始まり
【西暦2145年】
突如、宇宙から195本の柱が降ってきた。それは、世界各国に着弾し、世界を破滅へと導いた。これを人類は、Unknownと名付け、今も脅威をふるっている。
そして、西暦2160年。大浜市にて、
「かまわねぇ、あの女を囮に使え!」
「本気で言ってるの?あの子まだ子供よ?」
「しょうがねーだろ、使えるものは使わねーと俺たちが死ぬぞ!」
「お兄ちゃん!助けて!私、死にたくない!ゲホッ、ゲホッ。」
モニターの中では、1人の少女が自分の兄に向けて必死に助けを求め、叫ぶ。
「桜!」
「ガガガガガガァァァァァァァァ。」
「いやぁぁぁぁああああああああああああああああああ!」
「お兄ちゃん、助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「キュィィィィィィィィィィィィン」
【ド――――――――ンッ】
「さくらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
【パリィン】
音と共に人型の人工知能からビームが放たれ、それが少女に当たる。そしてその直後、少女の姿が消え、そこには何も残っていなかった。
「よし!今だ!あいつを倒せば、俺たちの勝ちだ!やれぇぇぇぇぇぇ!」
「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
【バンッ】【バンッ】【バンッ】【バンッ】【バンッ】
【ギ・・・ギギ・・・・ギ・・・・・・・・パリンッ!】
こちらも音と共にUnknownの姿が消えた。
「お、俺達・・・・か、勝ったのか?」
「どうやらそうみたいだ。」
「い、よっしゃー!」
「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
【ピィィィィィィィィィィィィ!】
【人間側の勝利です。これにて本日のコネクトゲームを終了致します。】
「そ、そんな。嘘だろ・・・・・・。桜・・・・。な、何でお前が死ななくちゃならないんだ。」
「冬夜・・・・・。」
【ドンッ!】
勢いよく机を叩く冬夜。
「くそぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「マジかよ。何であいつらあんな事が出来るんだよ。」
「あいつら、人の心は持ってないのかよ。まだ10歳の女の子だぞ。それを・・・・。」
「なぁ、今回のコネクトゲームの中にさぁ、岬高の奴いたよなぁ?」
「あぁ。あの制服は間違いないな。」
「くそ!見つけ出して、ボコボコにしてやる。今から行くぞ、冬夜!あそこにいた奴等全員探し出して、殺してやる!」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「おい冬夜!?聞いてるのか?何とか言え!」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「冬夜くん・・・・・・・・。」
「・・・・・・・帰る。」
「あぁん?」
「もういい。何もかもうんざりだ。」
「てめー!妹の桜ちゃんが見殺しにされて黙ってられるのかよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「何とか言えって言ってんだろ!」
男子生徒は冬夜の胸ぐらを掴み睨みつける。彼の名前は、時透俊介。冬夜の1番の親友で、病気の桜の事を自分の妹の様に可愛がって来た。
冬夜の妹は、生まれつき体が弱く、入退院を繰り返して来た。冬夜の両親は共働きで帰りが遅く、妹の面倒はいつも冬夜が見ていた。
冬夜がバイトで忙しい時は、代わりに時透が面倒を見ている。
桜は自分の病気など気にせず、いつも明るい子だった。そんな桜は、冬夜のクラスメイト男女共に可愛がられていた。
それなのに今回、クラスメイト達は学校のモニターで、コネクトゲームの中継を見ていて絶句した。
参加者が人数に満たなかった為、ランダムに選ばれた7名の中に桜が入っていた。
デスゲーム中に死亡した場合、仮想空間から戻って来れず、魂もろとも消滅するのだ。
仮想空間の中では、プレイヤーを攻撃出来ないが、やり方によっては、プレイヤーを囮に使う事も出来る。今回は、桜が囮に使われた。
今までにそう言ったことは何度もあった。プレイヤーは皆、善人ではない。命のかかった戦いで、いかに自分だけが生き残る事を最優先で考える者ばかりだ。
桜の時も、皆その考えで使えない者は囮に使う。そんな流れが出来てしまっている。そして、
「もう、ほっておいてくれ。何も考えたくはない。」
「てめー!」
【ドガッ!】
俊介が冬夜の顔面を殴り、冬夜はその場に倒れ込む。
「止めなよ、俊介!」
「うるせー!」
「誰か、俊介を止めて!」
クラスメイトの男子が慌てて俊介を止める。
「離せ!このクソヤローを殴らねーと気がすまねぇ!」
「落ち着けって俊介!冬夜は、妹の桜ちゃんを殺さられたんだぞ、その事もわかってやれよ!」
「うっせーって言ってんだろ!妹の無念もはらさねーで、何が兄貴だ!お前が桜ちゃんの兄貴を語るんじゃねー!」
【パチンッ】
「いい加減にしなさいよ!あんた、妹を殺された冬夜の気持ちわかるの?勝手な事言ってんじゃ無いわよ!」
「てめーは黙ってろ、美鈴!」
時透をビンタした少女。名前は桜島美鈴。冬夜と時透の幼馴染。いつも3人で行動している。
「冬夜を殴っても何の解決にはならないわよ!」
「うるせ――――――――――――――――!」
「落ち着け俊介!美鈴の言う通りだ、冬夜を殴っても桜ちゃんは帰って来ないんだよ!」
「んなのは、わかってんだよ!でもな、妹をあんな風に殺されて、何もしねーこいつが許せねぇんだよ!こいつをボコボコにした後、岬高に行ってあいつもボコボコにしてやる!」
「んだよそれ・・・・・・・・・。」
「あぁん!?」
「桜は死んだんだ。それで終いだろうが。」
「て、てめぇ・・・・・・・・・。」
「もういいだろ。頼むから今日は1人にしてくれ。」
「クソが!てめーの顔なんか二度と見たくねー!もう、学校にくんな!いいな!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
冬夜は自分の机からカバンを取り、教室のドアに向かう途中に美鈴に話しかける。
「ありがとう美鈴。じゃぁな。」
「冬夜・・・・・・・・・。」
そのまま黙って冬夜は教室を後にした。他のクラスメイト達は、何も言えずそのまま冬夜を見送った。




