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世代の勇者  作者: グミ
第四章「休日」
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第八十三話「予想外」

前回、焦る第二魔王軍の下へ勇者学校特待生の【キザ】が現れた。嘘の紛れた情報に悩まされる【シャネス】だったが、第二魔王城から離れた場所にて、不穏な気配が動く。しかし、それを監視する勇者も動きを見せ始めていた。

第二魔王軍戦まで…あと1日…


「それにしても!!錚々たる面々がここまで揃ったら、見逃すわけには行かないよね!!」

▶第四勇者パーティ統括[普通の勇者]【グレー】


「あぁ…いつ参加するのか気になっていたけど…今すぐとは…」

▶第一魔王軍幹部[支配の魔神]【クースト】


「…新参か?見たことねぇな。」

▶第一魔王軍幹部[嘘奪の魔神]【イリス】


「お前?!こんなところまで来るのかよ!!」

▶第一魔王軍幹部[嘘奪の魔神]【キザ】


一歩踏み出した普通の勇者は、微笑み叫んだ。


「言っておくけど!!僕は戦いが大好きなんだよね!!!成長を得られるあの感覚…!!君達は…レアボスだ。経験値を頂くよ?」

「は!!よく言うぜ!!!知ってるぞお前!!スキル持ってねぇんだろ?だからエンチャントスキル持ちの仲間とパーティを組んでる!!一人じゃ無力だろ?」

瞬間、キザの左腕が切断される。

振り向いた3人は瞬時に戦闘態勢に入った。


「そーなんだよね…ほんと…スキルやどんないかなぁ〜」

右腕の横振りを喰らったキザは、岩に激突し倒れる。不思議そうに拳を見つめたグレーは、首を傾げて呟いた。


「【分身】…?嫌…【憑依】かな?」

「?!?!」

「スキルとは認識に過ぎず、意識しなければ明確に使い分けることは出来ない。でも…おそらく君は…」

「戦闘の掟、その1。先手必勝後、考える隙を与えない」

引き抜かれた剣は灰色に輝き振動する。

左足を踏み込んだと同時に、音なく右足を前に出す。


「スキルの感覚を身体が覚え、【再現】しているんだろう?」

目の前に迫った剣は、150本の触手に掴まれ動きをとめる。追撃の触手が地面から生えるが、グレーの左足に踏み潰される。


「流石…【災害】と呼ばれるだけはある。絶対倒したと思ったのに!!残念!!」

「【心外】だなぁ…こっちは【会話】をしてるんだよ?【無視】して攻撃するなんて【暴挙】…勇者としての【品格】が落ちるんじゃないかなぁ??」

更に増えた触手は横腹を狙う。

剣から手を離し距離を取ったグレーは、困った様子で返答した。


「え?独り言かと…会話だったんですね…」

「武器を手放して良いのかい?…これは…鉄剣だね?ユニーク武器はどこに?」

「ん?僕は使ってないよ?一番の武器は思考だからね!!」

「…なるほど…これは手強いね」

目を閉じ下を向いたクーストは、微笑み顎を上げる


「心とか…気持ちとか…勇気だとか、愛だとか、そんな物を強さと呼び者は腐るほど居る。だがそんな物…いつかは欠け、忘れ、失う。勇者の中にも居るだろう?感情を失っただけで、【不幸】に落ちたかのように【錯覚】する。」

「…アイリスさんの事かな?」

「あぁ…仲間にもそう【認知】されてるんだねぇ…"あれ"は駄目だね。役に立たない。あふれる涙がその証拠だよ。立ち上がる事の出来ない時こそ…人は涙を流す…」

「…その考えは間違ってるよ」

「…あぁ?」

笑顔で突き出した拳を握り、グレーは深呼吸する。


「君は彼女の強さを知らない。外見的な強さじゃなく、もっとこう…内面的な。」

「知って評価が覆るとでも?感情を失う前から、僕は彼女の【脆さ】を知っている。」

「いや。彼女は強いよ。」

「…話にならない。生物の成長には【限界】がある。その中でも"あれ"は【未完成】だ。知らないのなら教えてあげよう。」

触手を更に50本増やしたクーストは、右指を動かす。


「現[魔法の勇者]と元[治癒の勇者]は、僕が作り上げた素材だ。君の推察は行き過ぎている。これだから…人間は…見るに堪えない。」

「…なるほど…正直驚いたよ。」(それにしても…)

会話をよそに視点を動かす。未だ動きを見せないイリスに警戒していると、キザが大きく咳き込んだ。


「がはっ?!?!なっ?!」

吐血は止まらず、地面に頭を付ける。瞬きを数回行ったのち、キザはグレーを見つめた。


「…勇者…様?」

▶勇者学校特待生【キザ】


「?!」

瞬間。額から汗が流れた。

彼の表情や瞳孔の震え、呼吸や気配、心臓の鼓動に至るまで…すべてが切り替わった。


「…こごは…?」

「読みが外れた?!?!」

キザのもとへ走り始めたと同時に、イリスは右足を踏み込んだ。


「【動作短縮】【詠唱短縮】」

瞬きの動作を短縮し、再び目を開くまで0.000001秒。その間に、イリスは計23個のスキルを発動した。


「?!」

スキル発動直後、グレーの身体には

【身体能力低下】

【スピード変化/0.5倍】

【過剰摂取】

【スロー】

【分散】

【動作延長】

【視界制限】

【120%/身体能力低下】

【即効効果】が付与され、周囲に、

【重力/20倍】

【体力吸収/エリア展開】

【毒/エリア展開】

【猛毒/エリア展開】

【麻痺/エリア展開】

【麻痺毒/エリア展開】

【空気硬化】

【ラグ】

【向かい風】が展開される。


状況を把握したキザは、目の前に広がる攻撃スキルを可能な限り避け、スキルを発動した。


「?!ばか?!?!?!」

【位置交換】されたグレーは、振り向き叫ぶ。

"身体に付与されたデバフ対象"の位置替えも同時に発動し、グレーに付与されたスキルを庇った瞬間。地面に激突した。【重力】に押しつぶされながら、【麻痺】【毒】に侵される。飛びそうな意識の中、キザは再度【位置交換】を使用する。


「流石は特待生。良い身体だったんだけどな…」

クーストと【位置交換】したキザだったが、イリスの追加発動された【追尾】と【付着】、【固定】によりスキルエリア内からの脱出を防がれる。


再び動き始めたグレー、瞬時にイリスの横腹に殴り込んだ。拳が当たるほんの数ミリ。イリスには

【物理反射】

【反撃】

【超反射】

【加速】が付与され、グレーの拳は弾かれた。

仰け反った瞬間、拳に

【保存】

【解放】

【連撃】

【再度】

【リピート】

【トレース】が付与され、反射されたダメージを同じ火力で四回受け、【保存】▶【解放】後、更に四倍のダメージを受ける。


「ぐっ?!?!」(右腕ぶっ壊れた?!?!)

「へぇ?頑丈な拳だな?もしかして…案外つよい?」

「底が知れないね…」(流石に引くべき…でもキザくんが…)

「心配要らないよ?この子は僕が貰うからね。」

地面に倒れたままのキザに近付いたクーストは、微笑み振り向いた。


「言っとくけど、君がいくら強くても…[勇者]程じゃないんでしょ?同じTOPランクでも、更に深く順位がある。スキル無しでTOPランクと言われれば聞こえは良いけど…実戦でスキル無しって…足手纏いでしょ。若さ故の過ちだね。君は戦いを挑まずに…逃げるべきだった。」

触手を伸ばし、キザに触れようとした瞬間、クーストの触手は断たれる。


キザを抱きかかえ走り始めたグレーは、弱々しいキザに話しかけた。


「助かったよほんとに!!!流石特待生だね!!対応速度と判断能力が半端じゃない!!!!」

「はぁ…はぁ……」

視界から消えた二人に、クーストはため息を吐いた。


「はぁぁ…良いのかい?もうあれは」

「うん。さんざん使わせてもらったからね。でも…ストックが一つ減ったのは想定外だ。【憑依】と気付かれた事もだいぶきつい。」

「我々の情報と戦力減少。恐らく僕が【本体】である事も気付いていただろう。気になる事も多いが、想定外が起こったうえにバレてしまった。今回、僕は戦争を抜けるよ。いいよね?」

「うん。こっちのミスだ。でも一応デコイは持ってきてくれ。」

「…久しぶりの外出。やはり面白いものだね。」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

走り続けるグレーは、脳をフル回転させながら最速で第二勇者パーティの下へ走った。


「絶対に助けるからね。」

「…はい……」

「それにしても…あそこまでやりにくい物なのか…」(…なぜ追ってこない?なぜキザくんに付与したスキルを消した?意図的…あるいはそこまでスキルの理解度を上げていない?とにかくラッキーだ…)

咳き込むキザは毒の促進を遅らさせる為に、自ら気絶した。体の筋肉と血管を無意識に操り体を保護する。


「…頼む…持ってくれよ!!」

速度を上げた直後、キザの心臓が光った。

赤色に照らす光源は範囲を広げ、スキルは発動する


【火力/10倍】

【倍率/10倍+倍率/火力10倍】

【暗殺】

【蓄積/2年】

【加速/5倍】

【倍速/5倍】

【120%▶火力/倍率/蓄積/加速/倍速】

【過剰摂取▶火力/倍率/120%/蓄積/加速/倍速】

【保存/自爆】

【自爆/解放】

【強制移動/範囲制限】


「なっ?!」

ノーガード+ゼロ距離からの爆発。

衝撃は数百km先の第二王国にまで届き、その音は真逆に位置する680km先の第四王国にすら届いた。


「?!やられた?!?!」

【即死無効】で攻撃を無効化したが、キザは即死した。この攻撃の意味を即座に理解したグレーは、振り向き叫んだ。


「これが狙いか?!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「うわぁ?!?!」

▶第二勇者パーティ所属【ヴァート】


時刻2:16

振動に襲われた第二王国と第二魔王城。半壊。

鼓膜が破れ、脳を潰された国民と反勇者組織の市民数。不明。


第二王国にて、【即死無効】で耐えた勇者は目覚め、[回復の勇者]の範囲内と特待生の【オート回復】発動人数以外即死。振動により崩れた瓦礫に潰された負傷者多数。


第二魔王軍にて、【未来予知】で先読みし魔王軍の陣営は全員生存。しかし、遠方の反勇者組織にて、三人を除く子供から大人にかけて…即死。


「先手を打たれたか」

▶第二勇者パーティ統括[剣の勇者]【ノア】


「もう始めるのか」

▶第二魔王軍統括[元剣の勇者]【ジン】


互いに覚悟を決めると、それぞれ叫んだ。


「1日早いが…戦争の準備をしろ」

「何が一週間後だ…落ちるとこまで堕ちたな…」


予想外の攻撃に緊張が走る中、起き上がった黒髪の少年は、汗をかき呟いた。



「…始まる…」



次回「開始」


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