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神羅転生物語  作者: watausagi
最終章 降臨
169/217

摩夜より出ずる無邪気な混沌

◇◇◇◇◇


1年の部 決勝戦 ステラVSパニス


〜〜〜〜〜


パニスは対戦相手を見て、こういうのを運命というのだと悟った。


ーー偶々交流会で水切りを教えて、この人なら大丈夫だと友達になって、ダンスパーティで気付いた主席入学。

そして今、武闘大会の本戦……それも決勝戦で再開したんだから。


「前のダンスパーティ、驚いた。

貴女が主席入学だったなんてね」

「私もパニスが主席入学だったなんて驚いたよ! ……でも、驚いたよりも嬉しかったな。だって一緒なんだもん!」



曇りひとつないその笑みは、ステラがその言葉に一欠片の嘘がないことを証明している。

その純粋さは羨ましいなと、パニスだけではなく、これはきっと皆が思っていることだろう。


「一緒だから嬉しい……か。私もそうね。でも、手加減はしないわよ」

「もちろん! 私もイリーに約束したんだから!」


ーーーーー


『私の負けね。こればっかりはしょうがないわ。はぁ……シンラ先輩に良いところ見せたかったんだけど』

『良いところを見せたい……?

そっか……うん、安心してイリー! 私が代わりになって先輩に良いところを見せるから!』


『え、喧嘩を売ってるのかしら?』


『?』


ーーーーー


何故、イリーは少し怒っていたのか。今でもその理由が分からないステラはうーんと唸り、それより今は目の前の事に集中しないととほおを軽く叩いて、もしも優勝したらシンラが褒めてくれるかもと思って顔がにやける。


ーー分かりやすい子ね。


考えている事が全て顔や仕草にあらわれてるステラを見て、思わず将来を心配してしまうパニスだった。


「よしっ、いくよパニス!」

「いつでもいいわよ。私も伊達に学園長の娘やってないんだから」



空気が変わった。

ピリリと緊張が高まり、さっきまでのお喋りタイムは終了。つまり、そこはもう立派なーーー戦場だ。


「[影縫い]!」


この歳にしては早すぎるほど精密な魔法行使。自分へ一直線に襲いかかろうとする影を見て、パニスは正確に相手の力量を測る。


ーー私よりも魔法の発動は少し早い。今からじゃ間に合わないし……


一旦パニスは後ろに飛び退こうとして…………やめた。


「んん〜!! んん〜〜〜!!」

「……届いてない」


パニスの目の前では、ステラから伸びる影が必死に頑張っているものの、フニャフニャと力が抜けたようにステラの元へ帰っていく。


「ダメだった」

「……[風切]」

「っ! [暗中模柵]!」


魔力によって形付けられた鋭い風の刃がステラを切り裂こうとし、ステラは自分を囲むように影の盾を作る。


「やるわね。でも、それ以上貴女をこっちに近づけさせなければ、影に怯えることはない。

魔力量には自信があるの。我慢対決といきましょう」

「むむっ……えい!」


何かを考え込んだステラは、また、さっきと同じように影をパニスへ伸ばす。


「だからそれは無駄……っ!」


何か嫌な予感がしたパニスは、慌てて後ろ今度こそ飛び退く。そしてそれは正しかった。さっきまでパニスがいた場所は、ステラの影が(うごめ)いている。

もしもパニスが動かなければ、少しでも避けるのが遅ければ、たちまち影のえじきとなっていたであろう。


「ど、どうしていきなり射程距離が……まさか、ステラ。さっきのは嘘?

先入観を持たせて油断させた……?」


考えてみれば、それは古典的でありきたり。

なら何故パニスは気付かなかったのか?

それは信じていたから。おかしな話だが、ステラはそんな事をしないと、出来ないと、無意識に思い込んでいたのだ。


ーーーところで、パニスが騙されたと悔しがる一方で、ステラは困った顔をしていた。


「えっと、先入観? 油断?

なんていうか……これは先輩が言ってたんだけど。『騙せ。欺け。翻弄しろ。勝者こそ正義。この世は弱肉強食だ』ってね、だから言われた通りにやったんだけど、パニスには通用しなかったみたいだね。残念」

「……なるほど。あの男、やっぱり嫌な奴ね。

ーーーまあいいわ。今度こそ、それが貴方の限界距離。いえ、例えそうでなかったとしても、もう油断はしない。

次はこっちから攻めるわよ。[万風千切]!」


億の風が凝縮。千の刃へと変換され、至る所からステラへきりかかる、それは、最初の技と比べてはいけない。

ステラも[暗中模柵]を使うが、このままでは壊されると判断して、更に影を囲み、完全にステラの姿は見えなくなった。


まるでーー黒い卵。


「我慢対決ってわけね」

「…………」


ステラの声は聞こえない。

パニスの言葉が聞こえないからなのか、それとも防御に専念しているのか、どちらにせよパニスは魔法を止めない。相手の魔力がきれるまで、自分の魔力が尽きるまで、この戦いは終わらない。


ーーー黒い卵にヒビ入る。これがチャンスと、パニスは追い討ちを。


ーーー黒い卵が割れた。しかし、そこにステラはいなかった。


「嘘っ!? どこに……」

「後ろだよ」

「っ……そん……な」


首に伝わる不気味な冷たさ。動こうとしない自分の足。

パニスは恐る恐る横目で確認すると、首にはステラが作り出した影の刀。足にはステラから伸びた黒い影が絡まっていた。


「騙せ。欺け。翻弄しろ。

私ね、使えるのは闇魔法だけじゃないんだ」

「……そう。私はとっくに先入観を持たされてたって事ね。

私の負け。降参よ」


1年の部。優勝、ステラ。


◇◇◇◇◇


うわっ、ステラ堂々と空間魔法を……これまずいんじゃ……


『なあ、今のなんだ?』

『急に後ろに現れたぞ』

『あれだろ、ステラちゃんだからだろ』

『可愛いからだろ』

『『『それだ!!』』』


……大丈夫そうだな。

◆後書き◆

もう……戦闘描写はムリだよぉ

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