先輩の家
◇◇◇◇◇
先輩の家に来て3日。
私は1つ分かったことがある。
ーーなんか、ここ自由だーー
ラルフ達とは違うけど、なんというか……みんな子供っぽい? 無邪気な心? そういうのを感じる。
例えば初日、私の歓迎パーティーみたいなのがあったんだけど……レティスちゃん…ゴホンゴホン、レティス先輩は無言でもぐもぐと豪華な料理を食べ続け、ティファナさん…ゴホンゴホン、ティファナ先輩はセレナ先輩とちょっとした言い合いになって、メリーちゃんはクスクスと笑うだけ。
もう、どうすればいいか分からなかった。
先輩が私に苦笑いを浮かべながら、『慣れだ』と一言。
そうか、慣れればいいんだ。
初日、私は1つ学習した。
〜〜〜〜〜2日目
朝起きると、ティファナさんが作った美味しい朝ごはん(今度教えてもらおうっと)を食べ、それが終わるとコタツという物に入った。
暖かい、あれは暖かい。物理的ではなく、なんか暖かい。
一種の中毒性のようなものを感じながら、ぽけ〜っとしていると、向かいに先輩が来た。
昨日のこともあり、私のことを心配していたらしい。
ありがたく思いながらしばらく先輩と楽しく話していると、ぴょこぴょこっとレティス先輩がやってきて、どうしたのかな〜と思っていると、ズボッとコタツに潜り、少し経ってコタツから上半身がでてくるが、そこは先輩がいるところで、まるで抱きつくような形になっていた。
ちょっとあっけにとられていると、ボソリと聞こえてきた。
「……枕」
枕!? それって、仮にも先輩を枕呼ばわり!?
そんな、そんな贅沢な使い方!!
……ゴホンゴホン。マクラハダメダトオモウヨ。
〜〜〜〜〜3日目
お昼、自分の部屋の窓から外を見ると、エステル先輩とセレナ先輩が見えた。
何をしてるのかな〜と考え込んでいると、2人とも武器を手に取り闘い始めた。
参考の為じっくりとそれを観察した後、私は入学試験のことを思い出し、少し不安になって部屋を飛び出すと、目の前には先輩がいてビックリした。その後のセリフもビックリした。
『もうすぐ入学試験があるだろ?
そろそろ、不安になる頃だと思ってな 』
……ちょっと怖かった。
でも、先輩のおかげで有意義な時間を過ごせた。
私は勉強がとてつもなく苦手。先輩から教えてもらった1年の授業でさえ、全てを教えてもらったがどこかミスをしてしまう。
先輩が言うには『集中力の問題かな』との事らしい。
実技は全然大丈夫そうなので、特待生間違いなしと断言された。
『ステラの実技と筆記の結果、絶対に特待生にはなるよ』
『本当ですか!?』
『ああ、でも筆記は気をつけたほうがいいかもしれない』
『そんなにダメですかね?』
『え? ああ、いや全然そんな事ない。
ステラは筆記が苦手だと自分で言ってるけど、それは俺らと比べてるからだよ。同年代の中では文句なしの1番。
……ただ、今回の筆記は難しくなる、と俺は予測している。
これは俺たちが原因なんだが、高い点数を取りすぎちゃった』
よく分からなかったけど、先輩は最後に『頑張れ』と言った。
だから頑張る! 私は頑張る!
……ただ先輩、なんで背中にレティス先輩がいるんですか?
◇◇◇◇◇
先輩の家に来て3日。
私は1つ分かったことがある。
ーー自由なのは、レティス先輩だったーー