俺は仲間がいてもいいかなと思いました。
「そろそろ仲間とか増やしたいよな!」
夏条が学校に姿を現さなくなってから2日目。まだ進太郎は落ち込んでいたりしないかと心配していた凛花の予想とは裏腹に、実に元気そうにそう言われた。変なところで傷付きやすい親友だが、傷の治りも早いのだ。
「いや別に」
「おおう、ノリ悪いなリン……」
机越しに提案してきた進太郎の意見をバッサリ切り捨てた。
確かにMSWは多人数でのプレイを前提とした要素はほとんどない。一部の超強力なボスを除けばソロでも十分討伐できるそうだ。
だがしかしオンラインゲームは友達とプレイした方が楽しいし長続きしやすい。できる事ならば進太郎以外にも一緒に遊ぶ仲間がいた方がいいのは確かである。
「だって俺はシン以外と何かして遊ぶ気はないからな……」
凛花は嘘は言わなかった。
嘘は言わなかったが、実際の所は進太郎以外の友人がいないのである。
小、中で幾人かはいたのだが、紆余曲折あって進太郎だけとなってしまった。
一人だけしかいない友人ではあるが、付き合いはかなり深い。だから凛花は何も気にしていない。
「おっとリン、もしやそれは愛の告白か?」
「ばっ……違うから! 言葉のまんまだっての!」
他の友達はいなくてもいい、であっていらないという意味ではない。
一緒に遊ぶ人間は多い方が楽しいに決まっている。凛花に友達がいないので必然的に進太郎の友人の話になる。
が、そちらも凛花は知らない。というかいるのかどうかすら知らなかった。夏条を数に入れるならば一人だけ知っているが他はさっぱり。
「ともかく、その仲間の候補って誰だよ。もしかして夏条なのか?」
「ああ、そういう手もあったかぁ。今度会ったら聞いてみるか」
夏条ではない口ぶりだった。という事は他の誰かだろうか。進太郎の友人といえど知らない人と仲良くできるか凛花は不安だった。
「じゃあ、他は?」
「いないぞ」
「は?」
「いや……どうせMSWで遊ぶならもっと仲間がいた方がいいとは思ったんだが俺はリンしか友達いないからな……リンはどうだ?」
「俺もシンだけなんだけど……」
「そうか……」
まさかの見切り発車だった。互いの交友関係の少なさに思わず二人は俯く。
「……まあ、ベルさんみたく初心者の手助けをして仲良くなるとかでもいいかもな。それ以外でも候補が見つかったらいつでも言ってくれ」
「うん……」
思い出してみれば進太郎は休みの日はだいたい自分と一緒に遊んでいた。そりゃあ他に知り合いなんていなくても無理はないなと凛花は思う。
そんななんともまとまりのない提案がなんとなく纏まったところで、教室に眼鏡をかけた賢そうな女生徒が入ってきた。
「桜野凛花さん! 小門進太郎さん! 生徒会長よりお話がありますので直ちにこちらへ来てください!」
教室中に響き渡るような声で呼ばれ、凛花と進太郎は顔を見合わせた。
「……俺らなんかしたっけ?」
「さあ……」




