今日の1日
◇◇◇◇◇ー朝10時ー
今は魔法学園、歴史の授業中だ。
…………エドの頭から湯気が出てる気がする。
「……シ、シンラ……俺はもうダメだ!!」
俺の右の右の前の席にいるのに、エドが話しかけてきた。
因みに、俺の右がエステル。
エドの右がレミーだ。
レティスさ俺の左の後ろ。
「しっかりしろ。歴史なんてただの暗記だろう」
「それが出来るのは天才くらいだぜ。
つまり! 俺には絶対出来ねえ!!」
本当にエドは勉強が苦手だなぁ。
「ふむ……私にいい考えがある」
「本当かエステルさん?」
「1000回以上同じところを繰り返し勉強すればいい。
私はいつもそうしている」
「「……」」
それは俺もヤダ。
「むむっ! そこの君達!
おしゃべりはダメだぞ〜!」
『うはっ、ラファエナ先生マジ最高』
『どうでもいいが、放課後に特別授業を受けたい』
『意味もなくあの美声で罵声を浴びた……ゴホンゴホン』
「私がいないのに楽しくおしゃべりはズルいですよ!」
『……可愛いからOK』
『どうでもいいが、一緒に将来について語り合いたい』
『あの美脚に踏まれ……ゴホンゴホン』
ラファエナ(先生)にはツッコマないとして、俺のクラスには変態が沢山いるということが分かった。
◇◇◇◇◇ー夜6時ー
すっかり人が増えて、食卓も賑わう。
「ん〜〜〜♪ とっても美味しいですね!!
これはファナさんが作ったんですよね?
料理が上手なんて羨ましいです」
「嬉しいです、ラファエナ先生。
ーーーところで、これは今更なのですが、お兄様とはどのような関係で?」
ヒューーー
「うぅ〜少し寒いですね。
これが噂の〈夏も快適! ティファナフリーズ!!〉ですか?」
「は、はぁ……?」
「え〜っと……シンラさんとの関係でしたっけ?
うーん……よく分かんないんですよね」
「分からない?」
「色々とあるんですよ。
なんというか……2人だけの秘密というか?」
「2人だけの秘密………ですか」
バチッバチバチッバチ
「わっ! ピリッときました……
これが噂の〈停電へっちゃら! 自家発電!!〉ですか?」
「え、ええっと………」
ファナが困っている。
我が妹といえど、神様には勝てないらしい。
「ま、貴女達の冗談はそこまでにして、ラファエナ先生………貴女は一体何者なんですか?」
ファナの質問を今度はセレナが受け継ぐ。
今度はだんだん暑くなってきた気がする。
どうやら、これは既に尋問が変わってるらしい。
ラファエナはなんて答えるのかな〜、と思っていたら、
「何者……ぶっちゃけ神様ですね」
普通に暴露した。
ファナ「お兄様は凄いんですね」
セレナ「へ〜凄いわね」
エステル「一度戦ってみたくはあるな。どうだ先生、少し時間をもらえないだろうか?」
………疑ってはいないようだがこの反応………まぁ俺の所為ではあるんだろうが……なんかなぁ……
◇◇◇◇◇ー夜8時ー
うーん……ダメだ……
「ーーーあれ? お兄様、なんですかコレ?」
「ファナか……いやな、地球に行ける道具を創ろうとしたんだが……どうやら出来ないらしい」
未練はないが、行けるものなら行ってみたいと思ったんだけどなぁ。
「チキュウ? 何ですかそれは?」
「遠い所だ………とても、とってもな……」
「っ………クッキーを焼いたんでお呼びに参りましたが、どうですか?」
「本当か? ぜひ行くよ、ありがとうな、ファナ…………ファナ?」
どうしたのだろう?
ファナの気分が沈んでいる気がする。
「………ラファエナ先生は、本当に神様なのですよね?」
「え、あ…あぁ……まあな」
「そうですよね…………お兄様!!」
「はい! ……って、どうした?」
ファナはいきなり抱きついてきた。
「お兄様は私のお兄様です!
例えお兄様がどのような存在であろうと、お兄様は私だけのお兄様です!!」
「ファナ……」
俺の胸の中でファナは叫んだ。
少し涙声の気もする……
「……ファナ、当たり前だろ?
俺にとってはファナも、かけがえのない……唯一無二の妹だ」
「………はい。
ーーーお兄様、もう少し……もう少しだけこのままで……」
「分かった」
ーーーしばらくして、ファナは寝てしまった。
…………ラファエナから話を聞いて、少しずつ真実のピースが当てはまり、俺は…俺という存在を少しだけ理解したかもしれない。
……唯一無二の妹……か。
…………俺は……ズルイな。
◇◇◇◇◇ーラファエナsideー
「んー……ファナさん帰ってきませんね」
兄弟愛でも深めてるんでしょうか?
《クスクスクス……のんびり屋さんは置いといて、もう食べちゃいましょう》
「それもそうね。
早くこなかったファナとシンラが悪いのよ。
ラファエナ先生もどうぞ」
えっ……ダメだよみんな!?
シンラさんを待たなくちゃ!!
ーーーテヘッ、欲望に負けちゃいました。
美味しかったとだけ言っておきます。
《クスクスクス、クッキー……美味しかったですか?》
「メリーさん、はい……とーっても美味しかったですよ。
私って結構クッキーって好物なんです」
《クスクスクス…………》
…………?
そういえば私、メリーさんのこの笑いが少し気になるんですよね……
まるで笑いを押し殺してるかのような……
『クスクスクス』
………頭が、少し痛い……