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世代の勇者  作者: グミ
第四章「休日」
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第八十話 [休日]「女性陣」

前回、お風呂に入った男性陣は、それぞれの特訓を行っていた。その中で、ノアはみんなに仲間の話を行う。

木製の床の上を裸足触れる。夜空に晒される肌に風が当たり、濡れた石床を踏み込む。

湧き上がる湯気を視界に入れた白髪の少女は、嬉しそうに笑った。


「わぁぁぁあ!!!!露天風呂?!?!?!」

▶︎第二勇者パーティ所属【アイス】


「元気だね。転ばない様にね?」

▶︎[回復の勇者]【ヒーリェ】

タオルで前を隠しながら、シャワーの前に移動する。続々と入室する彼女らに押される勇者は、困惑しながら桶を取った。


「別に…一人で入れる…」

▶︎[魔法の勇者]【アイリス】


「でも病み上がりでしょ~?お姉さんに任せてよね!!」

▶︎第二王国前線指揮官【ミスリラ】


「そだよ!!安全第一手助け必須!!」

▶︎勇者学校特待生【セリア】


「……既視感(懐かしい)」

▶︎第二勇者パーティ所属【リーラ】

付属のシャンプーを手に取るリーラに後ろから抱きついたセリア。驚いたリーラは、焦って振り向いた。


「な……?!(何?!)」

「リーラちゃん…?まだ大きくなってるの?」

「えっ……(困惑)」

「やっぱり食べ物なのかなぁ~…なんかこう…フィット感がレベルアップしてる気が…」

「セリアちゃん!!ヒー姉ぇも凄いよ!!」

「!!!」

「あはは~変な感じ~~」

胸を揉みしだくミスリラを笑いながら捕まえたヒーリェは、泡立てたスポンジを手に取り身体に当てる。


「ほら。早く入るよ。」

「うん!!えへへ!!」

嬉しそうに泡立つミスリラ。横目で見ていたアイリスは、少し落ち込み呟く。


「…別に……一人で入れるし…」

「お姉ちゃん!!背中流しっこしよ?」

「…なら…私が流してあげる」

少し微笑み魔法を発動すると、アイリスは詠唱を始めた。


「ロックウォーター」

「!!何?!」

水の紐がアイスを拘束し、アイリスの目の前まで移動する。椅子に座ったアイスの背中を、小さな指が軽く触れる。


「…いい子。じっとしてね?」

「ぅぅ…拘束なんて要らないのに…」

「はしゃがないって約束できる?」

「ぅ……」

「…ほら。良いから任せて?私の方が…お姉ちゃんなんだから……」

髪を洗うアイリスは、目の前の妹に興味を示す。


「……ほんとに…似てる……」

髪質やツヤ、肩からくびれに掛けて全てが私と同じ。見た目や声性質すら、見分ける方法は恐らく…


「髪の長さだけ……」

伸びたアイスの髪を優しく撫でると、アイスは嬉しそうに振り向いた。


「えっと…お姉ちゃん……?」

「…!!」

瞬間、アイリスは自身の胸を凝視した。


「……なんでここだけ違う…」

「え?」

ハイライトを失ったアイリスは、周りを見渡す。


アイス▶︎推定C リーラ▶︎推定C ヒーリェ▶︎推定D


「…」

続いて辺りを見渡すと、アイリスの瞳は輝いた。


セリア▶︎推定A ミスリラ▶︎壁


「……まぁ…私はまだあるし…」

胸を張ったアイリスは、少し誇らしげに胸を張った。体を洗い終わったリーラは、体を隠しながら湯船に浸かる。


「……ふぅ…(疲)」

想像以上に、片手での生活に慣れない。

お湯に体を沈め、リーラは右手を空に掲げた。


「この腕だけは…守らないと(後悔)」

目を瞑り集中する。

今の私が強くなるためには……


「【マナリンク】の獲得…(でもそれは)」

回復にも適応されるのか?

アイスマナやリーフマナとは違い、回復専門のマナなんて聞いたことが無い。

増してはアイスちゃんやセリアちゃんと違って、私にはマナが見えない。


「…やだな…(私だけが)」

取り残されるのは……


「…考え事?」

「…!えっと…まぁ……(同様)」

隣に座ったヒーリェは、不思議そうに湯船に浸かる。


「…昼間は……ごめんなさい。配慮が無かった。」

「!いや…全然…大丈夫です……(本当に)」

「…前に王国で話した…マナの話。悩んでるのなら、しっかりみんなに聞いてみるのも手だよ?ミスリラ以外の女性陣はみんな魔法適合者だから、遠慮なんて要らない。」

「……まずは…一人で考えます……(じゃないと)」

「……それは、誰かに言われたの?」

「!!」

首を傾げリーラを見ると、彼女はすぐに視線を逸らした。肩の下がり方や、目線移動、呼吸の変化。ヒーリェは空を見上げると、優しく呟いた。


「……一人で悩みを抱えるのは、拒絶を恐れているからですか?」

「…え?」

「…私の……友達の台詞。第二魔王軍統括の…シャネスって言う人の…」

懐かしそうに星を見上げると、ヒーリェは寂しそうに笑った。


「すっごく怖い。私は今回の戦争で、戦うのが怖いんだ。」

震える肩が、嫌という程心を締め付ける。


ジンさん。シャネスさん。

私がどれだけ、2人に救われたか……

どれだけ…2人を尊敬していたか……


「…こんな話…みんなに出来ないんだ。…絶対…休む様に言われるから……」

不器用に笑う勇者に、リーラは頷いた。


ああ……なんて…優しいんだろう

自分の気持ちを押し殺して、みんなの為に隠す。

私の気持ちを楽にする為に、隠した気持ちをうち明かす。

みんながみんな、不安を持っている。

そんな中、この人は……


「…もっと……自分らしく生きた方が良いですよ…」

「……うん。」

「もっと……素直に生きるべきです。」

「…うん。」

「我慢した人は、その分恵まれるべきだと思います。勇者様は……溜め込みすぎですよ。」

「…それは、お互い様じゃないかな?」

「……全然…違いますよ……」

勇者様と違って、私はみんなの足を引っ張り続ける…

何も出来ない私が苦労するのは当たり前。

でも勇者様は、……


「…勇者様は…」

「私は勇者になる前、戦争で助けられてばっかりだった。」

「…え?」

「逃げて、逃がされて、狙われて、助けられて、悔やんで、泣いて……1人で強くなれる人なんて居ないよ。そんな完璧な人は…存在しないよ。」

水面に映る過去の自分に、ヒーリェは問いかけた。


「どうして1人で悩むの?全ての元凶を自分と結びつける理由は何?」

「えっと……(困惑)」

「…人間性が、そうさせるんだよ。理由なんて、そんなもの。私がリーラちゃんを気にかける理由は、昔の私に似てるからかも。」

肩に頭を乗せた勇者は、目を瞑りリーラに答えた。


「1人じゃないよ。仲間を…信じてあげて。」

「……信じる…っていうか…信じてはいます…ただ、私自身の気持ちが壁になってるって言うか…止めてるって言うか…」

「…なら……自分を…信じてあげて…」

「…」


自分を…信じる……?


「…無理ですよ。…それは…無理です…」

立ち上がったリーラは、足早に風呂から上がった。

体を拭きながら髪を乾かす。ふと、鏡に映った涙に、リーラは酷く…嫌悪した。


「…私はそこまで…」


前向きになれない。



次回「みんなが私に、そう言った」

「…やっぱり私じゃダメなのかな。」

夜空を見上げ、目を閉じる。


「……やっぱり…私は…シャネスさんのようになれない。リーラちゃんの心の穴は…きっと…」

私の力じゃ…埋まらない。



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