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世代の勇者  作者: グミ
第四章「休日」
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第七十二話「混乱」

前回、【リンク】と【促進】の話を聞いたヴァート達は、久しぶりの休みに地面へ倒れる。

見上げる空は青く、鳥は自由に空を飛ぶ。

地面に倒れ上を見上げる黒髪の青年は、大きく息を吸い、吐き出した。


「……ファー村から出て、まだ二週間……あの頃はまだ、ホープラスにも出会ってないんだよな…」

▶︎第二勇者パーティ所属【ヴァート】


「…?森で出会った時の事ですか?」

▶︎第二勇者パーティ所属【ホープラス】

ヴァートの横に座り込んだ少年は、微笑みながら呟く。


「驚きましたよ……本当に。…まさかあの出会いからここまでの関係になるなんて。」

思い出に老けるヴァートとホープラスは、笑いながら話し始めた。


一方、リベンジマッチを頼み込む金髪の勇者に、紫髪の特待生は呆れた声を漏らす。


「1回!!1回でいいからさ?!」

▶︎勇者候補[光の勇者]【ライト】


「と言われても……流石に疲れたくないですし」

▶︎勇者学校特待生【ロゼ】


「逃げんの?!」

「はい」

「ごめんって!!ね?1回!!」

「……はぁ…悪いですが、戦わなくても力の差は歴然です。勇者様と特待生ですよ?何故そこまで勝敗に拘るんですか…」

「名誉の為に……!!」

「……清々しいですね。」

困り果てるロゼの後ろから、緑髪の勇者が声を上げた。


「怪我は治すし、やっても良いよ?」

▶︎[回復の勇者]【ヒーリェ】


「しゃあ?!やろ!!」

「…はぁ……」

首と指を鳴らし、ロゼはライトを視界に捉えた。


「手は抜きませんよ?…どこでやります?」

「うっしゃ!!ラペンさん!!フィールドお願いします!!!」

「はーい。元気だねぇ」

▶︎[盾の勇者]【ラペン】


手を開き正方形を作ると、ライトとロゼはバリアの中に閉じ込められた。


「範囲は50m×50m。勝利条件は深い一撃を与えた者の勝ち。敗北条件にはギブアップも入れる。まぁ…使わないと思うが」

「ねぇ?!ヴァート?!?!なんか戦うっぽいよ?!」

▶︎第二勇者パーティ所属【アイス】


「え?」

振り向いたヴァートとホープラスは、興味を示しバリアを覗く。剣を抜いたライトは、左手で鞘を持ち、右手で剣を構えた。


「鉄剣なんて使わないからね?普段使う専用の剣で行く。」

「必要な心配はご自身の身の安全では?」

「うっ…い、言うねぇ??」

一切構えを取らず、ロゼはラペンを見た。続いてライトもラペンを見る。


「……開始。」


パンッッッッ!!!!!!!!!!!!


瞬間ロゼの背後にライトが現れる。


「流石」

「…」

ライトの【光速】で薙ぎ払われた剣を、ロゼは風魔法で弾き返した。


「なになに?!?!何が起こった?!」

「たった今起こったことを説明するなら、【時間短縮】で【動作短縮】の発動と魔法発動時間を飛ばし、【動作短縮】で魔法が当たるまでの移動距離を飛ばす。それをする事で、【光速】よりも早く攻撃や防御が出来るって事らしい。テレポートみたいな物だよ。」

「うぇ?!」


鋭い眼光で睨むロゼは、【マナリンク付与】と【バリアリンク付与】を【動作短縮】で飛ばし、同時に獲得する。

「っぶね?!」


瞬間、ライトはギリギリで風魔法を避けた。しかし攻撃は終わらない。


「ほんっとに!!!」

ほぼゼロ距離に現れる風魔法を、【光速】で弾き飛ばす。秒間12回を超える鋭い風を弾く度、ライトの剣は光を纏う。


「……【促進(ブースト)】」

一太刀で全ての攻撃を捌き、距離を詰める。

腹に向けて叩き込まれた剣を、ロゼはバリアで封じた。


「マジ?!」

剣の先端から、バリアが生成され腕ごとバリアに飲み込まれる。細やかに練り上げられるバリアの繊維は、ライトが動く度に摩擦を生み、さらに縛りあげ熱を生む。


「?!?!っく……?!」

思考を許さないロゼの攻撃を警戒したライトは、咄嗟に攻撃を受け入れた。


パンッ!!!!!!!!!


「?!」

「っぶねぇ?!?!」

渾身の一撃をノーガード+顔面で喰らうことで、【即死無効】を利用し攻撃を無効化する。

一瞬の動揺を見せたロゼに、ライトは左脚を腹部に叩きつけた。


「っ?!」

「!!!しゃぁ?!」

「勝者!!ライト!!」

ラペンがバリアを解くと、ロゼもバリアを解除した。すぐにヒーリェが駆けつけ、2人は治療を受ける。


「更に強くなってるね?」

「…まぁ……努力を覚えましたので。」

笑顔で笑う2人に唖然とするヴァートは、大きな声で叫んだ。


「ロゼさん?!僕達相手に手加減してたでしょ?!」

「いやいや……ちゃんと負けたよ。」

笑顔のロゼは薄水色髪の特待生に視線を送る。


「…」

「アリシアちゃん連れてくれば良かった…」

▶︎勇者学校特待生【セリア】


「……(まぁ…そう直ぐに元気にはならないよね)」

目を瞑り【マナリンク】と【バリアリンク】を解除したロゼは、立ち上がり元気に叫ぶ。


「今日の宿は是非セリアと同室で!!!!」

「え~~~やだぁ」

「そう言わずにぃ~!!!」

「てか私アイスちゃんとリーラちゃんと同室が良い!!!!ねぇねぇ?!いいかな?!?!」

「えっと…(焦)」

▶︎第二勇者パーティ所属【リーラ】


「いいよ?!」

「やったね?!?!」

はしゃぐ女性陣を眺める男性陣は、互いに顔を見合わせる。


「なら俺らも同室か?」

▶︎勇者学校特待生【エリック】


「そうなりますね…」

「その前に風呂いこう?!?!」

「ありだね」

楽しそうに笑うみんなに、ライトは笑いながら割り込んだ。


「というか今日明日は僕達とも一緒だよ~」

「え?!?!」

驚いたヴァートの声を消し去る声量で叫んだセリアは、嬉しそうに辺りを見渡した。


「ヒーリェさんとアイリスさんとミスリラさんともお風呂に入れるってこと?!?!?!」

「あはは~お邪魔じゃなければ~」

▶︎ 第二王国前線指揮官【ミスリラ】


「よろしくね」

「…ん」

▶︎[魔法の勇者]アイリス


「お姉~~ちゃん!!!」

「……なに…」

「後で背中洗ってあげるね!!」

「…ん。私も流すね」

「え?!アイスちゃんとアイリスさんって姉妹なの?!?!言われてみれば遺伝子レベルで似てるね?!?!」

「……違…「そうなの!!!私達家族なんだぁ!!」

照れるアイリスは、ふと胸に手を当てた。

アイスにお姉ちゃんと呼ばれる度に、まるでほんとに…妹がいたかの様な感覚に陥る。


「…私の…空いた心に…関係してるの……?」

呼吸が苦しく、アイリスの視界はぼやけ始めた。

異変に気付いたノアとヒーリェは、すぐにアイリスを支える。


「……大丈夫か?」

▶︎[剣の勇者]【ノア】


「何か……大切な…」

「お姉ちゃん?」

「私の……######の…記憶が…」


何なのだろう

分からない

何故分からないのだろう

こんなに心が苦しくて、

こんなに思い悩んでいるのに、

いざ思い出せそうになると……

いつも視界にノイズが走る。


思い出したくないもの?

嫌な思い出?

…私はなんで……


「…なん…で……」

崩れ落ちる身体を抱き抱えたノアは、涙を流しながら目を瞑るアイリスの涙を拭う。


「…すまない。俺とアイリスは一旦別行動だ。」

「ノア?」

「大丈夫。…氷の後輩?」

「はい!!」

「風呂の時には戻らせる。……背中流してやってくれ。」

「!!はい!!!えっと?!お大事に??」

微笑んだノアは、足早に庭から姿を消した。


「…まぁ……いつか話さないといけない事だしね…ついでに…【ユニークスキル】について話しておこう。」

ラペンが腰掛けると、深刻な表情に変わった。


「着眼すべきは……デメリットのデカさだ。」



次回「【ユニークスキル】」

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