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神羅転生物語  作者: watausagi
最終章 降臨
136/217

ウィスキーボンボン

◇◇◇◇◇


……ふー……俺は今あきらかに疲れてる。

肉体的ではなく、精神的にだ。もうクタクタ。ベッドばんざい!


まあ、何で疲れてるのかというと、原因はステラの友達イリアだ。こんなことを言うのは失礼だが、正直、後輩が増えるなら男がよかった。いや、本当に失礼で今更という話なのだが。


でも、俺だってイリアが嫌いというわけじゃない。だが先程言った通り、俺がクタクタな原因なのはイリアのせいなんだ。


ここ数日で分かった事。

何故かイリアが俺の事を……崇拝に近く尊敬しているような気がする。

根拠なく言っているのではなく、これは、実際に俺が体験したからこそ言える事実なのだ。


例えばーーー


◆◆◆◆◆


『おいイリア? なーんで俺の後ろにいる?』


『そんな、シンラ先輩ひどいです。

私は後ろにすらいたらダメだと言うんですか? レティスちゃ…先輩は膝という領域を侵すことすら認めているというのに。

ここの家は、格差社会だったのですね……』


『おいおい、ちょっと待って。

動くなよ、そこを絶対に動くなよ。そして俺から離れろ。なるべく遠くだ。

ったく、ファナは何をしているんだ……』


『距離を置かれている?』


『だからそうじゃなくて! って動くな!

分かるんだからな。例え目が見えなくても分かるんだからな。

そしてイリアは、ここが風呂場だという事をまず前提条件において話せ!』


『お背中を流そうと思っのに……』


◆◆◆◆◆


ーーー結局、強制的に黒穴で遠くに飛ばした。

それに、これだけじゃない。まだまだある。

例えばーーー


◆◆◆◆◆


『お疲れのようですねシンラ先輩。

私が運びましょう。どこに行けば?』


『何で俺は椅子で座ってるだけで、疲れてる認定を受けなきゃならないんだよ。

それに俺はもうすぐ寝るんだ』


『ベッドですね、分かりました。

じゃあ私がベッドまで運び……ベッド……ベッド……頑張ります』


『いや何が?』


◆◆◆◆◆


『いけませんシンラ先輩。手が汚れています。私が拭きましょう。

……あれ、水がないですね。

しょうがありません。舐めて……』


『お前水魔法使えるだろ』


『っ!?』


◆◆◆◆◆


ーーーとか、ちょっと異常だと思う。少し怖いくらいに。


「ステラ、どうにかならないか?」

「多分、絶対無理です」

「そっか……」


ファナからはイリアの事で説教されて、もう散々だ。

少し考えてみたが、やはりイリアが俺の事を崇拝している意味がわからない。

シオン曰く、俺はそこそこ(※過小評価)有名らしいが、イリアまでくると意味不明。何か理由あっての行動なのか……?


「シンラ先輩〜!」

「うっ……」


もうちょっとで答えに辿り着きそうだったのに、噂をすればなんとやら、ご本人が登場。


「な、何か用か?」

「肩が凝っていると思いまして、マッサージをしようかと。

なので、裸で横になってください」

「裸になる意味が分からない」

「安心してください。私も裸になりますから」

「もっと分からない!」


これは流石におかしすぎる。こんなに意味不明な事をイリアは言わないはず。

ステラだって、イリアは普段クールです(全く信じられないが)。と言っているくらいだし。

一体どうしたと言うのだろう?


「イリア、これ何本に見える?」


俺は右手をピースにしてイリアに見せる。

俺の不安を知ってか知らずか、自信満々の得意げな顔を浮かべたイリアは、当たり前のように言った。


「6ですね」


片手! 片手だよ! 5本以上になることが異常なんだと気付いてくれ!


「酔ってるなイリア。水でも飲んだ方がいいんじゃないか?」

「酔ってませんよ。お酒なんて私飲みませんし」


完全に酔っ払いフラグをたてたイリアに俺はステータス確認をした。

結果、ウィスキーボンボン。


「弱すぎだろ……」

「もう、さっきから何を訳のわからないことを言っているんですか。

早く裸になって下さい」

「ちょっと少しイリー。趣旨が全く違くなっているよ!?」

「ステラもどう?」

「え、私? 何で……」

「2人で……どう?」

「……いいかもしれません」


ステラ!?

俺はステータス確認をする。

結果、ウィスキーボンボン。


「お前もか!?」


そういえば、言葉がおかしかった気もする。


「さあ、シンラ先輩……」 「先輩……」


じりじりと近寄ってくる2人をどうしようかと考えていると、


「[氷結雷針]」

「「っ!?」」


ヒュッ!!


という音と共に、何かが飛んできた。

それはイリアとステラの髪をかすめ、スパンっと壁に突き刺さり貫通していった。


一体、誰なんだー(棒読み)


「[雹結雷針]」

「っ!!」


臨戦態勢を整えていたイリアとステラは、でも無駄な悪あがきにしかならなかった。

さっちとは違い、数の暴力に抵抗虚しく、ビクンビクンと2人は身体を震わせたのち、ドアからゆらりと入ってきたファナに足を掴まれ、引きずられながら部屋から出て行く。


「あのーファナさんや、何をするおつもりで?」

「……調教…育です」


言い直せてない。聞き方によっては超教育という、なんか凄い感じに聞こえる。


「ぐ、具体的には、どのような事を?」

「言葉で分からないようならば、その体に直接言い聞かせるまでです。

まさか、こんなところで雷魔法が役に立つとは思いませんでした」

「いや、役に立つのはおかしいぞ? 何をする気だ…ですか?」


しかし俺の言葉虚しく、その言葉を最後に、ファナは完全に部屋から出て行った。


去り際に見たファナのステータス確認。

結果、ウィスキーボンボン。


◇◇◇◇◇


ちょっと危なそうだったので、シンラ君が、安全に後輩2人を連れ戻しましたとさ。


ウィスキーボンボンは、その後マイホームで見かけることはなかったという事らしいです。


因みに、意外とレティスちゃんはパクパクと食べても問題なく、どちらかというとセレナさんの方が目が据わって怖かったです。


◇◇◇◇◇

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