謎の敵影
──放課後の学園、魔法理論研究クラブの部室。
カグヤが資料や古い魔導典の断片を広げながら話す。
「リオの魔法は普通の魔法とは根本的に違う。
空間を”切り取る”ような感覚で操作している。だから瞬間移動や攻撃の回避ができるんだ」
リオは魔導典を開き、慎重にページをめくる。
「だけど、まだ力が暴走しそうで怖い。俺には扱いきれない部分が多い」
カグヤはうなずき、真剣な顔で言った。
「その不安定さがリスクよ。制御を学ばなければ、君の体も空間も危険にさらされる」
──その時、部室の窓から何者かが外をじっと見つめていた。
黒いフードをかぶった人物が、闇に溶け込むように動く。
「ターゲットはリオ・クロス。魔導典の秘密を暴き、奪う必要がある」
──翌日、リオは学園の廊下で不自然な視線を感じ、周囲を警戒する。
しかし誰も怪しい様子はない。
「気のせいか……」
カグヤが近づき、軽く肩を叩いた。
「気にしすぎよ。でも、何かあったらすぐ知らせて」
リオはうなずき、決意を新たにした。
「俺は《アルカノス》の力を完全に制御して、誰にも負けない魔導士になる」
──夜、謎の人物は学園の魔力監視システムに不正アクセスを開始する。
「リオの居場所を正確に割り出せば、奪取は容易になる」
闇の中で不敵な笑みが浮かんだ。