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俺はVRMMOで男と結婚する事になりました。  作者: カイロ


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俺は最終メインストーリーが追加されるのを知りました。

 実に窮地ではあったが、凛花はどうにか切り抜け、風呂から上がった。

 逃げるように男湯の引き戸を開けて飛び出すと、涼も進太郎も追いかけてこないのを確認して息を吐いた。


「おお、凛花くんも来ていたんだね」


 そこに聞きなれた声をかけられ、凛花は驚き気味に声の方へと顔を向ける。


「あ、先輩も来てたんですね」


 そこにいたのは月光門だった。ちょうど今湯から上がった所なのか、髪は若干の湿り気を帯びている。


「本当は親衛隊の子たちも来ていたんだけどね、なんでかここへ着いた途端に血相を変えて帰ってしまったよ」

「あいつらすげえ勘鋭いな……」


 おそらく、麗がいる事を感じ取ったのだろう。人間離れした直感と言うほかないが、いたらいたで月光門の心労が多大なものとなってしまうので、都合はいい。

 それはそれとして、と月光門は話題を切り替える。


「ところで凛花くん、MSWの公式ホームページはもう見たかな?」

「あ、もしかしてもうメンテ終わったんですか?」


 月光門の質問に凛花は答える。終了時間未定のメンテナンスだったが、かなり早くに終わって風呂に入っていた間に終了のお知らせが出ていたのだろうか。

 が、そうではなかったらしい。月光門は首を横に振る。


「メンテナンスはこの後5時に終わると発表されたよ。だが、それじゃない。もっと重要なやつさ」


 やけにもったいぶる言い方をしてくる。まるで歓喜を隠そうとしているような表情であるので嬉しい事だというのは間違いなさそうだが。

 なんとなく凛花にもわかる気がするが、月光門は自身の口から言いたそうにしているので、降参のジェスチャーをとって答えを聞く。


「で、どんな発表があったんです?」


 その言葉を待っていた、とばかりに口元を歪め、月光門は言う。


「なんと、ついに最終メインストーリー実装の告知が正式に発表されたのだよ!」




 しばらくして、麗と共に芹の湯から帰った凛花は、早速MSW公式HPを確認した。

 するとそこには月光門の言葉通り、最終メインストーリーの実装と、新しいマップの追加が発表されていた。

 簡単な概要も書かれている。


『異界に姿を隠した悪神バアルがついに発見された! 星の力を吸収したバアルを撃破し、この世界の神を取り戻そう!』


 最近のストーリー内でも幾度か名前の出てきたバアルという神との直接対決が始まるらしい。

 そしてこのストーリーをクリアすると星の因子の最大値が100万になるそうだ。つまり、最後の一つの因子はバアルが持っていた、という事だろうか。

 他にもクリア者には特典が与えられるそうだが、そちらはクリア後のお楽しみというわけなのか伏せられている。

 実装の日時はやはり大方の予想していた通りに年末、その正午になるという事だ。

 またバグが発覚して緊急メンテナンスが発生したりして遊べるようになるのは新年から、という展開への不安も若干ないわけではないが、凛花にはもっと心配な場所があった。

 このストーリーを進めるには星の因子が現在の最大である、99万9999必要とされているのである。

 来月末まで余裕があるといえばあるが、それでも因子稼ぎの大半は次の戦争イベントで賄うつもりだったので、凛花にはそれを貯めきれるかどうかが一番の不安だ。


「1日で60万近くか……」


 初参加の頃よりもだいぶ強くなった凛花たちではあるが、それでもこの量を貯めきれる自信はない。

 普段の狩りをどれだけ全力でやっても1日で3000稼げるかどうかという所だろう。

 レベルの方は想像通りに150到達が参加条件だが、こちらはどうにかなるだろう。暗黒海域での狩りは順調であるし、アースガルド防衛戦もある。

 つまり凛花たちが実装直後に挑戦できるかどうかは星の因子を集められるかどうかの一点にかかっているという事だ。

 どうやって集めるか、と凛花は唸りながら一つ前のページへ戻る。


「お?」


 すると、MSWのお知らせ、最終メインストーリー追加のお知らせの上にもう一つ告知があるのに気が付いた。何かのキャンペーンが開始されるようだ。

 確認をしてみると、それはまさに渡りに船というような内容だった。

 最終ストーリークリア応援キャンペーンと称して、なんと今日のメンテナンス終了から12月30日までの間星の因子獲得量が2倍、獲得経験値が1.5倍になるという内容だった。

 つまり、集めるべき星の因子は実質30万でいい、という事となる。

 強くなった今の凛花たちであれば、戦争イベントでそこに近い数を叩き出すのはそう難しい事ではないだろう。

 それだけで全てを補うのはできないかもしれないが、狩りで得られる因子も増えるのだから、多少の不足ならどうにかできる、そんな気がしてきた。

 この間のユニーク装備への優良オプション付加に始まり、なんだか運気が向いてくるのを凛花は感じるのだった。

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