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俺はVRMMOで男と結婚する事になりました。  作者: カイロ


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俺と親友との戦いが始まりました。

「参ったー!」

「早ッ!」


 Linkerとの戦いを始めて5分と経たずに進化カードは降参した。

 スタズタに切り裂かれ、HPバーは赤い一本線が目を凝らせばどうにか見える程度だけ残っている。

 そして、Linkerは攻撃を一度も受けていない、完全な無傷だった。


「フッ、まさか俺の防具が斬撃に対して弱いと気付きその上背後からの攻撃でクリティカルを狙い速攻を決めるとはな……流石はリンだ」

「いやお前が全部自分で弱点言ってただろ……」


 してやられた、というような顔で進化カードはうなだれる。

 あえて弱点を狙わせて何らかの秘策で逆転するつもりなのかとLinkerは警戒していたのだが、何のひねりもなく赤子の手のごとくひねられた進化カードに首をひねる。

 まるで最初から勝つ気がないかのようですらあった。


「シン、もしかしてお前最初っから俺に負けるつもりだったのか?」

「……まあ白状してしまえばそうだな。最初はレベルをとにかく上げて装備を整えて圧勝するつもりでいたんだが、何も知らないリン相手にそれは卑怯だと思ってな」

「そうか……」


 進化カードの自白を聞き、Linkerはやっぱりか、と思った。


「なんにせよ俺は負けた。残念ではあるが結婚はあきらめるとしよう。……それと、散々身勝手な事をしておいて言えたものでは無いかもしれないが、できれば、これまで通りに俺と友達で」

「いや、その……話なんだけど。やっぱ、してもいいかな、って。結婚」


 このまま明日には首でも吊っているんじゃないかと心配になるようなテンションになった進化カードの言葉を遮ってLinkerは言う。

 照れくさそうに言うLinkerに進化カードは目をぱちくりさせて驚いている。


「リン……? 嫌だったんじゃないのか?」

「や、嫌って言えば嫌なんだけどさ、二人ともリアルとおんなじ顔だし。……でもそれはそれとして、俺はもっとMSWをやってみたいんだよ」


 話の繋がりが見えない、と首をかしげる進化カードに言葉を続ける。


「だからさ、結婚するとステータス強化されるんだろ? そういうのできるんならしといた方が有利だろ。結婚するのはそんだけの理由だよ。恋愛感情とかじゃないからな」

「リン……。ツンデレとはまたなかなかやってくれるじゃないか……」

「そういうのじゃねえって言ってるだろうがあああああーーーー!!!」


 手の甲で涙を拭うような動作をする進化カードに吠え、ため息をこぼしてLinkerはともかく、と続ける。


「俺はこのゲームを続ける! だからシンも俺と一緒に続けろ! 言いたいのはそんだけだ!」


 ちらとゲーム内の時計を確認すればもうすぐ2時になってしまいそうだとLinkerは気付く。流石にこれ以上起きていたら朝に起きられないかもしれない。


「そーゆーわけだから、今日はもう遅いし寝る! シンもちゃんと起きて学校来いよ!」

「……いいのか? さっき、俺がリンに言った事……」

「俺が好きってとこか? 別にそんくらいじゃあちょっと驚きはするけど嫌いになるわけないだろ。俺達親友だし今までと変わんねーよ」

「リン……」


 進化カードの視線を受けながらLinkerはログアウトにかかる。

 積もる話はあるが、時間も遅いしそれは学校で会った後だ。


「そうだよな、親友だし、ちょっと触ったり撫でたりするくらいだったら、いいよな!」




「なあシン、星の因子って何だ?」

「ああ、モンスターを倒したり決闘で相手を倒すとお金とは別に貰えるポイントの事だな」


 進太郎と学校で再会した凛花はログアウト直前に不穏な言葉が聞こえたので進化カードにトドメを刺した際に入手したポイントについて尋ねていた。

 再会とは言っても席はすぐ隣なので少し大げさではあるが。

 ともかく、授業開始までのわずかな時間ではあるが凛花は帰ったらすぐにMSWにログインする予定なので疑問に思ったことはとりあえず聞いておく。


「へえ、なんかに使うの?」

「おう。お金……stとは別に最大で99万9999まで貯まるんだがな、この星の因子の数が一定量ないと受けられないクエストとか装備できないアイテムとかがあるからできるだけ集めておくと吉、らしい」

「なるほどなぁ、帰ったらレベル上げも兼ねてモンスター倒しまくろうかな」

「すまん、説明不足だったんだが星の因子はモンスターを倒した時はかなり低確率でしか出ないらしくてな……おっと、すまん」


 進太郎の机からボールペンが転がり落ちた。そのまま凛花の椅子の下に転がっていく。

 そして思わず、進太郎が這いつくばって椅子へと手を伸ばしてきたので凛花は物凄い勢いで立ち上がって避けた。


「……」

「……」


 互いが互いをぽかんとした顔で見つめあう。

 無言のまま数秒が過ぎた。


「リ、リン……今までと変わらないと言ってくれたのに……!」

「い、いや、すまんシン! 俺もこんなつもりはなかったんだけどなんかされんのかと思ってつい!」


 今までと同じように接すると言って日の変わらぬうちに失態をおかしてしまった。友人を裏切るような行動をしてしまい凛花はひどく申し訳ない気持ちになる。


「……いや、仕方ないさリン。あんな事を言った昨日の今日だものな。流石に安心もできないだろう」


 親友の心を傷つけてしまったのでは、と凛花は酷く心配だったが、気にする素振りも見せずに進太郎は言う。


「これ以上リンを怖がらせないためにも明言しておこう。俺はリンがしていいと言った事以外は決して何もしたりしない、と」

「……そっか。それを聞けて俺も安心できたよ」


 ホッとした。進太郎の宣言を聞き凛花は安心して授業を受けられるな、と考えていた。


「…………ところでさ、シン。俺昨日お前に何でもやるって言ったけど、アレはそのカウントに入れないんだよな?」

「さて、そろそろ授業が始まるな。ボールペンも回収したし教科書を用意しておかなくては」

「答えろぉーーーッ!!」

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