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神羅転生物語  作者: watausagi
最終章 降臨
149/217

別名:あと一歩で(色んな意味で)廃人

◇◇◇◇◇


これは、少し時を遡り、まだステラやイリアがマイホームにいない、シンラ達が1年生の頃の話である。


冬休みが終わった次の週の土曜日、2月の14日……そう、バレンタインデーだ。


◇◇◇◇◇


シンラは、目の前の物にステータス確認を行いーーガッツポーズをする。


ーーーーー

カカオカオカオ:ガーナッガの丘陵地に自生してある。

ラファエナ補足:もうこれカカオです!

ーーーーー


「これでグランウェール産のチョコレートが作れる。

創造魔法を使いたくなかったから、丁度いい」


満足げな顔を浮かべるシンラは、早速チョコ作りを始める。が、何でバレンタインデーにシンラがチョコを作っているかといと……


「俺が作らないと、この世界にバレンタインデーなんて存在しないからなぁ」


満足げな顔に少し影がさしながら、シンラはボソリとつぶやいた。


まさかファナ達に、

『地球じゃこの日はチョコを〜』

なんて言えるわけがない。


「でも何もしないってのは寂しいし」


という訳で、シンラは1人キッチンでカカオカオカオを調理する。


「原材料から作るのは俺でも初めてだ。

まずは……切る」


目にも留まらぬ包丁さばきで、何個もあるカカオカオカオは数秒遅れて、気付いたように真っ二つになった。


中はびっしりと種子がつまっている。その種子は、何となく大きいアーモンドを思わせる。


「それで……これの果皮を取り除いて、発酵させればいいんだったな。

だけど……」


流石に発酵を待つわけにはいかなく、ここは魔法を使った。


「今回はここに、数日発酵させて、お日様で乾燥させたカカオカオカオ豆を用意しました。

次は……【錬金】」


ここでカカオカオカオ豆は選別され、砕かれ、大きさの揃ったカカオカオカオ豆を焙煎する。

やっと仄かに香りが出てきた。


「さて、次は……」


〜〜〜〜〜1時間後


様々な工程を、創造魔法以外の魔法で解決して、必要な材料を、出来るだけこの世界で似たような物を使い、カカオカオカオマスが出来上がった。


シンラは天才だった。


似たような物を使ったと言っても、それは似ているだけにすぎず、完全ではない。

しかしシンラは、その違和感を別の材料を使い、自分なりの完璧を生み出したのだ。

地球の知恵とグランウェールの食材、まさに夢の組み合わせ。


「ふー……やっとチョコレートが作れるな……ん?」


シンラが下を見ると、香りにつられてきたのだろうレティスがいた。

ペーストのカカオカオカオマスを見て、目がキラキラしている。


「……チョコ」

「厳密に言うとまだそうじゃないんだ」

「……欲しい」

「だからまだだって。これ食べても美味しくないぞ。

後でみんなにあげるし、気になるならそこの椅子に座っててくれ」

「……我慢」

「ああ、我慢だ」


トトトと椅子のところまで行き、ピョコンと座ったレティスを見て、より一層気を引き締めたシンラだった。


〜〜〜〜さらに1時間後


テンパリングも済ませ、味は完璧なチョコレートなった。

こんなにも早く終わったのは、やはり魔法という存在あってこそだろう。


「よしっ、後は見た目かな……」


チラリと、シンラが後ろを振り返ると、椅子の上で必死に我慢をしているレティスが見えた。

どれくらい必死かというと、フラフラと勝手に動く右腕を、慌てて左手で抑えつけて、今度は勝手に動く左手を、魔法で抑えつけて……とにかく可哀想になるくらい可愛い我慢をしている。


「あー……もうすぐ、だからな。

もうちょっと、後もうちょっとだ」

「……がっ…まんっっ」

「うん、俺頑張るから!」


涙目になってきたレティスを見て、胸を苦しませながら、さらに張り切るシンラだった。


〜〜〜〜〜10分後


完璧なチョコレートが出来上がった。


それは芸術。


食べ物の枠を突き破り、神の領域まで達したのがシンラ作チョコレート。

味・見た目・香り。全てが天元突破した極み。


ーーーーー


神のチョコレート:言葉にできない味。語り尽くせない見た目。終わりなき香り。

これを食べても、その味は1日しか覚えてない。脳が……いや脊髄が直感的に反射的に危険を理解し、その記憶を消すから。

何故なら、これの味を知る限り、他のものなど(言い方は悪いが)ゴミに等しい。

ラファエナ補足:私も下さいね!


ーーーーー


「うーん、名前に神がつくとは……」


ここまでくるとシンラも予想外だった。レティスでさえ、漂う香りだけで蕩けた顔をして満ち足りている。


みんなにあげるのが少し怖くなってきたが、あげない訳がない。


シンラは知人にこのチョコレートをパパッと渡して、最後にマイホームにいるみんなと食べる。


◇◇◇◇◇


偶然、神のチョコレートを口にしたのは、誰もが同時であった。


「「「い、いただきま〜す!」」」



パクっ……………


そして、口にした全ての人間はーー固まった。


何も喋らず、何も動かず、下から脳に伝わる味のだけが感じられ、逆に言うとそれ以外感じられない。


皆が意識を取り戻したのは、丁度24時間後だったとさ。


◇◇◇◇◇おまけ


余談だが、シンラの使役魔物ライムが進化した。


元は新・スライム

それから真・スライム

最後に、今回のチョコレートを食べて神・スライムとなった。


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