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力の覚醒と危険な予兆
──魔法理論研究クラブの部室。
カグヤがリオの手元を見つめながら言った。
「リオ、あなたの魔導典は確かに特別。でも、その力はまだ制御が不安定。焦りは禁物よ」
リオは汗を拭いながら答えた。
「わかってるけど……でも、強くなりたいんだ。みんなを守れるように」
カグヤは真剣な表情で言う。
「その覚悟が大事。でも体も心も壊さないようにね」
──訓練場。
リオは《アルカノス》を手に集中。
空間をわずかに歪め、小さな瞬間移動を成功させる。
「少しだけ、つかめたかもしれない」
しかしその瞬間、リオの体に激しい痛みが走る。
「うっ……」
カグヤが駆け寄り、彼の肩を支える。
「無理をしすぎたのね……!」
──一方、学園の闇。
黒いフードの人物が情報を受け取り、低い声でつぶやく。
「リオ・クロスの魔導典は確かに強力だ。だが、彼はまだ若い。焦りは彼の弱点となるだろう」
「奴が暴走すれば、こちらの計画も一歩前進する」
──夜、リオは眠れぬまま窓の外を見つめる。
「このままじゃダメだ……もっと強く、もっと正確に」
未来への決意を胸に、リオの力は少しずつ覚醒を始めていた。