第八十二話「警告」
前回、自分を見つける為に動いたリーラは、勇者学校にて足をとめる。様々な葛藤に押しつぶされそうな時、一人の男性に声をかけられた。
「だから!!今すぐ第一魔王軍ぶっ潰せば良い話じゃねぇか!!!強ぇんだろ?!あんたら!!」
▶︎反勇者組織[赤ローブ]【ザーク】
怒りに満ちた声は会議室に響く。
深く考える第二魔王軍統括は、目を開け口を開いた。
「まだダメだ」
▶︎第二魔王軍統括【ジン】
「まだって?何時なら良い??先送りの意味は?テメェビビってんじゃねぇだろうな?!」
「黙って聞いてればお前…頼み込む側なら口の利き方を選べ」
▶︎第二魔王軍所属【カイ】
「……!!落ち着いてられるかよ!!仲間が殺されてんだぞ?!無視して生きていける程、俺は冷酷じゃねぇ!!」
「…何も思う所が無いわけではありませんよ。命を失う行為は、どんな理由があろうと重たい事実。今回の件は、同行しなかった私達の責任でもある。」
▶︎第二魔王軍統括【シャネス】
「違う違う違う!!!!責任じゃねぇ!!!そんなの関係ねぇんだ!!!現にそばに居たのは俺達で、助けれなかったのも俺達だ!!でも…筋があんだろ?!俺達4人が捕まった時、助けに来たのはなんだ?!第一魔王軍より全勇者パーティの方が怖くなかったって言いてぇのか?!」
「…ザーク。お前は第一魔王軍をどこまで知ってる?」
「あ?!」
「勇者パーティの面々は1人を除き、俺とシャネスはよく知ってる。それに比べ第一魔王軍の五人の幹部は、そこまで素性を明かされて居ない。その中でも第一魔王の強さは異質だ。知を持って盤上を制す。無知の無謀さがどれ程の危険を伴うか…改めて考えろ。」
「ぐっ……クソが!!!お前らが動かなくても!!俺は動く!!話すだけ無駄だった!!!」
「…死ぬ気か?」
「死ぬはずだったんだ!!今この場にいるのは俺じゃないはずだったんだ!!!俺はもう生にしがみつかねぇ!!!!」
「……バカみたい」
▶︎反勇者組織[黄色ローブ]【レイ】
「あ"?!」
「まぁまぁ…その気なら私がお供しますよ?【支配の魔神】には仮がありますからね。」
▶︎第二魔王軍幹部【ブラッド】
「…ダメだ」
「……戦力を一時的に失いたくない気持ちは分かります。私も今では主戦力ですから。ですが、第三の【ビット】に恨みを持つ私には、ザークさんの気持ちが痛い程理解できる。」
震える右手を優しく撫でたレイに、ブラッドは優しく微笑んだ。
「強がり…私には分かるんだから」
「…ありがとう」
心に刻まれた【恐怖】
どれ程強く勇敢な者でも、過去のトラウマと再会するだけで動けなくなる者がいる。
ブラッドも…その一人だった。
拷問、強制、支配、人質。
善良な男がたった一つの命令に抗えず、村を壊し人々を殺した。
罪と後悔
「1人で頑張るのはもう終わり」
「…敵わないな……君には」
「……いいなぁ」
▶︎第二魔王軍所属【ヒューラ】
「そこ!!イチャイチャしない!!とにかく今は団結が優先でしょ?ザークが死んだら私が殴りに行くからね」
▶︎第二魔王軍所属【ソラ】
「ソラが殴るなら僕も殴りますね!!」
▶︎第二魔王軍所属【ルーブ】
「なんでだよ?!?!」
「命を失う行為は重たい事実!!シャネスさんがさっき言ったでしょ?!あんたが死んで悲しむ人が、少なくともこの場には沢山いるの!!」
「ぐっ……」
意見に押され狼狽える。直後、扉がノックされ1人の老人が顔を出した。
「少シ良イカナ?」
▶︎第二魔王軍幹部【ヒーチャ】
杖をコトコトと鳴らす緑肌の老人は、首を傾げると質問を投げかけた。
「王国カラ勇者学校特待生ノ【キザ】ト言ウ青年ガ来テオル。誰カ知ランカナ?」
「……キザ?」
みんなは顔を合わせると、口を揃えて発言した。
「知らない」
第八十二話「警告」
「ん~ちゃっちゃと終わらせよう…会いたくない顔も居るしね~」
▶︎勇者学校特待生第三位【キザ】
「にしても……」
"(どちら様ですか?)"
「?!うっわ?!?!」
突如脳内で聞こえた声に、大きな声を上げた。
辺りを見渡すが誰もおらず、キザは魔王城に視点を移す。
「【テレパシー】か…これまた便利」
"(見たところ一人ですか?何か伝言でも?)"
「いやいや~そう言う大層なものじゃないですよ」
苦笑いする男はため息を吐くと、声を変え話し始めた。
「第二勇者パーティが1週間後戦争を仕掛ける」
"(?!)"
「正確には第三魔王軍と第二魔王軍同時の殲滅だ。理由は自ずと分かるだろ?サード村襲撃と王国襲撃。国民は恐れ、魔王軍の壊滅を催促した。」
"(待ってください。王国の襲撃?国民に被害は無いはずです。私の試練は勇者と元魔王軍にしか発動させませんでした。)"
「……?だとしたらなぜ僕が襲撃されたと理解してるんです?」
"(それは…)"
「答えは1つ。試練の出来が悪く影響は一部の国民にまで及んだ。その中で死亡も出ている。これは明確な契約違反だ。停戦を断ち切った第二魔王軍は今、危険因子と認定されている。」
"(…それが……それがもし事実なら、貴方はなぜ…私達に教えたのですか?)"
「…変な質問するなぁ……だって、貴方達は悪い人じゃない。それ以外に理由が要りますか?僕がここに居るのは誰も知らない。そうだな…【平和主義者】と呼んでよ。第二魔王軍から避難するのも良し、何か伝言をしたいなら伝えるけど?」
"(…では、「不手際で問題を起こしてしまい申し訳ありません。互いに争いは避けるべきです。」とお伝え下さい。)"
「任せて下さい。…では!あまり長居すると魔力が付着しちゃいますし、ここらで帰らせて貰います!!それじゃ……」
"(待ってください)"
「…はい?他に何か?」
"(改めて…1週間後ですね…?)"
「はい(笑)」
頭を下げたキザは、笑顔でその場から離れた。
深く考えるシャネスは、ジンの顔を見ると冷静に話し始めた。
「嘘ですね。戦争は1週間後ではなく…もっと早いかと……戦争を仕掛ける事については、嘘では無かった。国民の被害も事実……しかし、死者が出たのは嘘でした。すごく……妙です。思考も読めない…」
「…国王が判断したとなれば納得は行く……しかし…今か……都合が悪い…」
「第二勇者って?!ヴァート達の所?!」
声を上げたレトにカイとジン、シャネスが反応する。
「…テン村の??第二勇者パーティなのか?!」
「えっ…?あっ!そっか、カイは宿で話さなかったもんな。」
「ヴァート……?」
「…聞き覚えがありますね。何時だったか…」
焦って振り向いたカイはヒューラを瞳に映す。
「(どうする…ホープラスはどうなってんだ…)」
「…とにかく…攻め潰すつもりなら俺だけ残る。みんなは逃げろ」
▶第二魔王軍統括【ジン】TOPランク
「…冗談ですか?珍しいですね。」
▶第二魔王軍統括【シャネス】TOPランク
手を握ったシャネスは、少し怒りそっぽを向いた。
「冗談じゃない。今からでも間に合う。」
「……」
▶第二魔王軍幹部【ムシャ】2ndランク
下を向いたムシャは、ペンを持ち文字を書き始めた。
「逃げ出すつもりなんてありませんよ。ここはもはや我々の家。…行く当てもない」
▶第二魔王軍幹部【ブラッド】TOPランク
覚悟を決めた白髪の剣豪の袖を掴んだ少女は、心配そうに呟いた。
「…無理だけはさせない…今度は一緒だから」
▶反勇者組織[黄色ローブ]【レイ】Sランク
「…うん」
「待って下さい…ヒューラは参加できません。俺も離れる訳には行かない…二度も…危険な場所に置き去りにしてしまった。」
▶第二魔王軍所属【カイ】3thランク
「お兄ちゃん?!」
▶第二魔王軍所属【ヒューラ】Eランク
「ナラワシガ付キ添オウ。ソレデイイカ?」
▶第二魔王軍幹部【ヒーチャ】3rdランク
「?!助かります!!!ほんとに!!」
「なら、反勇者の子供たちは私達がどうにかするよ!!」
▶第二魔王軍所属【ソラ】Aランク
「はい!!任せてください!!!」
▶第二魔王軍所属【ルーブ】Aランク
「…チッなんでこうも面倒事が多いんだ…」
▶反勇者組織[赤ローブ]【ザーク】Sランク
頭を掻いたザークの横から、笑顔の少年は呟いた。
「僕は残るよ。みんなと戦いたい」
▶第二魔王軍所属【アイ】4thランク
「…はぁ…なんでそこまで…」
「…」
ため息を吐いたジンの目の前に、ムシャが紙を置いた。その言葉をみたシャネスは、嬉しそうに笑う。
「ふ…そうですね。これが理由です」
「…お前なぁ」
「事実では?」
「あ?」
「少なくとも俺達みんな!!ここが大好きなので!!!」
▶第二魔王軍所属【レト】4thランク
照れ隠しに俯いたジンは、ふと顔を上げ呟く。
「戦力は申し分ない。反勇者組織の戦える連中も合わせたらこっちのほうが有利と言っていい。第二はTOPランクが一人。こっちは三人だ。まず、負けることは無いが…万が一を想定して…」
「【ナキ】も呼ぶ」
風の吹く外には煙が立ち込める。
第二魔王城を取り囲む底の見えない穴。
一本の橋を経由して大きな広場が展開される。
「戦争は未定。各自準備を始めるぞ。」
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「第二魔王軍全戦力VS第二勇者パーティ総戦力。」
広場を抜けて盛り上がる磐岩に身を隠す二人組は、愉快に腰を下ろした。
「結果がどうであれ…均衡が崩れる」
▶第一魔王軍幹部[嘘奪の魔神]【イリス】
「あぁ…いい【響】だね。【空】の【風】すら【結末】を知らないなんて。この【展開】は…実に【興味】が湧くよ。」
▶第一魔王軍幹部[支配の魔神]【クースト】
蠢く触手は地面に潜る。近付いてきた一人の男は、とっさに吹き出した。
「アイツらマジ笑うwこの姿は想像以上に便利だぜ?!」
▶第一魔王軍幹部[嘘奪の魔神]【キザ】
不気味な声は風に飲まれ存在を消す。
第二魔王軍との衝突まであと…1日
次回「予想外」
「ん〜なるほどね…支配と嘘奪…こりゃ流石に厳しいか…警戒しててよかったよ。この戦力なら…僕も参戦しようかな。」
▶[普通の勇者]【グレー】TOPランク
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