表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

チャリで走ってて気づくと大学の近くにいてとてもみじめな気持ちになった

作者: カジュアル

 山の方へ入る道には正直あまり詳しくなかった。しばらく進むと駅が見えた。すぐ脇がもう山道で、崖を覗くと川があった。

 若い男女がたくさんいた。僕はみじめな気持ちになった。

 「○○教育大前駅」

 看板を見てようやく気づいた。そして僕は後悔した。こういう場所には来たくなかった。なにより僕はニートだし、その上僕は高卒だ。山の写真を撮りたくてなれない場所に来てしまった。カメラを取り出し川を撮る。けれどすぐ惨めになった。僕はカメラをそっとしまった。大学生がこっちを見ている。僕も同じ学生だと彼らはきっと思ったろう。それがとても恥ずかしかった。僕はニートだ高卒だ。

 僕の好きな曲はダサい。彼らは何を聞くんだろう。若い人の好みが知りたい。僕も十分若いけど友達一人もいないから、若者文化が分からない。僕は一体何なんだ。宇宙人、妖怪、それとも妖精か。

 妖精だな。それが一番しっくりきた。みじめだし、不気味な響きで、僕にはちょうど良いと思った。僕は妖精だ、ピーターパンだ。病んだ化物だ。みじめな妖怪だ。自尊心の怪物だ。

 結局すぐに駅から去った。僕のカメラは安物だ。四万円のコンデジだ。動くと重さでポッケが揺れる。そのたび僕はみじめになった。

 惨めと言えば服装だ。典型的なキモオタファッション。黒い上下に茶のコート。それが僕の一張羅だった。服なんて選べない。全部親が買ったものだ。第一服屋に入れない。

 そう、僕は服屋に入れないのだ。コーディネートに関しては正直どうにかなる気はする。マネキンの着てるものをそのまま一式買えばいいのだ。それでまぁいけるだろう。けれどまず服屋に入れない。僕の服装じゃ、入った瞬間、服のプロに笑われる。パレートの法則に近い何かを感じた。

 「ぶふっ」と吹き出す声が聞こえた。振り向くと目をそらされた。男は初老のおっさんだった。丸いスカシた眼鏡をかけて、黒いハットを被っていた。神戸、三宮での出来事です。

 お前なんかがここを歩くな。きっとそういうことでしょう。若い女に睨まれた。神戸にはもう行きません。二度と神戸を歩きません。なのでどうか許してください。

 僕は今、神戸の方角へ、こうべを垂れて土下座しました。

 くだらないですね。生まれてきてごめんなさい。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ