冬休み当日
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今は冬休み当日。
……え? いきなりすぎないかって?
しょうがない、少し過去を振り返ろう。
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これは、冬休み前の話。
『シンラ〜もうすぐ冬休みだという事は、もちろん理解してるよな?』
『当たり前だが?』
『でよでよ、またまたお前の家にお泊まりという事で了解?』
『また? 別にそんな楽しいものでもないだろう………
まあいいけど、今度こそ宿題はするんだぞ? 』
『当然!』
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と、いう訳だ。
実はちゃんとお話しがあったが、面倒くさいからすっ飛ばしたとか、そんな事実はない。ないったらない。
まぁ……そうだな………最近起こったことといえば、学校とギルド会議が同時に行われるという事で、俺が想像魔法で2人になったくらいだな。
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これは、ギルド会議当日。
ガチャ
『ーーーん、来たか死神』
『キュルウェルか、早いな』
『早く来て間違いはないからな。
それに、お前には言われたくない』
『確かに……』
ガチャ
『っ……キュルウェルと死神…………おはよう。(俺の苦手な2人じゃないか……)』
『……そうだ、キュルウェル。
お前は駿足とか言われてたよな? 一体、どれだけ早いんだ?』
『おい、 おはよ……』
『そう簡単に教えるわけがなかろう。
親に教わらなかったか? 人にスキルを聞くときは、まず自分から名乗りない、と』
『なにそれ、斬新的』
『おい! おはようと言ってるじゃないか!!
なんで2人共無視するんだ!!』
『『なんだいたのか……えっと……ガイアス?』』
『君達仲がいいな!?
僕の名前はカイザスだ!!』
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カイザス……か。確かあいつ貴公子とか言われてなかったっけ?
残念な貴公子だ……あいつと昼を一緒に食べた時も少し残念だったなぁ……
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お昼ご飯の時間。
『そうだ、キュルウェル。一緒に昼食べないか?』
『……俺をからかっているのか?』
『いや、いたって真面目なんだが?』
『……だったら……その可笑しな格好を止めたら考えんでもない。
そもそも、そのマフラーでどうやって食べるというんだ?』
『大丈夫、大丈夫。その問題は解決済み。
これって食べる時は、口の部分だけすり抜けるから』
『無駄に高性能なんだな……』
〜〜〜〜〜
『っ……確かに美味しい。こんな店よく知ってたな、キュルウェル……それと……ガイアス?』
『くそっ…なんで僕まで君達と……』
『しょうがあるまい。
ここのおかみさんがお前の大ファンなのだ。お前が来た時しかこの料理は出ない……ならばこそ、お前が来るしかないのだ』
(へぇ……カイザスのファンか……光の貴公子とか呼ばれてるくらいだ。さぞかしモテテいらっしゃるんだろうな……)
『まぁ見て、あそこにカイザスちゃんがいるわ』
『あら、本当』
『この歳になって、カイザスちゃんを見るのがすっかり楽しみになったわ』
(………お年寄り票が多そうだな)
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「お兄様、今日は何をしましょう?」
ーーーおっといかんいかん。
昔を思い出して、今を蔑ろにしていた。
今は……昼頃にエドとレミーとシェリーがやってきたところだな。
「何をする……か。
まずは、家に帰らないといけないな。
みんなはどうする?」
当然というべきか、みんな付いてくるらしい。
「貴様の両親か……1度ご挨拶をしないとな」
「へぇ…エステルってしっかりしてるんだな。
てっきり、戦うことしか能がないかと……ゴホンゴホン」
「私が、しっかり、してる……!?
………ま、まぁ当たり前だな。貴様に言われるまでもない」
……意外とアホな子で良かった。
「お兄様……私はもう、昔の私ではありません!!」
ファナが何か張り切っている。
夏休みの母さんベタベタ事件を思い出しているんだろう。
だが、どうやらファナは知らないらしい。
世間ではそれを……
『出た、フラグwww』
と、呼ばれる事を……
「それじゃあ、行こうか。
ーーー俺の家に」