2度目の入学式
◇◇◇◇◇
見事! ……というか、当然というか、ステラは特待生となった。しかも主席入学。
それを知った時のステラは、本当に嬉しそうだった。
俺たちは、やんのやんのなマイホームでステラのお祝いパーティをしたりで、あっという間に入学式となった。
緊張と期待が顔に表れている1年生を見て、そういえばエドってこんな感じだったけ。と、1年前の事を思い出していた。
……あれから1年も経つんだなぁ。
「ーーーで、あるからして……」
今回の先生の話は面白くない。
レティスなんか最初の方で、
『……分かってた』
とか言って、一瞬で寝ちゃったよ。去年も思たっが一体何を分かっているんだろう? 隣でファナが呆れている。
ーーーそうそう、クラスが変わった。
俺とファナとレティスとセレナとアティとシェリーとエステルとエドとレミーは2ー2だ。
え? なんかおかしいって?
……ご想像にお任せしよう。最初からこうすればよかった。
「では、学園長のお言葉」
どうやら、自分の世界に浸っているうちに、話は終わり、ハイエルフ学園長の番になったらしい。
ここでも俺は去年を思い出す。確か、苦い思いをさせられたんだっけ。
ん? という事は、今年の場合……
「新入生の諸君、入学おめでとう。
なーに、そんなに緊張しなくてもいいさ。むしろ今はこの場にいることを誇りに思ってもいい。
君たちはこの学園で多くのことを学び、様々なことを経験するんだ。
分からないことがあったら先輩に聞けばいい。もちろん教師一同手助けするよ。
……さ、私の久しぶりな真面目の話はこれでお終いだ。
次は、主席入学のステラ、おいで」
『ひゃいっ!?』
どこからか悲鳴にも似た驚きの声が聞こえてきた。
「さあ、早くおいでな」
『えっ、えっと?
……う、うぅ〜……はい……』
しばらくして、遠くに渋々といった感じで歩いているステラが見えた。
分かる。お前の気持ちはよーく分かるぞ。きっと学園長をぶん殴りたくなってると思ってるに違いない。
「やっときたね。ほら、みんな待ってるよ」
「分かってますぅ。
え〜と、コホン。私は……ん? 私は…………んん? 私ん?」
きっとこんな機会は初めてなのだろう。見てるこっちがもどかしくなるほど、ステラは誰が見ても分かるほどに落ち着きがなかった。
「ほら、頑張りな」
「は、はい……そのぉ……えっと……あっ、私はイリーとお友達になりました! 」
……そういえば、嬉しそうに話してたなぁ。
同世代の同性と仲良くなれるなんて、きっとステラが良い子だからなんだろう。俺は悪い子だった。
それにしても、そんな話を今するなんて、よほどテンパってるみたいだ。
『なにあの子、かわゆい』
『ステラちゃんは俺が守る!』
『なんで私を……』
どうやらステラの好感度は急上昇しているらしい。
俺としては、そのイリーって子が可哀想だ。今日1番の被害者のはず。
「へぇ〜、去年よりよっぽど面白いね」
悪かったな面白くなくて。