この日した約束を、俺たちは忘れない 後編
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丘に行くと、案の定みんなはそこにいた。
適当に話をした後、何となく草の絨毯に転がり、空を見上げた。
この日はただでさえ星が綺麗なのに、ここに来るとそれが余計感じられる。
強すぎず、だけどそれぞれが輝き合う。互いに干渉せず、だけど1つ1つが主張しあっている。
星なんていつでも観れるけど、いつも感じ方は違ってくる。
あの神秘的な光景は、絶えずその姿を変わり続けているのだ。
〜〜〜〜〜
俺がなんちゃって星座を探していると、横にイリアとファナが来た。
「見てくださいシンラ先輩。
あの星、とってもかっこいいです。でも、シンラ先輩の方がかっこいいですけどね」
かっこいいって、星がかっこいいって無理やりすぎるだろ。
「見てくださいお兄様。
あの月、とっても綺麗です。でも、お兄様の方が綺麗ですけどね」
無理やりじゃない、無理やりじゃないけど綺麗って、それ褒め言葉か?
やっぱり無理やりだ。
「ーーー覚えていますか、お兄様。去年のこの日を」
「……覚えているよ」
どこか遠く、なんて話をしたっけ。
でも結局、今年もこうやってみんなと星を見ている。
だったらーーー
「来年もきっと、この星を見よう。
ここで……みんなと……絶対に……」
ーーー気づけば、みんなが周りにいた。
口々に当たり前だ、とか、絶対だ、とか言っている。
「じゃあこれは約束だな、うん。指切りげんまんだ!」
ステラ以外指切りげんまんを知らないので、軽く教えてやると……怖がられた。
「拳万」に「指切り」に「針千本」、確かに凶悪だ。
「やりましょう、お兄様」
「だよな、破らなければいいだけだ」
俺たちは輪になった。そして隣の人と小指を結ぶ。
そしてーー俺たちは約束したんだ。来年もみんなでここに来る。そして星を見るって。
「……叶いますよね、お兄様」
「どうだろう、運命なんてそんな簡単なものではなく、奇跡なんてそうは起こらない。
だったら、自分たちでどうにかするしかないさ」
でも、今日は7月7日。七夕だ。
だったらついでに願っておこう。
願わくば、人生ハッピーエンドを迎えたいもんだ。