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つんでれダンジョン・第六話『拾い食いはするものではない』




ただいまーじゃねえよ、バカヤロウ! なんでラストダンジョンをマイホームにしてんだよ!



ねえ、お父さんじゃねえよ、バカヤロウ! なんで俺がお前のオヤジやんなきゃ何ねえんだよ?



なにぃ? オヤジじゃなくて旦那だぁ? 余計お断りだバカヤロウ!



あぁん? 子供が寝てるから静かにしろだと? 眠ってねえだろうが、さっきからパタパタパタパタしっぽ振ってんだろうが!



つーか、なんでコイツが俺のガキなんだよ?



認知しろじゃねえよバカヤロウ! ガキの癖にどこでそんな単語覚えて来やがった!



ご飯にしましょうねじゃねえよバカヤロウ! 聞けや人の話を! つーかなんだその丸くてでかくて白い物体は。



庭に生えてたじゃねえよバカヤロウ! 



はい、あーんじゃねえよ。壁にグリグリ押し付けんじゃねえよ! よくわかんねえキノコの胞子つけんじゃねえよ! 生えてきたらどうすんだよ!



‥って、馬鹿おめえ! 今度は犬に食わそうとすんじゃねえよ! 犬も嫌がってんじゃねえか!



ばか、自分でも齧るな! 拾い食いはすんなって親に教わんなかったのか? 



つーか、『ままごと』なら他所でやれっつってんだバカヤロウ!



・・・・・・・・



・・・・・・・・



・・・・・・・・



おらよ、腹減ってんならこれでも食えや。だから、その怪しげな物体は喰うんじゃねえぞ。



…あぁん? 美味い? ったりめえだバカヤロウ。ラストダンジョンの大きいパンなめんじゃねえぞ! 外はカリッカリで中はふわっふわの逸品よぉ。



落ちたてホヤホヤのやつを持ってきてやったんだ。ありがたく思えや。

ありがとうじゃねえよバカヤロウ! ガキに礼を言われても嬉しくねえんだよ!



ケッ‥! いくらでもあるからもっと喰えや。ガキと犬なら遠慮なんてすんじゃねえぞ。



おうよ、食欲の秋っつうやつだわな。


…だから俺は喰えねえっつってんだろうが、バカヤロウ! ままごとはやめろつってんだろうが! 壁に大きいパン擦りつけんじゃねえよ、バカヤロウ!



……あぁん? なんで迷宮にはパンがおちてんのかだと? 



そりゃあおめえあれよ。パンノキっつうモンスターがいるんだよ。ドライアドの一種だがな。迷宮に落ちてるパンはみんなソイツらが作ってんのよ。



あぁん? 可愛いだと? あれが可愛いとか、おめえどんな趣味してんのよ?



まあいいや。んでな、迷宮のパンっつうのパンの木の果実でな。まあちょこちょこパンを産むんだよ。それを冒険者やモンスターが拾って喰うわけだ。



あぁん? 優しいモンスター? いや、優しいっつうかそういう生態のモンスターなんだよ。まあ、確かに害はねえけどなあ。まあ喰われる方にも狙いはあんのよ。



あぁん? 意味がわかんねえ?



迷宮のパンっつうのはよ、果実ってだけあって中には種があんだよ。おう、ソレだソレ。そのつぶつぶしたやつ。それがパンの木の種だ。…あぁん? まあ確かに雑穀パンに似てるがな、それは正真正銘の種よ。



ばっか、おめえ。ソレを庭に植えてもパンの木はできねえよ。パンの木っつってもモンスターだかんな、迷宮の中じゃなきゃ育たねえのよ。



あぁん? どうやって育てるのかって? …おめえ、ここでパンノキ育てる木じゃねえだろうな? 言っとくけどアイツら歴としたモンスターだかんな。てめえの手に負える相手じゃねえからな。育てようとか馬鹿な事考えんじゃねえぞ。



…まあいいや。どうやって産まれるかっつうと、モンスター共がパン喰うだろ? んでな、食った後はクソすんだろ? モンスター共もクソする時はちゃんと穴掘って埋めるわけだ。



んでな、モンスターのクソを苗床にパンノキは育つわけだ。クソがパンの木の養分なんだよ。



あとはめったにねえことだが、モンスターがパン喰った直後に冒険者に倒されたりするとよ、死骸を苗床にして育つこともあるわな。



死骸だ死骸、わかるか? パンと一緒に腹の中に入ってた種がよ。モンスターの死骸を苗床にして、腹の中で育ってな、にゅるにゅるっと口から生えて来るわけよ。



…あぁん? 生きてる生き物からは生えてこねえよ。スイカの種のんでもスイカはできねえだろうが? あれと一緒よ。



…ん? どうした、もう喰わねえのか? 食欲無くした? おめえ、ちっこいんだからちゃんと喰えよバカヤロウ。



‥なんだって? もう拾い食いはしねえ? 良いことじゃねえか、見たこともねえキノコなんてもう食おうと思うんじゃねえぞ。



あぁん? そっちじゃねえ?



んだよてめえは、いきなり怒り出しやがってよ?



あぁん? んだとぉ? あなたにはついていけません。実家に帰らせて頂きますだと? 



まだ続いてたのかよ、そのままごとは! つーかおめえはどっからそんなしょうもない言葉覚えてくんだよ!



ケッ! 帰れ帰れ! 実家に帰ったら二度とここには来るんじゃねえぞ!



なんだよ? 恨みがましい目でこっちみんじゃねえよ。帰るならとっとと帰れよ。



はぁ? 引き止めるわけねえだろうが。うーうー唸ってんじゃねえよ、おめえは。



またねじゃねえよバカヤロウ。





【戦利品ファイル】

No.4 大きいパン

アイテムランクH

迷宮に落ちているパン。数は多いがモンスターとのパン食い競争になるために、見つけられる機会はそれほど多くはない。落ちているパンをあてにしてダンジョンに潜るのはやめましょう。

味は迷宮ごとに違いがあり、終末の迷宮の大きいパンは旨いと評判らしい。




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