俺達は夏条涼と再会しました。
朝になった。朝食もそこそこに、凛花は家を出て進太郎と合流する。
今日から夏条涼が学校に来る、月光門はMSWの中でそう言っていた。
2人とも、夏条には聞きたい事がいくつもある。この2週間何をしていたのか、本当に進太郎を諦めたのか。
それらを今日ようやく本人の口から聞けるのだ。一秒でも早く学校に向かうべく、自然と早足になっていく。
結局、学校に到着した頃には2人とも汗だくになっていた。到着は他のどの生徒よりも早かっただろうに、遅刻ギリギリかのように戦力疾走が始まっていたせいだ。
「夏条!」
「いるか!」
勢いよく夏条のクラスに乗り込む。が、誰もいなかった。
当然である。校門がまだ閉まっている状態で、自分達2名以外に誰もいないのに開門と同時に再び全力で駆けて行ったのだ。誰かいる方がおかしい。
誰もいない教室を2度3度見回し、切らしていた息も落ち着いてくると同時に急速にクールダウンしていく。
「……焦りすぎたな」
「ああ……」
冷静になった2人はいくらなんでも熱くなりすぎた、と反省しながら自分の教室へ戻る。
そもそも、今日夏条が来るとは言われたがいつ来るとまでは明言されていない。いち早く学校へ行く意味はほとんどなかったのだ。
今ようやくそれに気が付いた2人は特に何をするでもなく、ただぐだぐだと話をして時間が経つのを待つのであった。
「えー、本日より夏条涼くんが再び学校へ通うようになりました。別のクラスではありますが、皆さん今まで通りに接してあげてください」
結局朝の内に夏条は姿を見せなかった。ホームルームが始まり、昨夜月光門から聞いた内容が担任の口より繰り返される。
そのまま授業が始まるので確認はできなかったが、どうやら遅刻ギリギリに登校した凛花のクラスメイトの話では、ちょうどその時間に夏条らしき人物が登校していたらしい。
まあ、なんにせよ今すぐに確かめはできない。今はとにかく真面目に授業を受ける事にした。
とは言っても凛花も進太郎も上の空で、真面目と呼べるかどうかは怪しいところではあったが。
時間は飛んで昼休み。凛花と進太郎の2人はお弁当を抱えて夏条の教室を訪ねた。
が、なんと夏条はいなかった。クラスメイトの話では来ている事は来ているのだが、どうやら屋上で昼食を食べているらしい。
それを聞いて立ち入り禁止だったはずでは、と凛花は思ったが、その疑問にも続けて答えられた。管理者に金を握らせたのだと。
親衛隊連中よりはマシだな、と思ったが、いやいや高校生が金に物を言わせるのはいかがものか、そんなに屋上が好きなのか、と凛花は思ったが何か言いはしない。
居場所さえ分かれば問題ない。2人は急ぎ屋上へ向かうのだった。
「……あら、進太郎さんに凛花さん」
屋上へのドアを勢いよく開けると、夏条はきょとんとした顔で二人を見ていた。
幸いな事に夏条は元気そうだった。顔色は健康そのものだし、怪我をしているようにも見えず、2週間前とほとんど変わらないようにも思える。
「とりあえず、元気そうでよかった、かな」
「ああ。しかし夏条、俺はお前に聞いておくべき事がたくさん……」
「それはわかりますけれど、一緒にご飯を食べながらにしません? 折角のお昼休みなのですから」
そう言って夏条は2人の手元のお弁当箱を見る。確かに、これを両手で持った男2人が質問をし続けるというのもシュールな光景である。
夏条の提案に頷き、2人は夏条と円を作るような形で座る。お弁当の蓋を開けながら、進太郎はまず一番疑問に思う事を聞く。
「じゃあ、早速だが聞かせてくれ、夏条」
「はい、なんでも聞いてくださいな」
「……お前、なんで男の制服着てるんだ?」




