第七十一話「【促進】」
前回、勢揃いした第二勇者パーティに、特待生のロゼ、セリア、エリックの姿があった。それぞれ挨拶を交し、ミスリラの情報の元、第二魔王軍戦での配置が公開される。それに加え、シャルが襲撃を受けた話も聞く事となった。
聞き馴染みの無い言葉に困惑する黒髪の青年の隣から、白髪の少女が手を挙げた。
「【リンク】って【マナリンク】の事かな??」
▶︎第二勇者パーティ所属【アイス】
「それもその一つだね。【リンク】から説明しよう。」
▶︎[盾の勇者]【ラペン】
ラペンが目線を逸らすと、察したアイリスとヒーリェが隣に座った。
「基本的に種類は3つ。魔法には【マナリンク】。バリアには【バリアリンク】。そしてスキルの【リンク】だ。アイリスは無意識に【マナリンク】を使用している為、今回指導はロゼくんに頼もうと思う。良いよね?」
「是非とも。お任せ下さい」
▶︎勇者学校特待生【ロゼ】
「ありがとう。【リンク】とは、繋ぐと言う意味だ。その名の通り、マナ、バリアと繋がり、更なる詳細な情報を獲得できる。バリアとマナを使っていたら、マナ切れや耐久性の問題がある。普段は、感覚で捉えているはずだ。【リンク】する事で、あと何秒持つか、どれ程耐えるかを詳細に理解することが出来る。」
人差し指で丸をなぞると、丸いバリアが出現した。
「例えばこのバリア。ホープラスくんとロゼくんは、どれ程の耐久値があると思う?あっ!バリア使わない人にも説明すると、素手で殴られると耐久値が1減ると思ってくれ。人を閉じこめる為には、最低でも2000は必要になる。」
「……バリアの薄さや生成方法を考慮すると、1500程では無いでしょうか…?人を捕まえる事は出来ないと思います。」
▶︎第二勇者パーティ所属【ホープラス】
「確かに。指でバリアの形状を決め、生成するやり方はかなり古いやり方だね。ロゼくんはどう思う?」
「500000000です。」
「5億?!?!?!」
「うん。正解。【リンク】の最大の強みは、他者のバリアやマナの情報すらも分かる事だ。」
右手を握ると、バリアは解除され消滅した。
「続いて…【促進】についてだ。外に行こうか?」
立ち上がったラペンは、部屋の外に歩き始めた。
慌てて起き上がったヴァートは体の軽さに驚く。
「わぁ?!」
▶︎第二勇者パーティ所属【ヴァート】
「…?あ、ごめんね。私の回復は常時発動してるから、近付いただけで完治しちゃうの。突然体が元気になって驚いたよね。」
▶︎[回復の勇者]【ヒーリェ】
「いえいえ?!ありがたいです!!」
「うん。元気だね。」
ラペンに続いてヒーリェも外に出る。はずだったのだが、出口のすぐ近くで止まっているラペンに疑問を持った。
「…?どうしたの?」
「いや、待っててくれて助かったと思って。」
「そりゃあ待ちますよ~。勇者様を歩かせるなんて私の心が痛いです~」
▶︎ 第二王国前線指揮官【ミスリラ】
「いつも助かるよ」
「いえいえ全然!!広めの広場に移動しますか?それとも第二王宮庭でいいですか?」
「庭で頼む」
「は~い【ゲート】。おひとり様特別価格になっておりま~す。」
「ツケで頼むよ」
「はいは~い」
「私もツケで」
「ヒーリェちゃんは良いよぉ!!てか女の子みんな無料だよ~」
「やった。」
ラペンとヒーリェが【ゲート】の中に消え、アイリスとノアも続く
「俺もツケで~」
▶︎勇者候補[光の勇者]【ライト】
「だめだよ~ライト様は通常価格~」
「なんでだよ?!」
「日頃の行いですね~」
「ぐっ…」
ポケットをガサガサと探るライトは、止まり呟いた。
「無いので……なんか今度言うこと聞きます。」
「2回」
「……2回…」
「どぞどぞ~またご利用ください~(笑)」
どこから取り出したか分からないベルを鳴らし、満面の笑みで【ゲート】の前から退いた。
「ライトさん……」
「これ……俺達通って良い奴なのか……?」
▶︎勇者学校特待生【エリック】
「是非ともご利用下さい~」
「……普段の……値段は…?」
「やだなぁ~特別価格って言うのは、私の場合無料って事ですよ~」
「あっ!そうなんですか?!」
「ライトさんだけ……(可哀想)」
▶︎第二勇者パーティ所属【リーラ】
みんなが続々と入り、最後にロゼが【ゲート】を潜った。
「…何してるんですか?」
【ゲート】から顔を出すと、ライトが足元に横たわっていた。
「…やるね」
「転ばそうとしてたんだよ……」
▶︎[魔法の勇者]【アイリス】
下を向いたロゼは、にっこりしながら呟いた。
「…僕に負けた腹いせですか?」
「んぁ?!負けてないが?!てかバラすなし?!」
「なになになんの話し~?てかはよ進みなよ!っわぁ?!?!」
「あっ」
後ろから押されたロゼは横にズレると、ミスリラがライトに躓き転んだ。
「いった~~なに?!」
ライトの上に覆いかぶさったミスリラは、目の前の顔を見て薄めになった。
「いや……これは…その……」
瞬間ライトの頬を抓り罵倒する。
「分かるよ大丈夫~可愛い女の子にちょっかい掛けたい年頃の男の子~……いくら払う?」
「……お金無いので言うこと+5回聞きます…」
「OK許す。」
立ち上がったミスリラに、ノアが仲裁に入った。
「後輩は特待生にちょっかい掛けるつもりだった。悪意は無い。」
▶︎[剣の勇者]【ノア】
「……ん?それはそれで腹立つな。」
「ノアさん?!余計なこと言わないで貰えますかね?!?!」
「あと特待生には負けてた。」
「あの?!?!」
「事実だろ?」
賑やかな勇者御一行に驚きを隠せないヴァートは、ロゼを見て質問する。
「勝ったって……戦いですか?」
「ん~まぁね……」
「そこぉ?!情報操作辞めな?!?!」
「はいはいストップストップ!!【促進】の話するって言ったでしょ?!」
ラペンが更に仲裁に入ると、1回咳払いをして話し始めた。
「ホープラスくんとロゼくんは、過去に【精神離別暴走状態】に入った事があるよね?」
「……?」
「【暴走状態】の事ですか?」
「あ~正式名称は知らなかったか。まぁとにかく。【促進】の1つがあれだ。そして暴走せずにあの力を発揮する行為が、【促進】と呼ばれる。ノア?良いかな。」
「…」
頷いたノアは、みんなの前に立ち話し始めた。
「複数のパターンがある中で、俺が使うのは【加速】だ。」
「……ん?【加速】って…ゴードのスキルと同じですよね?」
「そうだな。様々な場所で見たことはあるはずだ。例えば、バリアの後輩の高速移動。」
-----------------------
【第五十三話「【精神離別暴走状態】」より】
「########」
▶︎[精神離別暴走状態]【ホープラス】
「な…」
▶︎推薦入学者【リーラ】
ゼロ距離で生成されたバリアの棘は、リーラの心臓を貫いた。
-----------------------
「破壊の後輩の擬似付与」
-----------------------
【第五十話「ヘルアVSゴード」より】
「エンチャント魔法?!」
▶︎推薦入学者【ゴード】
「なわけねぇだろ応用だ」
▶︎推薦入学者【ヘルア】
風が模擬刀を加速させ、同時にゴードの体を引き寄せる。
-----------------------
「……」
「特待生のスキル連続発動と、魔法の強化」
-----------------------
【[短編小説]ロゼ「崩壊」より】
(んだそれ?!?!)
▶︎[光の勇者]ライト
【動作短縮】で振り向きと魔法詠唱を飛ばし、【時間短縮】で魔法発動と着弾時間を飛ばす。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ソニックブーム…【動作短縮】【時間短縮】風魔法、ここまで相性の良い条件が揃うと厄介……)
「######」
▶︎[精神離別暴走状態]【ロゼ】
「?!」
(目に見えない攻撃…動作…速さにおいて……)
喋りだしと同時に【光速】で横に逃げる。かすった風は頬を切り裂き、肉を抉る。
「ぐっ?!」
(俺より早い……)
-----------------------
「攻撃とスキルの共鳴」
-----------------------
【第六十九話「夢の壁」より】
「だめだめ~今は俺に集中しないと」
▶︎[光の勇者]【ライト】
「ちっ…」
▶︎第一魔王軍幹部[支配の魔神]【クースト】
【光速】を発動し、距離を詰める。左手に握られる剣は光を纏い、ライトは笑った。
「あっ……これこれ」
クーストの右腕を切り落とし、再度追撃。秒間に10回以上の斬撃を受け、切り落とした右腕は面影もなく消えた。
「君も…それが出来るんだね?」
「感覚でな!!」
-----------------------
「この様に、各自【促進】を見る機会は充分にあった。【精神離別暴走状態】を制御し、自身の能力として使用する。他の言い方をするなら、【覚醒】と言う。」
「……」
唾を飲み込んだヴァートは、昨日の経験を思い出していた。
-----------------------
【第六十八話「覚醒する者」より】
剣を構える黒髪の少年は、息を吸い呼吸を止めた。
瞬間クーストの背後30m程に移動し呟く。
「【光速】」
▶︎第二勇者パーティ所属【ヴァート】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「【記憶】【魔神の勇者】【データ】【再現】/【再現】【反射】【未来予知】【位置交換】【必中】【暗殺】」
「…!まだ戦うんだねぇ!!良いね。君は殺さず【支配】しようかな?」
▶︎第一魔王軍幹部[支配の魔神]【クースト】
呼吸を落ち着かせるヴァートは、【120%】を発動した。
-----------------------
「あれが【促進】……」
「君達には、【リンク】の理解と【促進】の経験を積んで欲しい。これが、僕達からの課題だよ。」
汗を流したヴァートは、嬉しそうに笑った。
「はいは~い!!講座は終わり。各自しっかり休んでね!!…今回はほんとにちゃんと休みだからね!!」
大きな声で話したラペン。休みと言う単語を信じれなくなりそうな程、昨日の出来事に疲れが増した。
「っはぁぁぁあ!!!疲れた?!?!」
「選抜戦と……魔王軍幹部戦……1日でしていい運動量超えてるって?!?!」
「本当にお疲れ様でした~」
倒れ込んだヴァートとアイスに、ホープラスは微笑んだ。
第二魔王軍戦まで……残り2日
次回「混乱」
ご覧いただきありがとうございました。いいねと感想。ブックマーク登録も是非是非!!!それでは!!!




