ドキドキお風呂でハプニング!?
◇◇◇◇◇
ーーーあれ、母さんともう1人……気配が重なっている……?
「ほぉ……貴様の力は便利だな。
あれがお前の家なのだろう?」
「ああ、そうだが……」
実家に帰ってきたが、なんか気配がおかしいと違和感を感じていたら、その謎は分からぬままエステルが話しかけてきた。
だが……一応言っておくが、空間魔法は誰にも知られていない魔法なんだぞ?
それを便利とな………これが悪いのか良いのか俺には分からなでいると、向こうも気配で分かったのか、家から誰かが走ってきた。
「シンラちゃ〜ん、ファナちゃ〜ん♪」
言わずもがな、母さんである。
いつも通り抱きつことしてきたので、それをひょいっと避けると、後ろにいたファナに……
「甘いです!」
成長したファナは、見事抱きつかれるのを阻止……
「うぉぉおお!! ファナァァァ!!!」
「ええっ!?」
阻止……は出来なかった。
母さんの後ろから来ていた父さんに、ガッシリと抱きつかれてしまう。
「ファナァァァファナァァァ!!」
「きゃっ、ちょっやめ……!!」
「うぉぉおお!!」
「ちょっ……」
「ファナァァァファナ!!」
「いい加減にして下さい!!」
バチバチッッバチバチッ
父さんだから容赦がなかったのか、ファナはまともに雷魔法を食らわせた。
……あれ、痛いんだよなぁ……
「ファナ……たくましく……なっ…たな」
「ふんっ」
なんで父さんは嫌われるような事をするんだろう?
いや、そういえば前に聞いたことがあったっけ。
確か……
『それが、父親ってもんだ』
なんて、ドヤ顔で言ってきたもんだから、少しイラっときたんだった。
「ーーーお前の親は……個性的、だな」
エステルにまで言われるとは……やっぱり俺の両親は変わり者らしい。
〜〜〜〜〜
「エステルちゃんね、よろしく♪」
「こちらこそ。シンラ殿の家にお世話になってます」
ぷっ……! シンラ殿とか言ってる!! 殿ってwww…殿って言ってるwww…………イテッ、蹴られた。
「あらそうなの?
ーーー見た所、シェリーちゃん以上アティちゃん以下ってところね」
「そうなのですよお母様!」
この親子は、また訳のわからないことを言っている。
「ガッハハハハ。心配するな。俺も昔はそうだった」
父さんまで意味の分からないことを言い出した……が、なんでだろう? とっても否定したい気分だ。
俺が謎の気分にモヤモヤしている間、女性陣は盛り上がり、とてもじゃないが輪に入れそうになかった。
あのエステルでさえ、楽しそうに笑っている。
俺はというと、父さんと寂しく世間話でもしている。エドは黙々と出されたお茶を飲んでいた。
〜〜〜〜〜
「いいのか? 本当にいいのか?」
「だからいいって言ってるだろ? しつこいなぁ……」
「お前からそんな事言うなんて初めてだからな。疑いたくもなる」
夏休みを思い出して、そうだ模擬戦をしようと言ったら、このテンションだからなぁ……
でも考えてみてくれ。1日に10回は勝負を申し込むくらいだ。楽しみで楽しみでしょうがないんだろう。
「まぁ、エドを倒したらの話なんだがな」
「え、シンラ?」
「分かった。叩きのめせばいいのだな」
「え、エステルさん!?」
ーーー当然、エドは叩きのめされてしまった。……すまんエド。
〜〜〜〜〜
ーーーエステルと模擬戦を終えたわけだが……前より強くなっている。
日々怠らず特訓してるんだと思う。そこは称賛すべきかもしれないが、さっきも言った通り1日10回も申し込んでくるのはやめてほしい。
「ふぅ〜……いい汗をかいた。
ーーーそれにしても、貴様は相変わらずの化け物だな」
「エステルも十分強いぞ?」
「私はまだまだだ……貴様と戦い始めてから、確かな自分の成長を確かめられている」
ふーん……あっ、確か教鞭スキルがあったよな? それのせいかもしれない……
「ーーーあらあらあら〜、そんなに汗掻いちゃって風邪引くわよエステルちゃん?
どう? お風呂に入ってくかしら?」
「いいのですか? 助かります」
「どういたしまして〜
……そうだ、いっその事シンラちゃんと一緒に入ったらどうかしら?」
「っ…な、な、ななな何を言っているのですか!?
お、お風呂…お風呂を一緒に!?」
少しは落ち着いてほしいな。
いつもの母さんの冗談だろうから。
「お風呂沸かしてくるわ♪」
……冗談じゃないみたい。スキップで家に向かっていった。
いや、流石に友達とお風呂なんて入らないからな? 何の罰ゲームだよ……
「おい! ど、どどどうするのだ!? このままじゃ私は貴様と一緒……貴様と……一緒………」
「入らなければいいだけだろ。
何をそんなに慌ててるんだ」
「貴様! 風呂だぞ? お風呂なんだぞ!?
裸なんだぞ? 異性と一緒なんて……恥ずかしいではないか!!」
あら純情。ちょっと好印象。
「大体、貴様が落ち着いていられるのがおかしいんだ!」
「んー……慣れてるしな」
「………変態」
ファナ達に言ってくれ。
◇◇◇◇◇
結局俺は家の風呂に入る事となったから、エステルは無事に1人だった。
そしてーーー早い事にもう帰らなければならない時間となる。
「もう帰ってしまうのかファナよ!?」
「お父様がいると、私はちっともリラックスが出来ませんから」
「そんなぁぁぁ……」
帰ると言った途端、父さんのテンションがただ下りだ。イケメンも台無し。
「いつでも帰ってきていいのよ?」
「分かってるって。じゃあ」
ーーーそうそう、朝感じた違和感だったが、微弱な気配がしたのは母さんのお腹の中だった。
……つまりは、そういう事。
◇◇◇◇◇
俺は家に帰ると、1番に風呂に入る。
「っ………ふぅ〜……最高」
《クスクスクス、本当ですね》
「ぁぁ……………いや、なんでメリーがいるんだよ。
というか今日はスク水? お前そんなのどこで……」
ガラガラガラ
「っシンラ!?」
「お前は……!!」
ーーーさて、状況確認しよう。
俺はいま裸で風呂に入ってある。
そこに現れてきたのは、同じく裸の……
「エド……って、なんでだよ!?」
「なにが!?」
別にいいけど! どうでもいいけど!!
なんか違うだろ!?そうじゃないだろ!?
エドは違うだろ! エドは!!
「なんだシンラいたのかよ………っ、メリーさんもいる!?」
《………ケダモノ》
「なんでこういう時って、俺はダメでシンラはいいんだよ……」