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《ゲリラボス》

今回の市街地マップ

作者の中では、パライヴ3rdの序盤ステージみたいなのをイメージしています。

「……。」


 喋った。

 今、確かに喋ったぞ。しかも家のデストロイヤーの声で。


 張り詰めた緊張が、急激な温度変化で物音ひとつたてない沈黙に変わる。


 視界の悪い粉塵の中をやっと走破したそれは、少し大きめの瓦礫を踏んづけてがくんと停止する。


 トラックだった。

 さっき白軍の連中をたくさん乗せて行ったやつよりも少し大きい、ボンネットの張り出したトラック。

 運転席も助手席も空で、エンジンの駆動音もまるでしないが、確かに今目の前までやって来たのは7tトラックだった。


中型戦術車両後継型(MTVR)……でしょうか?」

「何だそりゃ?」

「アメリカ海兵隊で採用された軍用トラックです。……この車両は、ベースとなるMK23カーゴトラックの様ですが……専らオフロードという印象が強いので、まさかこんなマップにまで乗り上げてくるとは。バグか何かでしょうか。」

「よくわかんないけどさ……うん、このゲーム無茶苦茶だしね。この前なんか砂漠マップで軍艦を見た。」

「流石にそれはお酒の飲みすぎです」


 とにかく、敵ではないようだが。

 エネミーキャラならもっとグロテスクで現実離れした格好をしているはずである。


「で……レミィ。トラックが特殊アバター化するなんてこともあるのかな?……あの……あれだ、トランスフ〇ーマー風に。」

「噂には聞きますが、トランスフ〇ーマーは無いと思います。」

「だよな。ぜったいな。」


 だとすると、つまりそういうことか。


 二人して立ち尽くしていると、やはりというか車体の後ろから迷彩ロリータ服がヘルメットのデザート柄を埃まみれにしながら出てきた。


 もちろん、そんな格好をしているやつはこの世界に二人といない。


 キュウだ。


「見て見て、ミケ!キュウ、がんばったから白組の人たちがごほうびくれたんだよ。ミケが車欲しがってたからもらってきた!」


 マジでか。

 とんでもないことを仕出かしてくるやつである。


 キュウの話を要約するとこうだ。

 敵を狩りやすい場所を探していると、ちょうど白軍と黒軍の衝突に遭遇。

 そこでキュウは、自らの分身たる全自動散弾銃と使い方を覚えたばかりのグレネード系アイテムで白軍に加勢。

 瞬く間に敵を葬り去ったという。


 礼を言われたので試しに「あの車ちょうだい」と頼んでみたら、結構あっさりくれたらしい。


「黒いテープの"はへん手榴弾"……?いっぱいあったから使ってきた。」


 破片手榴弾か。

 爆発すると、爆風と一緒に金属片をばらまいて広範囲の敵をメタメタにするという、ただでさえ危ない手榴弾の中でも更に危ない分類に属する物である。


 キュウには確か、ちょっとした悪ふざけでM26とかいうモノを大量に持たせてやったのだが、早速使ってくれたようだ。

 アメリカ生まれの人気者で、今や国境関係なしに世界中で使われる程優秀な品だ。


 そんなものを石ころ感覚で投げつけてやったというのだから恐ろしい。

 レミィも含め彼女らは、私の恩恵で腕力が滅茶苦茶に底上げされている。

 金属と火薬の塊である手榴弾なら、投げてぶつけるだけでも軽くダメージ判定。射程なんかも考えれば、ちょっとした歩く迫撃砲だ。


「キューちゃん……」


 それにしてもこいつは、まさかそのトラックを一人で押してここまできたのか。全く、総重量幾らだと思ってるんだ。

 というか白軍の連中から何か貰えるだとか、そんなイベントあるのか。7tトラックをハイどうぞ、だなんて正気を疑うような連中だ。


 いや、そんなことはもうどうでもいい


「よくやった、キューちゃんえらい。ちょっといい?」


「えへへ、ミケにも褒められた!」


 私はキュウへの言葉もそこそこにトラックの運転席に飛び込む。

 シートに体を埋めると、まずは歓喜。


「うをっ、でっけえ。トラックとか初めて乗ったわ目線高いな、これ。普通車がごみのようだ……。

 ていうか強そ、うわっごっついな、これ機関銃でも火炎放射機でも何でも乗るよな?乗せるぜ絶対。……イイよ、これイイよ本当。妄想(ユメ)が膨らむ。」


 脳内で繰り広げられる《世紀末ミケゾウ爆走殺戮物語》に興奮しながら、短い脚でどうにかペダルを探る。

 しかし、ブレーキに足が乗っかる頃には膝の角度は既に180度。

 低身長がここで災いするか、やはり私のこの可愛らしいアバターではトラックの運転は疲れそうだ。


「でもぱっと見オートマか、ラッキーだ。」


 無免許JKにマニュアル車は少々辛い。

 あの踏むやつやらギコギコ切り替えるレバーやら、見ているとイライラするのだ。


 だが、それでもこの運転席の作りはどうにかしたい。


「くそ……何だよ、もうちょい優しさのある設計はできんのか?」


 残念だ。

 いや、だがレミィになら十分に運転できるか。

 もしこの便利な六輪の鉄の足が運用可能になれば、私たちの移動範囲は飛躍的に広がる。

 このだだっ広い世界を荒し放題だ。


「嬢」


 運転席でやっと届くアクセルペダルを興奮気味に踏んづけていると、レミィが窓を叩いた。


「なに?今ちょっと帰りに牛乳買おうか考えてたんだけど。マジでさ、こんなビッグマシィンで買い物行けたらちょおクールじゃね、レミィ?」

「嬢……お歓びのところに水を差すようですが……」


 レミィは暫し口ごもると、私の顔を見て意を決したように言った。


「これを持ち帰るのは不可能です。」


「……。」


 アクセルペダルをかくかく言わせていた足が止まった。


「あ?」

「これを持ち帰るのは不可能です。」


 律儀に復唱するレミィ。

 いや、それは聞いた。きちんと理解した。

 そういうことではない。


 私はドアを開けながら脚をばたつかせる。


「なんでさ?レミィ、おまえ大きすぎるとか維持がどうこうとか言ったらバラバラに分解してやるからなっ」

「私に八つ当たりをする分には構いませんけど……」

「じゃあなんで……」

「特殊エリアのルールです。」

「ルール?」


 そこで私は思い出した。

 ああ、確かあったな。こういう場合に適応されるものが。


「特殊エリアから持ち出せるのは、プレイヤーが持ち込んだアイテムと、敵がドロップしたアイテムだけです。」

「……。」

「これはドロップアイテムではありません。つまりマップの一部ですから、私たちがここから持ち出すことは不可能です。」

「……。」


 私がハンドルに額を叩き付けると、キュウが心配そうに顔を出した。


「どうしたの、ミケ?大きい車じゃダメ?トラック嫌い?」

「いや、でかいのはイイよ。むしろ大好きだね、インパクト一番よ本当。あぁ……クソ」


 故に私の声は溢れ出る激情に震えている。

 畜生、道理でNPCも易々譲ってくれる訳である。

 何せ、このデカブツを乗り回せるのはこのマップ内限定だ。


 このままではハンドルを引きちぎってしまいそうな私だが、それをぐっと我慢して私は運転席を飛び降りた。


 さらば、私のカーライフ。

 おまえと私じゃロミオとジュリエットだ。


「嬢、流石にあれは私たちには大きすぎます。用途を考えて、もっと良いものを探しましょう。」

「ああ、わかってる……わかってる。」


 項垂れた私の肩に、レミィが然り気無く手を回してくれたのが救いだった。


「あ」


 そこで私は思い出す。


「キューちゃん?」

「ん」


 呼び掛けに応える彼女の背中には、案の定持たせた筈のリュックサックは無かった。


「どうしたの、ミケ。やっぱり持って帰る?」

「いや……そうじゃなくてさ」


 身長差の関係上私を見下ろす形になっている彼女の顔に、私は悪い予感の的中を確信する。

 ああ、このかわいい顔は全然覚えてない顔だ。

 私は視線を逸らしながら頭を掻いた。


「あの……リュックサックは?きちんとアイテムとか拾ってきた?」


「ん?」


 なんのことやらと首を傾げて、数秒。


 ぽくぽくぽくぽく……ちん


「あ」


 キュウは口を開けると、何もない背中に手を伸ばし、そして空を掴んだ両手を見下ろした。

 そしてビックリ仰天。


「大変!リュック、置いてきちゃった!」

「……。」


 やっぱりか。

 薄々そうなるんじゃないだろうかとは思っていたが、やはり実際にそうなってみると堪えるものがある。


「キューちゃんしっかりしてよ、あぁ~……」


 思わず私が地べたに尻餅をつくと、キュウは慌てて手を振り回す。

 お陰でブンブン振り回される重量兵器が非常に危ない。


「だ、だいじょうぶ!リュックは置いてきちゃったけど、ちゃんと拾ってきたよ!いっぱい!」

「いや、いっぱいってさ……」

「嬢、どうかしましたか?」

「レミィ、聞いてよ。またキューちゃんがキューちゃんしてたよ……」


 駆け付けてきたレミィも何が起こったか理解したらしく苦い顔をした。


「キュウの失敗は勘定に入れていたつもりだったのですが……まさかリュックごと置いてくるとは予想外でした。」

「マジでか。レミィ、私たち帰れるかな?」


 予想以上の収穫の悪さに二人して頭を抱える。

 いくらオカマとの約束とはいえ、これでは帰るわけにはいかない。


 泣きの二週目を危惧していると、件のでかいトラックの方からキュウが声を張り上げる。


「ミケ、レミィ、こっち!」


 キュウがトラックのほろを払って、荷台によじ登っていた。


「あ、こら、キューちゃん危ないってば」


 脚をぱたぱたさせながら荷台の中に転がり落ちるキュウ。腕力モンスターの癖にこういうところではどんくさいやつだ。


「嬢……」

「うん。こーらー、キューちゃーん。それ持って帰れないから、もういくよー!」


 だが、荷台の上からは「待って待ってー!」という声が聞こえるばかりで、たまにもぞもぞと何かを漁っているキュウの頭やらお尻がちらつくだけだ。


「……何をしているのでしょうか?」

「さあ……?」


 正直、キュウのやること考えることなんて親である私にも分からない。

 たぶん誰にも分からないと思う。


 しばらくすると、ガシャガシャという物騒な音の水面からキュウが顔を出した。


「ぷわっ!」

「なっ!?」

「マジでか……。」


 素潜り漁から上がってきたように上半身を覗かせたキュウ。

 だが両手に持っているのはアワビやサザエ等ではなく、黒々物騒な鉄砲たちである。


「ほらいっぱい!こっちは全部落としてきた物だよ!」


 満面の笑みが荷台の上で弾けていた。


「キュウ……あなたという子は……」

「天才かよ……」


 私はレミィの手を借りて、レミィはその身ひとつで、荷台の縁に登る。

 その中を見下ろした私たちは、今までにないくらい目を大きく開けた。


 M4、SCAR、AK、FAL、XM8、HK33、G3、AUG、FA-MAS、ハチキュー……

 西へ東へ、時代も跨いだ名銃の数々。


 トラックの荷台は、底が見えないほどぎっしり敷き詰められた宝に埋もれていた。


「まるで市街地の黒い宝石箱や……」


「嬢……」


 もはや私の口から溢れた物真似には誰も触れまい。


「レミィ」

「はい」

「帰れるぞ。」





「Mama and Papa were laying in bed……♪」


「M4ねえ……ああ、ダメだこれ。レア1、サイトぶれぶれ……あ、でもP-MAGついてる。やった貰い。」


 マグプル社製のプラスチック弾倉『P-MAG』。見た目こそちゃっちいが《ジャミング耐性アップ》や《重量コスト軽減》などのスキルがついていて、あると結構助かる。


 ちなみにマガジンはカスタムパーツ扱いなので、取り外せば個のアイテムとして持ち帰ることが可能だ。


 弾を抜いて、本体は荷台の外にガシャン。

 そんなに雑に扱って、何かの間違いで暴発でもしたら大変なのだが、今は別にどうでもいい。


 私は本日12丁目の銃を手にして、再びレアリティやスキル、カスタマイズや動作のチェックに入る。


 ちょうど向かいからも、レミィが粗悪品を荷台の外に放り出す音がした。


「oh,give me some...~♪……P.T.!」


「お、レア3。これはいただき……」

「嬢、お待ちください。……イギリスのL85、あまりいい話を聞きません。故障が多い、バランスが悪いなど、銃そのものの性能に問題が多いようです。」

「なるほど……レミィは何でも知ってるよね。」


 私は変なところにマガジンのくっついたその小銃を、弾を抜いて捨てた。

 レミィは早くも作業に戻っている。


「いいえ、偶然知っていただけです。」


「Ho Chi Minh is a son of a bitch……♪」


 私たちがしているのは、見ての通り仕分けだ。

 こんなにたくさんあるのだから、良いもの悪いものでごった返している。

 持ち帰るのは、この中でも優秀な個体だけだ。


 ということで、戦場のど真ん中のでっかいトラックの荷台の上で、私たちはあらゆる銃をあっちへ投げこっちへ投げしていた。


「One,two,three,four, United States Marine Corps♪」


 ちなみに、さっきからハミング半分に機嫌よく歌っているのはキュウだ。

 収穫を褒めたらこうなった。


 キュウには仕分けは無理そうだったので見張りをさせている。


 トラックの運転席の上に座って脚をぶらぶら。傍らに取り出したグレネードや、落としたアイテムに混じっていた爆発物をたっぷり積んで待機。

 キュウの投擲能力ならたぶん百メートルくらいまで射程範囲内だし、意外と手先も器用でコントロールも抜群なので、まあ彼女が仕事に飽きない内は安全だろう。


 実際に、さっきアイテムに混じっていた骨董品こと対戦車手榴弾RKG-6をぶん投げて遥か彼方のシャドウピープルの群れを吹き飛ばしていた。

 想像よりもずっと凄まじい図で、一瞬作業の手が止まるくらいだった。


 それにしても、キュウが歌うこの歌だ。


「One,two,three,four, I love the Marine Corps♪」


 いつもの何か抜けたようなおっとりした口調とは裏腹に、歌が結構上手いし、発音も素人が聞くには本物のそれ。


「My Corps♪Your Corps♪Our Corps♪Marine Corps♪」


 それだけなら気分が良いのだが、残念ながら彼女が楽しそうに歌っているのは某海兵隊さん方の勇ましいんだか教育に悪いんだかの訓練歌なのである。


 レミィが訳してくれるには××や××なんて、キューちゃんの口から出てくるとは思えない単語が普通に混じっているらしい。


「~♪~♪」


「あ~……キューちゃん?」


「Mmm~……ん、ん?」


 選別の手を止めずに遮った私に、キュウは脚をぶらぶらさせながら歌を中断する。


「なに、ミケ?」

「いや、あのさ。その歌、意味わかって歌ってる?」


 するとキュウは、少し首を傾げてから答えた。


「わかんない」

「だよな、知ってたら逆にショックだよ。」


 これだから不思議なもんである。

 歌の意味もわからない。どこで覚えたのかもわからない。だが確かに知っている。

 レミィの知識もそうだが、特殊アバターには不思議が多い。


「ねぇキューちゃん。どうせならもうちょい可愛い歌お願いできんかな?××とか××はあまりにもこう……。」

「かわいい歌?」

「そう」


 生憎この世には私が愛用していた音楽プレイヤーが存在しないので、歌はうまいやつに頼むしかない。


 キュウに選曲の見直しを提案していると、また一つ銃を捨てたレミィが注意を飛ばしてくる。


「嬢、遊んでいないで手を動かしてください。」

「わかってるってば。BGMは作業効率上げるんだぞレミィ。」


 頬を膨らませながら、私はグレネードランチャー付きのAN-94(アバカン)をリュックに押し込んだ。


「ねえ、ミケ。かわいい歌ってなに?」


 ふと、頭上からキュウが尋ねてきた。


「え?」


 確かに、可愛い歌とはなんだろうか。

 どうも最近は歌という物とは無縁なので、ぱっと浮かぶタイトルがない。


「う~ん」


 アイドル系とかどうだろうか。あのアキバ発の連中なんかはメジャーだろう。

 いや、それはどうもチャラつきすぎて肌に合わない。


 というか、そもそもこの場合の『可愛い』とは何なのだろうか。


 そろそろ哲学の域に達しつつある私の口から、ふと言葉が漏れ出した。


「……オザキ」


 "オザキ"と言ったら、あの"オザキ"である。

 別に好きでも嫌いでもないが、適当に歌手の名前を浮かべようとしたらその名前が出てきてしまったのだから仕方ない。


「……ん?」


 案の定疑問符を呈するキュウ。


「知ってる、キューちゃん?」

「わかんない。"オザキ"はかわいいの?」

「いや、かわいいっていうか……いい歌書くよ、彼は。」


 果たして私に彼の何を語れるかというのは自分でも謎だが。


「オザキ……オザキ……?」

「わかんないならいいや。」


 私は諦めて作業に戻ることにした。

 そもそもBGM選びに三分以上を費やせるほど熱心に音楽を好いている私ではない。

 カラオケにさえ満足に行ったこともないのだ。


「んんん~……」


 また頭の上でキュウの歌の時間が始まる。

 あの訓練歌が再開するのかと思われたが、ふとそれが不自然に止む。


 かと思えば、そのガラスを弾く様なハミングが何やら聞き覚えのあるイントロを奏で始めるではないか。


「……え?」


 思わず手を止めた私が見上げるのと、キュウが見下ろすのとが同時だった。


「ねえ、ミケ」

「な……なに、キューちゃん?」


 キュウはしばらく斜め上の空をぼんやり眺めると、急に首を傾げて尋ねてきた。


「なんでオザキは窓を割るの?ガラス嫌い?ヘンなの……。」


「……」


 今でこそちょっとした冗談になる話だが、当時は結構ゾッとした。


 本当に底の知れない奴である。

 ちなみに後で聞いたところ、キュウは"オザキ"が人名であることさえ知らなかったし、その曲に関しては尚更知らなかったらしい。


 不思議の国SOGOである。



「終わりです」

「うわぁ……結構やったなー」


 私はぐちゃぐちゃに散らかったトラックの周りと、溢れた弾薬ひとつふたつが転がるばかりの荷台を見比べて延びをした。


 リュックサック二つは選びに選んだ自動小銃、その他火器やパーツでパンパンだ。

 量で言えばリュック(キューちゃんの)がひとつ消えた分当初の目標よりも少ないが、質には文句は出ないはずだ。私も鼻が高い。


「嬢は選別しただけじゃないですか」

「うるさい、それ言うな」


 今度こそ場違いなトラックに別れを告げて、私たちはマップの中心を目指す。


 特殊エリアを抜け出す方法は大きく二つ。

 マップの端まで逃げて『撤退』するか、マップ内での目標をクリアするかだ。

 そのうちドロップアイテムが持ち帰れるのはクリアによるエリア離脱のみで、撤退だとドロップアイテムは全て没収となる。


 このマップの目標は『エリア内の《FLAG》の破壊』だ。

 この《FLAG》というのは、文字通りの旗の形をしている訳ではなく、大抵は人の頭より少し大きいくらいの赤い結晶だ。

 敵の拠点のど真ん中にあるときもあるし、難易度が上がればエネミーキャラが体内に隠し持っていることもある。


 詳しい場所が示さることはないが、方向は視界の隅に見える方位磁針のような表示で分かるようになっているし、特定のスキルがあればもっと楽に探せる。


 赤い矢印が指すのはエリアの中心、爆発音と立ち上る煙が最も賑やかな場所だ。

 これは最後にもうひとつドンパチやっていくことになりそうだ。


「今度こそ帰るよ。」

「了解です。」


 武器を構え直して、私たちは前進を始める。


 だが、ある建物の横を通り抜けたその時、キュウが突然立ち止まった。


「ん?」

※キューちゃんのキュウは⑨ではなくQです

ちなみにミケ氏はあのトラックをマッ〇マックス風にしてやりたかったようです。


※上手く挿入できなかったのでミケゾウのステータスやスキルをここで紹介しておきます、技量がなくて申し訳ない……


●ミケゾウ

筋力 S

俊敏性 A

持久力 B

精密性 B

感知能力 D

《発動スキル》

アバタースキル(固定)

●筋力値ブーストLV9

●俊敏性ブーストLV3

●体術ダメージブーストLV6

装備スキル(着脱可)

●危険察知LV4

●感知能力ブーストLV6

●俊敏性ブーストLV3

●部位欠損ダメージ軽減LV5

●収納術LV4

その他……

火器装備による発動スキルは省きます。

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