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世代の勇者  作者: グミ
第四章「休日」
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第七十三話「【ユニークスキル】」

前回、勇者学校特待生【ロゼ】と勇者候補【ライト】が手合わせを行い、ライトが勝利した。雑談を挟みながら話していると、[魔法の勇者]【アイリス】の様態が悪化した。そしてみんなは、【ユニークスキル】について話を聞く事となる。

「デメリット?」

「うん」

頷いた勇者は人差し指でヒーリェを指し、その次に自分の胸に親指を押し付けた。


「【勇者】や【魔神】と言った別名は自ら名乗るものではなく、スキルと同じように授かる物だ。[盾の勇者]、[回復の勇者]、[光の勇者]。これらは【ユニークスキル】と言う。名の通り、同じ名前のユニークスキルは存在しない。」

▶︎[盾の勇者]【ラペン】


「【支配の魔神】も別名ではなく、ユニークスキルの名称なんですね?」

▶︎第二勇者パーティ所属【ヴァート】


「その通り。恩恵は大きく3つ。」

-----------------------

1、【ユニークスキル】獲得者には、無条件で【即死無効】を獲得する。


2、身体能力の向上。及び【促進(ブースト)】の発生条件緩和。


3、【試練】の強化

-----------------------

「これらが主なメリットだ。所有するだけで、ランクが2つぐらい跳ね上がると考えれば良い。」

「うわぁ…」

「質問よろしいでしょうか?」

▶︎勇者学校特待生【ロゼ】


「良いよ。」

「…【試練】とはなんでしょうか?」

「あ~……なんて言うべきか…ヒーリェ?言語化出来るかな?」

「難しいけど…例えば【精神離別暴走状態】の発生条件は、膨れ上がった感情のリミッターが壊れ、脳へのダメージ負荷が現れた際の生物的防衛本能と言える。要約すると、【感情の暴走】が条件だね。【試練】は、【精神離別暴走状態】に入った者のみが使用できる【記憶の具現化】って感じかな?基本的に【試練】の特徴は、人生のターニングポイントや、植え付けられた感情のスケールによって変わるって感じ?」


-----------------------

ヒーリェ短編小説「エンド」より


(ソード)(レイン)!!!」

▶︎魔王軍幹部[剣の魔神]【ソーディア】

「んだこれ?!」

▶︎[元盗賊兼旅人]【ライト】

「喋るな!!気が散る!!!」

▶︎[元盗賊兼旅人]【カイト】


「どうせ死ぬなら!!一緒に死のう!!!!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

第十三話「試練 その1」より


(ソード)(レイン)!!」

▶︎魔王軍幹部[剣の魔神]【ソーディア】

「?!」

(魔法詠唱?!両手両足を封じたのに発動できるのか??)

▶︎推薦入学者【ヴァート】


「どうせ死ぬなら!!一緒に死のう!」

叫ぶ青髪の男の全てをヴァートは警戒していた。しかし、魔法は発動していない様に見える。

-----------------------


「うぇ?!【試練】って暴走しないと使えないんですか?!?!」

「ん~~実例がないだけだよ。私も【試練】は使えないしね。」

「って事は……」

「…僕は使えるって事ですか?」

▶︎第二勇者パーティ所属【ホープラス】


「恐らくね。まぁいつか使えるようになるさ。…っとまぁ……メリットはここまで。…本題に入ろう。」

ラペンは笑顔を消し、人差し指を顔の前に立てた。


「デメリットは1つ。【ユニークスキル】獲得時、最も意思の強い感情を失う。失った感情は、【ユニークスキル】の覚醒を得て、再び戻る。」

「……」

「現役勇者9名と勇者候補4名の中で覚醒に達し、感情を取り戻したのは僅か4人だけ。俺やライト。ヒーリェやノア達ですら、その境地に達していない。」

「感情を…失う?」

唖然とするヴァート達。歩き始めた金髪の勇者は、意気揚々と話し始めた。


「目安がついてる人もいる。だが、それらは他者から教えられるのを極度に嫌う。【ユニークスキル】で感情が消えるのは、【精神離別暴走状態】と同じく防衛本能だ。自分自身の力で失った感情に気付き、無意識に除外した感情を受け入れ無ければ、覚醒は成せない。」

▶︎勇者候補[光の勇者]【ライト】


「それがほぼ不可能に近いって訳ですね~。自覚してる勇者様ですら僅か数名……そんなの無理無理。諦めるのが妥当~……って……勇者様に諦めって言葉は無かったですね……」

▶︎第二王国前線指揮官【ミスリラ】


ため息を吐き、やれやれと肩を落とす。


「……ラペンさん。」

「ん?なにかな?」

「…いえ……」

考え込むロゼは、【セリアリンク】の代償を思い出していた。


(……【ユニークスキル】…感情の消滅…。【セリアリンク】の代償と関係あるのか?)

「……?どーしたの?」

▶︎勇者学校特待生【セリア】


首を傾げるセリアの髪は、綺麗に靡き甘い香りがする。


「…いや?ほんとに何も。」

(他者からの教えられる事を極度に嫌う…か……)

「ふーん……」

疑問に持つ少女は、再び考え手を挙げた。


「質問!!!」

「どうぞ」

「…【試練】を使える人は暴走した事あるって言うけど、再暴走はあるんですか?」

「いい質問だね。今のところ実例は無いよ。でも、備えておく事に変わりは無い。」

「そっか!!」

嬉しそうに笑ったセリアは、ロゼをチラ見しホッとする。


「。?!?!なに?!」

「…べつにぃ?」

「……話は終わりでしょうか?」

▶︎勇者学校特待生【エリック】


「ん?あぁ。すまない。時間を取らせたね。そろそろ自由時間にしようか?」

「いえ…宜しければ、俺も1戦お願いしたいです。」

息をゆっくり吸ったエリックは、振り向きヴァートと目を合わせる。


「俺と彼らに…どれ程の差があるか」

「…俺?!?!」

「あ~…そう言えばエリックは元々推薦入学者だったね…」

「そうなんですか?!」

「破棄したって聞いたけど…なにか理由はあるのかな?」

「…話したくありません。」

「…そっか。ヴァートくん?行けるかな?」

「はい!!!武器は…模擬刀?」

「鉄剣でも」

「…模擬刀で!!」

軽く準備運動をしたヴァートとエリックは、互いに模擬刀を構えた。


「さっきと同じルールで行くよ?」

「ありがとうございます。」

「うっし……」

意識を切りかえエリックの構えに注目する。


「…似てますね」

「……」

心臓の鼓動が脳に響く程、集中力を研ぎ澄ます。

焦りさえしなければ…対応出来る…


「始め!!」


走り始めたヴァートは、全身に力を込め、地面を踏み込む。姿勢をさらに下げたエリックは、尋常じゃない速度の攻撃に焦って動いた。


パンッ!!!


「ぐっ?!?!」

(これがヘルアの同期?!予想の数倍強ぇ?!?!)

互いに鍔迫り合いに入り、体格の小さい少年に力負けする。


「ふっ!!!」

「……?!」

突如視界からエリックが消え、前に姿勢が崩れる。

攻撃を流して横に逸れ、がら空きの背中に一撃を……


パンッッッッ!!!!!!!!!!!!


「っな?!」

手に走る振動が肩にまで届き、エリックの背後に模擬刀が落下した。驚いた数秒を見逃さず、ヴァートは右手で地面を押し、そのまま右足をエリックの首に叩き込んだ。


「っ?!?!」

「勝者ヴァート!!!」

手を叩いた瞬間。エリックは目を開いた。

目の前で止まる右足は後ろに下がり、少年は息を整えた。


「……流石だ。」

「!ありがとうございます!!」

「…やっぱり……破棄して正解だった訳だ…」

自身の弱さを再認識したエリックは、深く目を閉じ開いた。


「微力だがこれからよろしく頼む。ヴァートくん。」

「はい!!」

握手する2人。驚いたホープラスは、アイスに呟いた。


「また一段と身体能力上がってますよね…スキルも使わなかったし…」

「……でも、手加減はしてないと思う」

▶︎第二勇者パーティ所属【アイス】


汗を流すエリックは自分より幼い強者に心の底から尊敬を抱いた。




次回「休日 ライトとカイトとミスリラ」

第二魔王軍戦は、「世代の勇者」において最大のターニングポイントとなり、最も長い第五章が始まります。


物語は急激に加速します。


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