははっ、と目を覚ます。沸騰した彼女の思考に冷水が浴びせられ、急速に冷めていく。そして、冷静さを取り戻した次にはやってしまった、という後悔だけが残った。
「あわわ……どうしようリネア!? やっちゃった……どうしたら良い? こうなったら、コイツ含めて目撃者全員消す?」
「何言ってるのコロナ!? やっぱりまだ冷静じゃないよね!?」
何やら途轍もなく恐ろしい事を口走るコロナにリネアは青ざめる。だが、彼女の介入のお陰で街中で戦闘という最悪の事態は避けられたようだ。
「あのー、話は済んだか? 勿論だけど、こんな場所で戦闘なんて勘弁だぞ。それに君ら、魔法科学院の生徒だろ多分。ここで事を大きくしたらまずいんじゃないのか?」
「何言ってるの! 変態の分際でむぐっ!?」
「コロナは少し黙ってて!」
この後に及んでまだ喧嘩腰なコロナをリネアが口を抑えて制止する。先程からのやりとりを見るに、猪突猛進しがちなコロナを、リネアがブレーキ役として上手く抑えているようだ。
「私の友達がご迷惑をおかけしてすいません! あの子、ついカッとなると手が付けられない子で……普段はもっと優しい子なんです。此処は、私の顔に免じて許していただけませんか?」
そう言って、リネアは頭を深々と下げる。
「別にこっちは大した怪我はしてないし、大丈夫だ。それにしても、そこまで必死になるなんて、アイツの事、大事なんだな」
「そうですね。……まぁ、私の数少ない友達ですから」
心中を見透かされているのを分かっているのか、特に隠すことも無くはにかむリネア。髪色や瞳の色も相まってまるで聖女の様な雰囲気だ。
「何処か怪我はされてませんか?」
「ああ。特に何処も、痛っ……」
突如、腕に走る鋭い痛みに、反射的にアクトはその場所を抑える。会話にかまけて気付かなかったが、右腕の肘の辺りが薄く擦り切れていた。受け身をとったつもりでいたが、どうやら変な場所を擦ってしまったらしい。
「それ、さっき吹き飛ばされた時に……」
「大丈夫。これぐらい、放っておけば時期に治るさ」
「そういう訳にはいきません! ちょっとしゃがんでもらっても良いですか?」
突然のリネアの要求に、アクトは「?」と疑問の表情を浮かべるが、特に抵抗もなくその場に膝を付く。そして、リネアは彼の傷口に手を添えて、
「少しじっとしててください……【慈悲深き天使よ・其の癒しを我が手に】」
一言断りを入れ、先程のコロナと同じように何事か得体の知れない言語を呟き始める。
(これは、人体の回復力促す治癒魔法か。分かってはいたけど、この子も魔道士なんだな……)
その事実にアクトは苦い表情を浮かべる。
(こんなに優しくて友達思いな子が……)
自分は治療されている身だ。文句を言える立場では無いし、他人事なのでどうにも出来ないのは自分でも分かっている。だが、それでも拭いきれない負の感情が心の底から溢れ出してくるのをアクトは感じた。
「……はい、終わりましたよ。痛くはありませんかって、あれ? 随分顔色が悪い様ですが……まさか私の魔法に何か失敗が!?」
アクトが気付いた時にはもう治療は終わっていた。リネアが呪文を唱えた同時に彼女の指の先が淡く光り、彼女はそれをアクトに傷に添える様に置き、たった数十秒で全治に二日はかかるであろう傷は完全に塞がっていた。人間には絶対に成せない事を成す技、それが魔法の真価だ。
「いや、ちょっと嫌な事を思い出してただけさ。傷は完全に塞がってる。良い腕だな」
「私、こういうのだけが得意なんです。お陰で実技の成績は低くて……え? どうして私の治癒魔法の腕が分かるんですか?」
魔導技術を始めとする、魔法に関する技術は割と一般人に広く認知されており、生活の一部となっている。だが、根本的な魔法自体に関しては徹底した秘匿がされており、一般人が触れる機会はまず無い。魔法はその利便さの反面、簡単に軍事転用が出来てしまうからだ。
「言い忘れてたな。俺、これからガラード魔法学院に用事があるんだよ。そうだ、君達も学院の生徒だろ? 一緒に行かないか?」
「なるほど、そうだったんですね。是非、喜んで……ああっ!?」
納得した様にポンと手を合わせるリネアだが、ある瞬間、急に血相を変えて大声を出す。
「き、急にどうした?」
「時間ですよ時間! うちの学院、時間には滅法厳しいんです! えっと、始業の時間は……ええ!? 後十分しか無い! 急がないと!」
遠くに設置された街時計の時刻を確認したリネアは慌てふためき、置いてきたらしい学生鞄を取りに戻る。その道すがら、放置していたコロナに何かを話すと、コロナも彼女同様慌てた様に準備を始める。
「ほらっ、アンタも学院に行くんでしょ! 正直言いたい事は山程あるけど、今はお預けよ。もたもたしてると置いて行くわよ!」
「お、おう……」
最後にコロナに急かされ(必死に怒りを隠しているらしき跡が見られた)、アクトは彼女達の後を追いかける。このちょっとした騒動は、張本人のコロナと何より被害者のアクトが黙ることで、一般人の目には不運な事故の後に謎に爆発があった奇妙な事件としか思われないだろう。
三人が去った後、打ち上げられた水しぶきによって、空には小さな虹が架けられていた。そんな不思議な事件を目撃しつつも、人々は元に生活に戻って行く。
今日もまた「城塞学院都市」の新たな一日が始まる。