弱虫すぎる魔法使い
人間とモンスターが住む世界・イーウス
100年前に人間はモンスターに襲われ、その人口は半分以下に減ってしまった。
そんな世界に、一人の少年が立ち向かっていく物語である…
「はぁ、はぁ…ほんまに死んでまうて…」
黒髪のポニーテールの女の子が平原に倒れていた。
「なんであんなすぐモンスターに見つかんねん!」
その女の子は勢いよく立つとすぐに愚痴をこぼした。
「はよ、泊まるとこ探さなあかんのに〜どないしょ」
すると次はテンションが下がってため息をこぼした。しかたなく、歩き始める。10分ほど歩き続けると、急に叫び声が聞こえてきた。辺りを見回すと一人の少年がオーガに襲われる。
「う、うわぁぁぁ〜!」
「だ、だれか!だれかたすけてー!」
少年は泣き叫び助けを呼んでいた。
「はぁぁ〜、しんどいけど助けてやるか…」
女の子は腰に下げた剣を抜き走り出した。
「そこを動かんといてや!」
「ふぇ?」
いきなり、飛び出してきた女の子に少年は驚いた顔で気の抜けた声をこぼした。その瞬間オーガは斬り刻まれた。少年は返り血で真っ赤になっていた。
「少年、大丈夫か?」
女の子は剣をしまいながら少年を心配した。
「は、はい…大丈夫です…」
「それなら、よかったわ」
「えっと、あの、ありがとうございました。」
「ん?そんなんぜんぜんええよ〜」
「それにしても、あのオーガを一瞬で倒してしまうなんてあなたは何者なんですか?」
「ん?ん〜、まぁ…ちょっと旅してるって感じやな」
「そうなんですか…こんな世界ですごいですね…」
少年は少し悲しそうに答えた。
「そうだ!何かお礼がしたいのですが…」
「お!ほんまか!?それやったら、うち泊まる場所用意してほしいわ!」
「はい!そしたら、ぜひ僕の村へ!」
「助かるわ〜、うちの名前はレイネよろしくな!」
「僕はノウスです」
それが、のちに最強のポンコツ魔法使いと呼ばれる少年との出会いだった。