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世代の勇者  作者: グミ
第四章「休日」
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第七十四話 [休日]「ライトとカイトとミスリラ」

前回、【ユニークスキル】のメリットとデメリットを聞いたロゼは、思い当たる事を考え直していた。

一方で、エリックに戦いを挑まれたヴァートだったが、一瞬にして勝敗を決めてしまう。

話し合いが終わった第二勇者パーティの面々は、各々休日へと入った。


【ライトとミスリラ】


楽しそうにはしゃぐ少女と共に、商店街を歩く金髪の勇者は、たくさんの荷物を両手に抱えていた。


「え~?!ちょーやばい!!こんなのオシャじゃんめちゃかわ~!!!」

▶︎第二王国前線指揮官【ミスリラ】


「なんのキャラ?」

▶︎勇者候補[光の勇者]【ライト】

ライトが覗き込むと、ミスリラは嬉しそうにキーホルダーを見せつけた。


「見て見て?!?!カピバラが人参食べてんの!!ちょー可愛い!!」

「それも買う?」

「ん~~ありあり。せっかくだし買っちゃおう!!」

「おっけ~」

支払いを済ませるミスリラ。

近くで荷物を確認するライトは、空を見ながら考えた。


「…ジンさんとやり合うのか……」

初めて出会った時、同じような天気だった。


「しっかり考えないとな……」

「どしたの?」

「…いや?買えた?」

「うん!!!」

ウキウキで荷物を詰めると、ミスリラはスキップしながら前を歩く。


「なぁ?」

「ん~~?」

「せっかくの休日だろ?やりたい事ないのか?」

「え?やってるじゃん?…あ~~……何?遠慮してる?」

「遠慮ってか……な~んかもやもやするんだよなぁ……」

再び空を見上げるライトに違和感を覚えたミスリラは、心配そうに呟く。


「…シャル先輩の事?」

「…いやシャルの所にはエデンがいるだろ?そこは心配じゃない。でもなぁ……」

「……?心配してくれてるの?」

「は?なんでだよ」

「……」

咄嗟に足を蹴られたライトは、驚き声を上げた。不貞腐れた少女は前を向き再び歩き始める。


「分かんねぇな…」

「そんなに悩むなら頼りなよ。ライト様って呑気なくせに悩み抱え過ぎです。」

「…悩みなぁ……」

「ほら!!私に何でも話してみて下さい!!」

誇らしく振り向いたミスリラは、胸に手を当てドヤ顔を決める。


「何に悩んでるか分かんないんだよな」

「えぇ……思春期ですか?まぁきっと、【ユニークスキル】の代償の話ですよね?」

「かも。と言うか……そもそも俺は…第二魔王軍とは戦いたく無かったんだよ」

「…元々仲間だったからですか?」

「……うん。」

「切ないですね。意見の相違が問題と聞いてます。詳しく聞くのは…野暮ですか?」

「野暮じゃない。……第二魔王軍統括の【ジン】さんは世話焼きでさ?俺とカイトはジンさんとノアさんに拾って貰ったんだ。同じく統括の【シャネス】さんは、アイリスさんの家族。……二人は間違いなく、【勇者】と呼ぶに相応しかった。」

「……ライト様が勇者候補に滞在している理由は、勇者への理想がジンさんやシャネスさんと重なっているからなんですね。」

「……そうかもな。」


落ち込むライトの目の前まで来た少女は、上を見上げ覗き込む。


「私にとっての勇者様にはライト様も入っていますよ?」

「うん。ありがとう」

「?素直ですね?いつもそれぐらい単純だったら可愛いのに。……でも、元気が無いのはヤですね。らしくないです。」

「…悪い。……心の準備が出来てない。」

荷物を地面に置くと、ライトはしゃがみ込んだ。


「ずっと……戻ってくるの…待ってたのにな…」

「…一緒にいるのが私で良かったですね~。新人くん達や特待生くんの前だと気を張っちゃいますし、私なら【ゲート】ですぐ部屋に帰れます。」

「……悪いな。ほんとに。」

「でもすぐには帰らせません。」

頬っぺを膨らませた少女は、座り込むライトの頭を右手で撫でながら左手で地面に【ゲート】を生成した。


「荷物は先直しましょう。ライト様には私の用事に付き合って貰いますからね」

「…用事って?」

「秘密です。」

「…仕事?」

「仕事じゃないと良いです。」

「?」

立ち上がったライトは、息を吸い込み前を向いた。


「……」

「ライト様?」

視点を下げ少女を見ると、ライトはにやけながら呟いた。


「マジでちっさいですね…」

「……?元気出た?」

「少しだけ」

「なら許しますよ。特別に」

笑うミスリラとライトは再び歩き始める。


食べ歩きしながら街を歩く。

門を超え、外を二人で散歩する。


「……私明後日誕生日ですよ。22歳の。」

「覚えてるよ。都合が悪いな。」

「早く戦いが終わったら、会いに来てくださいね。」

「任せろ。秒で向かう。みんなも呼ぼうか?」

「ん~ん。騒がしいのは苦手なので。」

道の外れに走ったミスリラは、川の目の前にしゃがむ。


「ライト様だけで来て欲しいです。」

「了解だよ。」

「…」

微笑んだ少女は、水面に反射する自分の顔に気付き手で隠した。耳を赤くしながら恥ずかしがる少女は、震えた声で呟く。


「ライト様は……その…好きな人とか…いますか?」

「……え?特に考えたこと無かったな…」

「……!…なら…告白された事とかって…」

「ん~~覚えてないなぁ…」

「!!……もし…もし私が…その…告白とかしたら…どう思います?」

「…いいなって思う。」

「っ!本当ですか?!」

「お、おう。ミスリラは真面目だし面白いし。絶対楽しいだろ。付き合ったりしたら。」

再び水面を手で揺らすと、少女は立ち上がった。


「…こう言う話って…めっちゃフラグですよね」

「おぉ。俺めちゃくちゃ怖かった。自覚あって良かったよ。」

「えぇ?…ま!私が危なかったら助けてくださいね?」

「任せろ。ちゃんと誕生日祝ってやるよ。」

風が吹き、水面が波立つ。咄嗟に振り向いたライトに、勇者は声を上げた。


「…ライト?」

▶︎勇者候補[魔神の勇者]【カイト】


「カイトじゃん?!もう来たのか??」

「聞いたのは昨日の夜だからな。遅い方だ。」

「!!勇者様!!おつで~~す!!!」

「…?ミスリラか?」

「えぇ…私の事忘れてましたぁ?3年ぶりですけど勇者様にとっては短くないですか?」

「嫌…3年前から1ミリも変わってないから驚いただけだ。」

「殺しますよ~(笑)」

「成長期が過ぎたとしてもレアだ。」

振るった拳を掴んだカイトは、ライトに報告する。


「第三魔王軍とも戦う事が決まった。戦闘は明後日。二国同時にだ。」

「マジか…まぁ第三にはアキラさんとジョーカーさん居るし…問題は第三魔王だな。」

「それも問題ない。第三魔王は第四魔王軍と取引をして、城を捨てたと情報が入ってる。攻めるなら今と言わんばかりだ。」

「あの!!このまま話すの辞めてもらっていいですか!!」

「!」

手を離したカイトは、焦り謝罪する。


「すまない」

「別に…手出したの私だし…てかそっちも戦争ならこっち来て大丈夫だったの?」

「特待生が来てくれるから人手は足りてる。それに第三魔王軍にブラッドが居ないと分かった以上、そこまで警戒する要素も無い。」

「そっか。ありがとうございます。心強いです。」

「うん。」

歩き始めたカイトに、ライトは焦って止める。


「ちょいちょい!!」

「……?なんだ?」

「突然別れようとすんなよ。せっかくの休みだしゆっくりしようぜ?」

「…第二魔王軍戦となると命の保証はない。今の内に知り合いとは話を済ませて起きたい。ライトはやるべき事をしたか?」

「えっ?」







あっ…そっか。







振り向き少女を視界に捉えた。

ずっと起きてたモヤモヤの正体は何だったのか。


「ライト様?」

「……」



今回の戦争で誰も死なないなんて事は有り得ない。


俺やカイト。ミスリラやノアさん。特待生や推薦入学者。……かつての仲間。ジンさんやシャネスさん。


誰も幸せにならない戦争に、違和感を感じてた。


でも。


「ただ死ぬだけだろ?そんな張りつめる事なくね?」

「……」

「えっ?」


金髪の勇者は笑いながら突っ込んだ。

命に対しての軽視。

彼の感情には、【命の重さ】が抜けていた。




次回「休日 ホープラスとラペン」

ミスリラとカイト


「ライト様って恋愛した事あるんですか?」

「…よく告白されてはいたな」

「え?!覚えてないって!!されてたんですか?!」

「…何回されたか覚えてないって意味だろう。」

「………カイト様ってライト様の昔からの親友ですよね?」

「そうだが?」

「カイト様もモテてたんですか?」

「いや、ライトが特殊なだけだ。」

「ふ~ん。そういうものなんですね…」


ライトが告白された回数

▶︎6000回以上 3回目から数えていない


カイトが告白された回数

▶︎5000回以上 自覚無い為告白されたと思っていない



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