表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神羅転生物語  作者: watausagi
最終章 降臨
143/217

イリーのお願い

◇◇◇◇◇


この前の遠征は疲れちゃった。

たっくさんの魔物が大量発生したりして、一時はどうなっちゃうのかと思ったけど、そこは流石の先輩(使役魔物:スライム)の活躍により、全然平気だったけど。


〜〜〜〜〜


今日は金曜日。

今はその夜。

私はコタツに入ってマイホームで快適な時間を過ごしているんだけど、あっちの椅子に座ってる先輩は違うみたい。


「はぁ……離れてくれよイリア」

「レティス先輩はいいのに、あ、もしかして私じゃダメなんたですか?」

「ダ……(ステラの友達だからなぁ。しょうがない)……メじゃない」


ははは……イリーはいつも通り。

ああ、入学試験の時のクールなイリーはどこ?ま、先輩の前以外じゃ戻ってくれるんだけど。


「そうだシンラ先輩、目を見てもいいですか?」

「俺あんまり顔見られるの好きじゃないんだ。因みに、相手の顔を見るのもあんまり好きじゃない」

「ダメですか?」

「ダ…………メじゃない」


あんな間近で先輩の顔を見れるなんて、イリーはスゴイ。

でも、もうすぐあのお方から止められそう。


「あっ、匂いもかいでいいですか?」

「それは気持ち悪い。

というか匂いって、お前一体何考えてるんだ?」

「いえ、純粋なる興味?」

「匂いかいでいいですか? なんて言う奴が純粋なんて使うな。違和感を感じる」

「本当にただの興味本位なんですよ。

明後日利用しようだなんてこれっぽっちも思っていません。……寒いですね」

「明後日何に利用する気だ! ……ああ、寒いな」


私もちょびっと寒くなってきた。


ーーーそう、これはあの方が近づいてくることを意味する。

先輩が言うには、(信じられないことに)あの方はこの現象を無意識にやっているらしい。


……周りの温度は刻々と下がっていき、口から息を出すと、外と同じように白に変わる。


「ーーーイリア」


美しい声だと思う。

だけど、この状況では、その声はとても冷たく感じる。いつものような優しげな温かみは……ない。


「ファ、ファナ抑えろ。冬場にこれはシャレにならない!」

「いえ、これだけは言わなければなりません。

……イリア、貴女調子というものを、乗りこなしすぎてるんじゃないかしら」



乗りこなす!?

かっこいい。言葉はおかしいと思うけど、なんかかっこいい。


「そ、そうでしょうかティファナ先輩?

私はただ、明後日に必要になるかもしれないからこのような事をしているだけで……」

「イリア!? やっぱ明後日利用するんじゃないか!!」

「落ち着いて下さい、かもしれないというだけで、別に利用しないという可能性も……」

「イリア、貴女は少し黙ってて」

「……はい」



怖い!


「私はお兄様にも言わなければいけないことがあります」

「……はい」


怖い!


「お兄様はもう2年生になったのですよ。1年であるイリアにそんな態度じゃ、示しがつきません」

「……ごもっともです」

「お兄様の事ですから、イリアを『ステラの友達だから』、なんて思いで甘やかしているんでしょうけど、限度というものがあります。嫌なら嫌だとはっきり言ってください」

「……仰る通りです」

「分かってくださったのならいいんです。私も出過ぎた真似をしました。

でも忘れないでくださいね。私は……」



ーーーいきなり、先輩の膝の上で丸まって寝ていたレティス先輩が、ムクッと起き上がった。不機嫌な顔をしている。


「……寒い」

「えっ、ああごめんなさいレティス」


段々と部屋が暖かみを取り戻してきた。

でも、レティス先輩はまだ不機嫌な顔をしている。


「……ファナ」

「ど、どうしたのレティス? 少し怖いわよ」

「……許せない。四肢、引きちぎる」

「本当にどうしたの!?

許せないって、もしかして夢と現象が混ざってるんじゃ……」

「……シンラの作ったチョコレート、落とした……許さない!」

「やっぱり混ざってる!」


この後、レティス先輩の暴走により、部屋がめちゃくちゃになりました。


◇◇◇◇◇


コンコン


もう寝ようかとしていた頃、そんな音が聞こえてきた。

誰だろうと思い、ドアを開けると……


「イリー?」

「なぜ疑問系なのかしら」

「あっ、普通のイリーだ」

「やめて、まるで普通じゃないイリアがいるみたいじゃない」

「ま、入って入って」


先輩が近くにいない、つまり普通のイリーだった。嬉しい。

でも、こんな時間に何の用だろう?


「実はね、私死神に会いたいのよ」


な、なんですと……


「ステラは死神と知り合いなのよね?」

「ん? うん、ま、知り合いというべきか、ん、あ、知り合い、かな?」


ど、動揺しているのが自分でもわかる。

もしかして、もしかしてイリーは先輩が死神だという事に気付いているんじゃないだろうか?


「言ったわよね?私前から死神の事を尊敬していて、一度でいいから会ってみたいの」

「そ、そうなんだ」


良かった。ばれてはないらしい。


「ね、どうかしら?」

「うーん……どうだろう。私もよく分かんないし……」

「そうよね、そう簡単にはいかないわよね。ごめんなさい急に無茶言って」


イリー……


「私はもう戻るわ。おやすみステラ」

「っ、待ってイリー!

わ、私頑張ってみるよ!お願いしてみる!!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ