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神羅転生物語  作者: watausagi
最終章 降臨
147/217

この日した約束を、俺たちは忘れない 中編

◇◇◇◇◇星夜祭


『わー! これ美味しい!』


『あ、走っちゃダメよ!』


『あーん、ウフフ』


……迷子になってしまった。

いやいや、この歳になって迷子? ありえない。ありえないだろそんなの。

どこかに迷子センターがあったとしても、絶対に俺は行かないぞ。


さっきからファナ達の気配を探ろうとしているが、かなり集中しないとゴチャゴチャして分からない。数の暴力め!


「って、冗談言ってる暇はないな」


そう、迷子なんて明らかにおかしい。

……いや、魔力は感じなかった。だとするとユニークスキルか?

悪意、は無さそうだから別に放っておいても良さそうなので、この際強引にファナ達と合流しようか考えていると……


「ーーーシンラ・アリエルト」

「ん?」


……後ろを振り返ると………なんか女の子がいた。

あ、なるほど!


「お嬢ちゃん迷子なのか」

「私はお嬢ちゃんでもないし、それに迷子はお前の方だろう」


ごもっともだ。

あれ、でもなんで俺の名前を知ってるんだろ?

気になってステータス確認をしようとして、それと同時に思い出した。

あの時の魔王だ。


「お前、魔……(いや、面倒だから知らないふりをするか)……マかパパとはぐれちゃったの?」

「だから迷子ではないと言っておるだろう!私は魔お……(もしや、私の事をおぼえてないのか? )……前に質問があってきたのだ」

「質問?」

「ああ、お前の事は知っている。

相当強いな。人族、いやそんな枠組みに収まらない強さ。

そんなお前に聞きたいことがある。

魔王を……どう思っている?」

「………」


答えづらい! なんて答えづらい質問なんだ!! 考える中で一番嫌な質問だ!


「そう、だな……可愛いと思うぞ」

「……何を言っている?」


しまった! つい無難な答えを言おうとして、なんか魔王から変な目で見られている!


「ゴホンッ……魔王ねぇ…そうだな、俺はどうでもいいかな」

「ど、どうでもいい?」

「ああ、魔王魔王言ったって、俺は実際に魔王を見たことないからな(※堂々とした嘘)。ひとくくりにどう思ってる? 何て言われたって答え用がない。

だからーーどうでもいい。

もしも俺に危害を加えようなら、俺の守りたいものに危害を加えようなら、その時はその時だ」

「……そうか……そうなのか……だったら! だったらもし、魔王が争いなどしたくないと言ったら、お前はどうする?」


へぇ、何となく分かってたけど、やっぱりそうなのか。


「別に協力してもいいんじゃないかな」

「本当か!」

「こんな事で嘘は言わないさ。

それより、何でそんなに嬉しそうなんだ? (※意地悪)」

「うっ……い、いや何でもない。私はもう帰る。

………また会おう」


若干顔を赤くした魔王は、人混みの中に消えていった。


ーーーその代わりと言ってはなんだが、後ろからまた気配がする。魔王の側近か?


「ーーーお前、気づいているな」


そいつは、悪意や敵意こそないものの、疑心に満ちているのがすぐに分かる。


「……魔王っていうのは、お忍びで祭りにでもくるのか?」

「やはりっ……何を企んでいる」

「別に何も企んでなんかいないって。むしろ何かを企んでるのはそっちじゃないか?

争うつもりはなさそうだったけど、なんでなんだ? 今迄の魔王は侵略だーって感じなのに」

「魔王様は平和を望みだ。

100年前からずっとな」


100年前……


「もしも魔王様に手を出したら、私はお前を殺すぞ。

例えそれが言いつけを破ったとしてもな」


そんな事より、100年前という単語を考えていると、側近(?)の気配はどこかに消えてしまった。


同時になんだかスッキリした感じになる。


《適応しました》


スキルには、【接触時ユニークスキル無効】が増えていたとさ。


〜〜〜〜〜


段々と自分が卑怯な存在(今更だな)になっていくのを、スキルと共に実感して、苦笑いを浮かべていると……


「ーーーお兄様!」

「ファナ!」


……後ろを振り返ると、我が愛しの妹がいた。



「やっと見つけましたよ。

気づいたら皆いなくなっていて、ついさっきお兄様の香りがこちらから……」


不穏な言葉は無視。


「じゃあ、まだ他のみんなは見つかってないのか?」

「はい……あ、去年は今頃丘にいましたよね? もうそこに集まっているかもしれません」

「なるほど、変に探すより丘にいたら確実だな。早速行こう。

………そうだファナ、小さな女の子から変な質問をされなかったか?」

「え……ああ、されましたよ。

魔王がどうとか言ってました」

「なんて答えたんだ?」

「私はよく分からなかったので、お兄様にお任せします、と」


俺はファナの答えに、思わず笑ってしまった。

なんというか、流石俺の妹だ。

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