世界のシステム 前編
◇◇◇◇◇
「おっはようシンラ!」
「お、おはようございますぅ」
「ん、おはようエド、レミー」
「……ん」
武闘大会が終わった次の日の学園。最近の授業マンネリ化してるなーと思っていると、エドとレミーがやってきた。
エドは俺たちに挨拶をした後、急に顔をしかめた。
「どうした、エド?」
「いやー……な? 昨日武闘大会が終わったばっかりだっていうのによ、今日くらい休みでもいいのにと思ってよ」
「なるほどな……でも12月には魔物競技大会があるしな」
「俺は出ねえよ」
「俺は出るんだよ」
「そ…そうか……」
「そうだよ。それに、レティスだって出るんだぞ」
「……面倒くさい」
「……多分」
あれ、でるよね? 確かにレティスのは戦闘向きじゃなかったかもしれないけど(魔物を使役しよう3を参照)、競技だからな。力があればいいってもんじゃない。
ーーーガラガラガラガラ
「ほらー席につけ〜」
おっ……どうやら、先生が来たらしい。まだ、名前も知らない先生だ。
「……よし、静かになったな。じゃあ今からみんなに大事な発表がある」
『なんだ先生のやつ?』
『いつもとは違ってい真面目だなぁ』
『名前がダルイっていうのにな』
……確かに先生が真面目オーラを出している。情報が足りない……先生の名前がダルイということだけしか分からなかった。
「ほら静かにしろ。大事な発表というのはだな……この学園に新しい生徒が入って来るんだ」
『新しい……』
『生徒……?』
『ふむ……きっと女子生徒だな』
『どういう事だ?』
『ダルイ先生目を見ろ……恋する乙女だ』
『言われてみれば確かに……っ! ハートマークだと……!?』
『先生独身だしなぁ、休みの日には、手当たり次第若い女の子をナンパしてるっていう噂だ』
……新しい生徒か……まだ情報が足りないな。さっきから先生のどうでもいい情報ばかりが流れ込んでくる。
「では、入ってきていいぞ」
ーーーガラガラガラガラ
「私はエステルという。これからよろしく。……ん? よろしく……願う。……? 願い……願うす…………ふんっ」
教室を入ってきたのはエステルだった。最後挨拶の仕方を分からないで誤魔化したエステルだった。
「ふむ……おっ、シンラか」
「……なんでここに?」
「私は強くなりたいのだ。つまり、お前のそばにいた方が効率的だろう。
もう第1魔法学園では、私の上はいないからな」
そうなのか……というか、この学園って基本自由だよなぁ。たった1日でアインスをやめてこっちに来たのか。
『おお! 憧れのエステルさんだ!』
『……おかしい』
『何言ってるんだ?』
『さっき言っただろ? 先生は若い女の子をナンパしてるって。先生の好みは20代からなんだよ』
『なんだって……じゃあさっきまで目がハートマークだったのは……』
『ああ、対象はエステルさんではない。他にも……もう1人いる!』
こうしてみると、俺のクラスって結構向かいな人がいるんだな……でも、もう1人いる? 俺には感じられないが……
「それじゃあ君の席はあっちだ。
ーーーさて、みんなにはもう1つ伝えないといけないことがあるんだ。
実はこれから1ヶ月間の間、臨時教師となってくれる人がいる。俺のサポート役ってことなんだが……サポート……ぐふふ」
俺の先生好感度がダダ下がりなんだが……って、本当にもう1人いるのか?
「ぐふふ……じゃあ入ってきてくれ」
ーーーガラガラガラガラ
「どうも、ラファエナといいます。皆さん、少しの間よろしくお願いしますね♪」
『『『なにーーー(目がハートマーク)』』』
『なんだあの美貌!?』
『この学園、美女勢揃いだが……これはそんなオレ達でもびっくりするぜ』
『ぐふふと言いたくなる気持ちが少し分かった気がする』
教室を入ってきたのはラファエナだった。
……ラファエナ? ……え? ……ん?
「…………ぐはあっ!?」
「どうしたシンラ!?」
な…なんでここに……
「あっシンラさん!」
俺の焦りを知ってか知らずが、ラファエナはこちらに手を振ってくる。
くいくい
「……知り合い?」
「レティス……まあ知り合いといえば知り合い……かな?」
『おい聞いたか?』
『エステルさんまでに続き、ラファエナ様まで……』
『ちょっと待てお前ら。親戚というパターンも……』
「私、シンラさんに会いに来たんですよー!!」
『『『ぶっ殺す(目が殺意に満ちている)』』』
『もう親戚でもなんでもいいから羨ましい!!』
『世界とは……残酷だ』
ちょっとラファエナの空気読めない発言で、俺の命がピンチだ。
「くっ……ラファエナちょっと来い」
「えっシンラさん……?」
「ーーーっ!! シンラ、何でラファエナさんと手を繋いでいるんだ!!
おい! 先生の話を聞け!!」
「すいません先生、ちょっと話があるんです。しばらくの間失礼します」