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終末のダンジョン・第一話『宝箱に届かない』

なろうでの『つんでれダンジョン』改訂版はリバーシブルです。


幼女とダンジョンの物語である『つんでれダンジョン』とラストダンジョンにガチで挑むとあるパーティーの表と裏の構成になっています。

サブタイトルの『つんでれダンジョン』が表のストーリー

『終末のダンジョン』が裏のストーリーになっており、同時系列で物語は進行していきます。

つんでれダンジョンと終末のダンジョンは、それぞれ単独でも物語は成立するようになっています。




「再生力が厄介だ! 速攻できめるぞ!」



令を発した剣士が気合の声と共に駆け出す。

刀身が魔法の炎を纏う。剣士に襲いかかったヒュドラの首が炎の剣によって一撃で落とされる。剣を覆う炎は、切ると同時に首の切り口を焼き焦がした。

魔法を刀身に宿らせる剣技、それが魔法剣である。この世で勇者と呼ばれる人種だけが習得できる技である。

勇者の足は止まらない。うねる8本の首をくぐり抜けるとさらに二本の首を切り落とした。



「ぬぉおおっ!」



遅れて駆けた重戦士が巨大な戦槌を振り下ろす。身長2Mを軽く超える赤髪の大男が、岩のような戦槌でヒュドラの頭を叩き潰した。地面と挟まれ、平たく潰れた頭はヒュドラといえども再生はしない。


劣勢をさとったヒュドラは毒の息残る5つの首から毒の息を吐き出した。まともに食らってしまえば、いかに勇者や歴戦の戦士とて、躰の自由を奪われることだろう。

もっとも、まともに喰らえばの話であるが。



「ヒルデガルドの守り」



ヒュドラの毒霧は、魔法の結界によって阻まれる。薬草を司る聖者の奇跡を再現したのは青髪の女性だ。胸に輝く聖印は、彼女が教会認定の12人の聖女の一人であることを示している。

もっとも、聖女というには余りにも若い。年の頃は17,8か。聖女の奇跡を降臨するなど、若い娘の技ではない。



「二人共、下がって!」



前衛にいた勇者と戦士が一度に退く。モタモタしていれば巻き添えを喰らう。二人の影と入れ違いに、白い光の砲がヒュドラに向けて襲いかかる。

爆発音と同時に、高い抗魔力を持つ筈のヒュドラの肉体があっけなっく爆散する。根本から全ての首を失ったヒュドラは、重い音を立てて崩れ落ちた。

トドメの魔法を放った女性は杖を下ろすと、短く息を吐いた。

戦いは終った。彼女たちの勝ちである。



「流石は帝国の魔導姫だな。貴方が俺たちのパーティーに加わってくれて助かったよ」



「その呼び名はやめてと言っているでしょう? 帝国にはもう何の義理も縁もないの。今の私はただの魔法使いよ」



魔法使いが眉に皺を寄せながら勇者を睨む。切れ長の目は、不機嫌に釣り上がっているが、その美しさを損なってはいない。年の頃は20代前半といったところか。若さと、大人の色気を併せ持つ、女としてもっとも輝く年齢であろう。

魔法使いは動かなくなったヒュドラを見ながら溜息を吐いた。



「…全く、雑魚相手にも一々総力戦ね。攻略が終わる頃にはいったい何歳いくつになってることやら…」



「伝承が正しければ、やはり、10年以上は…」



僧侶の言葉に、魔法使いはもう一度溜息を吐いた。


現在、彼女達がいるのは18階。終末の迷宮においてはまだまだ浅層である。


人類の希望と言われる勇者と、最強の傭兵と名高い赤髪の戦士、教会から派遣された僧侶の少女に、一人で軍隊をも相手にしたと言われる魔法使い。


人類最高のパーティーが挑んでもなお手に余るダンジョン、それが終末の迷宮である。


勇者たちは王国の援助を受け、転移陣で一気に15階まで進んだものの、終末のダンジョンは全100階層だと言われている。攻略への道のりは果てしなく遠い。



「まあ、その分見返りもあるものだ。ほら、宝箱だ」



重戦士が指し示す先には、赤色の球体が地面から生えていた。迷宮の宝箱はこのような形で産まれる。箱というよりも、ガラス球のようなものだ。



「おっ! 赤かよラッキー! 俺が開けるぜ?」



赤色の宝箱はレアアイテムの印である。

ラストダンジョンの魔物はとびぬけて強い。しかしその分、宝箱の中身も破格である。浅層とはいえども、レアアイテムともなれば相当なアイテムに間違いない。

しかし、勇者が赤い球体に手を伸ばしたその時、宝箱は幻のようにその姿をかき消した。



「なんだ!? 罠かッ!?」



「勇者さまっ!」



消えた宝箱を前に、4人は一斉に身構えるが、トラップらしきものは発動しなかった。そもそも、トラップであったならば、彼等の持つマジックアイテムが感知してくれるはずである。

マジックアイテムには何の反応もなく、ただ、宝箱だけが消え去った。



「…なんだったのかしら、一体」



魔法使いの疑問に答えられる者はいない。宝箱の中にエリクサーが入っていた事も、彼等には知る由もない。







ステータス(一話時点)

勇者(18歳)

レベル     48

力      120

素早さ    145

身の守り    85

魔力     120

精神力    105

賢さ      18

運の良さ     0

HP     344

MP     162

攻撃力    200

魔法攻撃力  160

防御力    185

魔抵抗    175

装備 スカイソード  攻撃力+80 魔法攻撃力+40

   スカイアーマー 防御力+60 魔抵抗+40

   スカイシールド 防御力+40 魔抵抗+30




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