人知れず、活躍している死神さん
◇◇◇◇◇
メイドさんとワカナを置いて、1人部屋から出たクロイヌは、さっきの自分の発言を後悔していた。
だって、何も考えていなかったのだから。
ただ思っていた事が口から出ただけで、その後どうするかなんて一切考慮していなかった。
ーーーいや、過ぎた事を悔いても仕方がない。今の俺はクッキング父さんだ。料理にだけ専念しろ。
〜〜〜〜〜
地球の知識。
異世界の食材。
そして、勇者の力。
その3つが合わさり、クロイヌは至高の料理を作り上げた。
「……いや、これ料理なのか?」
ユニークスキルの恩恵で、クロイヌは自分が作った料理の性能を知ることができる。
「魔力アップに筋力アップ。俺が食べるとさらに【火竜の鎧】。
これはやっぱり火竜の肉を使ったことが原因だよな。でも魔力アップに筋力アップって、どこのドーピングだこれ?」
ぶつくさ文句を言いながらも、味は「〜〜〜っ!?」だっので、気にしないことにするのだった。
◇◇◇◇◇
次の日、変わらない態度のメイドさんに少し安心しながら、クロイヌはもう1つのユニークスキルの能力を確かめることにした。
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クッキング父さん:貴方の作った料理を食べたものは、無条件に好感度アップ。(なお、ショタとロリに効果絶大)ステータスアップの料理も作れるぞ。
他にも色々あるから、試してね。
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すなわち、好感度アップの項目。その為にワカナを家に連れてきたのだ。
結果どうなったかというと……
「ほらワカナ、美味しいぞ」「〜〜〜っ!?」
「おかわり? もちろんいいぞ」「〜〜〜っ!?」
「あの、ワカナさん?」「〜〜〜っ!?」
「ほ、ほどほどにな」「〜〜〜っ!!」
自分の料理には胃の構造を変える力があるのか? と思ってしまうほど、ワカナの食べっぷりは凄かった。
そして……ワカナは懐いた。
「そろそろ膝から降りてくれないか?」「や!」
「お風呂くらい……」「や!」
「寝るときくらい……」「や!」
結局、一緒にお風呂に入って、一緒に寝た。
「どこで俺は間違えた……?」
「いつかこんな日が来ると思っていましたが、私もまだまだですね。まさか、2日足らずでこのような懐き具合とは」
「は、ははは………そういえば、メイドさんは俺が作った料理食べないのか?」
「あれ……ですか。
とても美味しそうに見えますし、実際に美味しいのだとは思いますが、何故でしょう。本能がまだ食べてはダメだと」
「助かるよ」
クッキング父さん恐るべし。
ユニークスキルの使いどころは間違えちゃいけないなと、この日誓ったクロイヌだった。
ーー因みに、散々ワカナの態度に困っていたクロイヌだったが、ある日「パパ」と呼ばれるまで好感度がアップしたその時、クロイヌの家族スイッチが入ってしまい、何も問題は無くなった。
即ち……
ビフォー「大好き」「少女にそんなこと言われてもなぁ……」
アフター「パパ大好き」「俺も大好きだよワカナ!! 待ってろ、お前の障害となるものは全て排除してやる」
クロイヌのステータスで最も恐ろしかったのは、ユニークスキルではなく称号の 家族思い だったのかもしれない。
◇◇◇◇◇メニュー
・火竜のトメトスープ:魔力アップ。筋力アップ。クロイヌ専用【火竜の鎧】
・リヴァイァサンサーバメントの兜焼き:耐久力アップ。スタミナアップ。クロイヌ専用【水の防壁】
・デスコマンダーのムニエル、無限キノコを添えて:スタミナアップ。魔力アップ。クロイヌ専用【再生】【漆黒の翼(的な)】
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・エクレア:四肢欠損回復
・たい焼き:回復大
・肉まん:回復中
・グミ:回復
・ガム:一時的な筋力アップ
・アメ・上に同じく
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◇◇◇◇◇おまけ
「死神さんに沢山依頼が来てますよ」
「依頼?」
「ーーまず、火竜の肉確保。リヴァイァインサーバメントの肉確保。デスコマンダー生け捕り。無限キノコ採集。
他にもありますが、これを依頼した人は全て同じです。
フランチェスカ・リズベット。フンムラビ王国最強の元Sランク冒険者です」
「ふーん」
興味なし。