チートなユニークスキル
◇◇◇◇◇ー生後1週間目ー
魔力を増やすには、使えば使うほどいいとラファエナは言っていた。
つまり、体内にある魔力を減らして、0に近づけば近づくほど身体がそれに慣れて、魔力量が増えると推察する。
なので魔力を身体から無駄に放出していたら
《適応しました》
と、前に聞いた事のある声がした。
前回はこの後、魔力がスムーズに動くようになった。今は魔力を増やす練習をしていたので、魔力量が増えたのかな?と思いたいが、まだ自分で増えたかどうかがわからない。
うーん……早く魔力を回復したいんだが……そうだ!空気中にも魔力みたいなのがあるってラファエナが前に言っていたな。
確か魔素だったけ?
魔法が使われることによって、その結果空気中に魔素が残る。
魔法を使うことが呼吸だとしたら、魔素は二酸化炭素みたいなものだ。
この魔素が異常に多い所は、魔物が発生しやすい。
ちなみに魔物の発生は2種類ある。1つは普通に生殖活動。もう1つは魔素が過剰に溜まった魔素溜まりから出現する。
まぁその不思議ファンタジーは置いといて、俺はこの魔素を、自分の中で魔力に変換出来ないか……と思い、さっそく呼吸をして、魔素を身体に取り込むイメージをして、さらに、魔力に変換するイメージをする……
《適応しました》
……出来る。ひと呼吸ごとに、自分の中で満たされていくの感じる。ーーーダメだ足りない。まだまだ……足りない!!
《適応しました》
……すると今度はひと呼吸で全回復した。ーーー次は魔力の絶対値が足りない。今度は魔力を全力で放出……
《適応しました》
……今度は呼吸が足りない!!
《適応しました》
……足りない
《適応しました》
……足りない
《適応しました》
……足りない!!
ーーーどれくらい経っただろうか?最終的には、全力で魔力を放出しても減った気はしないし、例え減ったとしても、呼吸1つで全回復な気がする。【魔力支配】を使わないと身体中から魔力がほとばしってしまう。
スキルを確かめてみると
【魔呼吸】
【魔素適応】
↓
【魔素支配】
の2つが増えていた。
それにしてもユニークスキル【適応する体】思っていたよりチートだった。
……さて、魔力も増やしたし他に何をやろうか?
「へぅ…う、ゔぅぅぅ」
ーーー!?妹が…妹がぐずってる!
どうする!?赤ん坊の身体では、ろくにあやすこともできない。……そうだ!
魔力を身体から出して、硬さを粘土くらいにする(触手と呼ぼう)。
動きは自由自在なので、これで妹と遊んでやる!!
「へぅ…へぅ……う?」
ふふ、目に見えない物が手に、顔に、お腹に触れる。ファナは随分と不思議がってるようだ。泣き止んでくれてよかっ……っ!?食べた!?え、それ食べれるの?
「んむ…んむ…はむ……」
チュパチュパと俺の触手(*魔力です)を吸いつき、舐めたりしてる。
それ美味しいの?まぁいいのかな?
じゃあ修行を始めるか。触手を切り離し(この時魔力が霧散しないよう、魔力密度を高めないといけない)次に何をするか考える。
……う〜ん、気と魔力を合わせられないかな?まず、体を魔力で覆って、身体強化を行う。
さて、ここからだ。体内の気を循環させて、体に覆ってある魔力に結びつき合わせるイメージ。……出来…た?なんとなく身体強化が強まったきがしないでもない。
次は合わせるイメージではなく、重ねるイメージをした。
魔力で作った、自称“魔力球”を気で包み込み、逆に気を魔力で覆ったりした。スキルに
【魔闘気】
が増えていた。
ーーーさて、そろそろ魔法を使いたくなってきたが、大惨事が起こるのは目に見えている。これは基礎を続けるしかないな。
◇◇◇◇◇ー1歳ー
あれから1年、ひたすら魔力を増やしたり、体外に出した魔力の密度を高めれるだけ高めたり(厚さ1ミリの“極薄高密度魔力剣”を編み出した)体内の魔力の密度も同じ事をした。遠くの物を見ようとして
《適応しました》
【鷹の目】
眠らずに修行をしていたら
《適応しました》
【睡眠耐性】
を習得した。
暇な時は意識を心の奥底にある、自称“魔の海”に沈める。(海の底で様々な光が煌めいているように見える)
よく観察してみると、海みたいなものは魔力の塊で、光は各属性の様だ。妹のにもはいって、俺より光が少なかったので確かだろう。
称号に
【魔の理を理解し者】
というよくわからないのが出てた。他にも
【人ならざる人】
【シスコン】
が増えていた。
ちなみに妹の第一声は1歳で
「にいに」
だ。度々耳元でにいにと連呼しておいてよかった。
俺の触手・改(魔力の触手に気をコーティングした物です)をあげていたのもよかったのかもしれない。
ファナは1歳になってさらに可愛くなった。顔はもちろん、寝る時に手を握ってくれたり、毎日ことあるごとに抱きついてきてくれたり、行動もかわいいのだ。
俺の第一声は6ヶ月でママとパパ、7ヶ月でエレナとミーニャ、1歳の誕生日にありがとうとすごいを言った。(喋らないというのは面倒くさかったから、そうそうに喋ってしまったが、正直やりすぎた感がいなめない)
ミーニャと呼んだ時、無表情ながらも尻尾がピンと立ち、耳がピクピク動いていたのを忘れない。みんなは素直に喜んでいた。
この家族は、この生活はなんとしてでも守ろうと思える。俺は、俺の守りたいと思ったものならなんだって出来る。例えそれが殺しであったとしても。
ーーー地球でもそうだったんだから……人を殺した事が…あるんだから……