転生当日
その晩、僕は夢を見た。
広範囲にわたり木々が密集している森林。
その中にぽっかりと木々が生えていない場所に僕はいた。
視線には空が青く広がっているのが見え、それ以外は見えない。
「何だ?どこだ、ここは」
そうつぶやいた僕は周りを確認しようと体を動かそうとする。
しかし、
「あ、あれ?体が・・・・う、う~ん!!何で動かないんだ」
そう、体が動かないのだ。
足も、手も、頭も動かない。
動くのは唯一、眼だけである。
そして、見えるのは空だけ。
しかし、ここが森林の中ということは何故かわかる。
「はあ、なんだろうなぁ。変な夢だ」
そうつぶやいた時、僕の隣に何かいるのがわかった。
「ん、何だ?誰かいるのか?」
と呟いた瞬間、その何かはびっくりしたように走ってどこかへ行ってしまった。
「はあ、どっかへ行ってしまった。何だったんだろうな」
そう考えていたら、段々眠くなってきた。頭がぼーっとしてきて、そのまま眠ってしまった。
今日は病院の日だ。
毎月1回は必ず診察を受けている。
まあ、最近は何の異常もないので数分で終わる。
異常があったら困るのだけど。
そう思いながら病院へ行く準備をする。
準備といっても診察カードと薬手帳を忘れないように鞄に入れるだけだ。
「よし、行くか。」
そう思ったとき、急に頭が痛み出した。
「うあ!!い、痛てえ!!何だよ急に・・・」
そう思ったときには、もう立っていられず頭を押さえながら床に倒れてしまった。
(ああ、このまま死ぬのか、僕・・・)
今まで味わったことのない痛みだったからか、僕は自然とそう思った。
(はあ、なんだかなぁ。あっけない人生だったな、僕。こんなことなら、彼女に告白しておけばよかった。振られるだろうけどそれでも言わないよりはいいよなぁ。)
そう思いながら、僕は意識を失った。
その時、これから起きることが何なのか。
それを知らないまま・・・・。
『やっと見つけました・・・。もうすぐ、もうすぐお会いできます。』
『ヒロ様・・・・』