泣き声
それからというもの、僕は森の中を彷徨っていた。
出口を探すためだ。
しかし、一向に出口は見付からない。
一週間彷徨ったが、出口は見付からない。
「はあ、どうなってんるんだ。この森。」
まあ、文句を言ってもしょうがない。
体力ももう持たないところまで歩き回った。出口を探している間、モンスターに見付かり何度逃げ回ったことか・・・。
「仕方ない。ここに小屋でも作って暮らすか。川もあるし、しばらくならここで暮らすこともできるだろう。」
そう自分に言い聞かせ、周りに落ちている木を集め、小屋を建てた。
川で魚を釣り、焚火で焼いて食べた。
そんな生活がしばらく続いたある日の夜。
「ああ、今日も星がよく見える。気持ちのいい夜だ。」
いつものように、夕食を食べた後寝転がり星を眺めていた。
その時、遠くの方から声が聞こえた。
『・・て!誰か!!』
今助けてって聞こえなかったか。
『殺され・・、誰か!!助けて!!』
やっぱり聞こえた!!
北の方か、森が深い方だな。
誰なのかは分からないけど、見に行くか・・。
声が聞こえてきた方向へ行ってみると、一匹の小さな狼みたいな姿をしたものが大きな熊のようなものに囲まれていた。
うわあ、何だあの大きな熊は・・・・見たことないな
まあ、いいか。
かわいそうだけど、この世は弱肉強食だし・・・
そう思ってこの場を去ろうとすると、その小さな狼みたいなやつが僕に気付いたようでこちらを見つめてきた。
おい、何だその目は・・・
やめてくれ、そんな目で見られたら助けたくなるじゃないか。
武器も何も持ってないんだぞ。
それでも、その子は泣きそうな目で見つめてくる。
はあ、しょうがない。
あんな表情で見つめられたら、断れないじゃないか。
やってやろうじゃないか、この熊もどき共!