第七十六話 [休日]「リーラとエリックとヒーリェ」
前回、[盾の勇者]と食事をするホープラスは、第二魔王軍所属【カイ】の取引内容を話した。
その中で、ラペンは自らの代償を察する事となる。
街中を歩く三人は、各々ドリンクを飲みながら雑談していた。
【リーラとエリックとヒーリェ】
タピオカの入ったカフェラテを飲むエリックは、初めての食感に声を上げた。
「…ん。美味……」
▶︎勇者学校特待生【エリック】
「…私もそれにすれば良かったかな……(後悔)」
▶︎第二勇者パーティ所属【リーラ】
オレンジの炭酸ジュースを飲むリーラは、再度ストローに口を付ける。
「……んん(美味しい)」
「後悔しなくても大丈夫だよ。全部買って飲んじゃえば良いし。」
▶︎[回復の勇者]【ヒーリェ】
チョコラテを飲む勇者は、エリックに質問する。
「…ねぇ?エリックくんはなんで推薦受けなかったの?」
「……。」
「言いたくないなら別に大丈夫だけど。」
「いえ。……プライドですよ。お恥ずかしながら…」
下を向くエリックは、ドリンクを回しタピオカを転がす。
「俺の村から他に二人推薦されてました。一人は俺の同期でヘルアって言います。」
「あっ……(納得)」
「ヘルアが推薦されて…俺はまだ推薦状届いてなくて…焦りました。結果ヘルアと喧嘩して……ボロボロに負けて……」
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短編小説【たった一人の親友】より
心の中で感じていた劣等感。ずっと隣に居たのに、ヘルアだけが選ばれて、俺は置いて行かれた。
「?」
▶︎推薦入学者【ヘルア】
頭の中で暴れる感情を整理できない。自身への不満。他者への嫉妬。俺は鉄剣を一本ヘルアの足元に投げ、荷物を置いた。
「拾え」
▶︎ヘルアの親友【エリック】
「…あ?」
「この戦いが終わったら。俺達は今後一切関与しない」
「何を…」
「最後の決闘だ。」
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「何だこれ?」
▶︎エイト村の青年【エリック】
家に戻ると一通の手紙が届いていた。見覚えのある手紙を開け、中身を確認し、俺はその場で崩れ落ちた。
「そりぁ…ねぇよ」
[勇者学校推薦入学認定証 エリック殿]
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「…家帰ったら推薦されてた事知って……そんなの…なんか…無理じゃないですか。」
悔しさを隠す為に笑顔を作るエリックは、息を吐き出し前を向いた。
「…あの時。プライド捨てて後を追ってたら…俺も皆と同じく…強くなれてたかも知れないのになぁ……」
目が潤いエリックは横を向く。
決着これもプライドだ。
…弱い所を見られない為に、涙を隠す。
ヴァート君に戦いを挑んだ時。
本気で勝てると思ってた。
でも、ヘルアの仲間はもう俺なんかより数段心強く強かった。
…強さを素直に認めた所も…俺の弱さだ。
「…リーラさん?ヘルアは元気にしてましたか?」
「…うん。毎日忙しそうだよ。(笑顔)」
「…そっか。」
微笑んだエリックを横から眺めるヒーリェは、頬を突く。
「ねぇ?」
「?はい??」
「良い笑顔で笑うね。ジョーカーに見せてあげたい。」
「……?」
「だから今回の戦争。死んだらダメだよ?私は魔王城だから、エリックくんとリーラちゃん達は私の回復範囲外。絶対に生きてね?」
「任せて下さい。俺だって推薦されたんですから。」
「回復なら任せて下さい!!(元気)」
胸張る元推薦入学者と元特待生は、互いに見つめ合い笑った。
「リーラちゃんは初対面より心強くなったね。私はとても嬉しいよ。」
「え?!変わってますかね…??(動揺)」
「うん。話し方とか、回復の意識とか。特待生の時からそうだったけど、回復優先順位の最後に自身を入れる思想は、尊敬するべき所だね。」
ヒーリェはリーラの失った左腕を見ると、少し悲しんだ。
「でも、回復の両立はした方が良いよ。今回は、腕を失ってもヴァート君に回復全振りしてたからヴァート君は死ななかったけど、両立出来てたらリーラちゃんは腕を失う事は無かった。」
「頑張ります(謝罪)」
落ち込んだリーラを見たエリックは、話の内容から考察し疑問を話した。
「腕失ってもって…そんなヤバい状況で仲間の回復に費やしたって事か?なら十分凄いと思うけど。」
「いや、腕は失っただけで断面はまだ仮死してなかった。冷静に対応してたら腕は残せてたって話だよ。リーラちゃんなら出来たんじゃないかな?」
「えっと……(困惑)」
「…?だから、腕失ったタイミングで痛みが走るだろ?その激痛の中、回復を辞めずに仲間を救った行動を褒めるべきだろ?」
「…うん。とても偉いよ。でも腕を無くさない方法もあった。もっと冷静にって……」
「だ~か~ら!!腕失って冷静になれる訳ないだろ?!人間皆あんたみたいになれると思うな!!」
怒ったエリックは、ハッとし頭を下げた。
「すいません……口が過ぎました……。でも、先程の発言には納得出来ません。」
「……?腕を失うだけだよ?死ぬ訳じゃない。」
疑問に持つヒーリェは、服の下からナイフを取り出し左腕に向けた。
「っな?!」「え(え?)」
瞬間、ヒーリェの左腕が地面に落ちた。
血が吹き出し、骨が露見する。筋肉の断面がピクピクと動き、ヒーリェは首を傾げた。
「無くなっても、回復を使用したら元に戻る。」
瞬間、腕の断面から新しい腕が再生し、ヒーリェは左手を握った。
「こんな感じで、細胞さえ生きてたら回復出来る。そんなに難しいことじゃないよ?」
「……頭おかしいだろ…」
「…ぅっ……(グロい)」
ドン引きするエリックと吐き気を我慢するリーラ。地面に落ちたままの左腕は血液を流しながら動かない。拾い上げたヒーリェは、困った顔をし話し始めた。
「荷物増やしちゃったね。後で捨てとくよ。」
人間が最も嫌う感覚。
彼女には、【痛み】が欠けていた。
次回「休日 ロゼとセリア」
リーラとエリックの会話
「そう言えば、勇者学校の連中がリーラさんのこと【戦場のイカレ物】って呼んでましたけど、自己回復無しで回復し続けるからなんですね。」
「え?(初見)そ、そんな事言われてるの??(悲)」
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