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世代の勇者  作者: グミ
第一章 「王国」
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第六話 「相性」

ヴァートとアイスとホープラスは酒場で情報を集める為にサード村へと訪れるが、奇襲を受けてしまう。赤ローブの男「ザーク」を閉じ込め、残りは4人。


西  赤ローブ「ザーク」 撃破

北西 青ローブ

北  黄色ローブ

北東 緑ローブ

東  紫ローブ

残りの反勇者組織は青、黄色、緑、紫の4人。ヴァートとアイスは一番近い青のローブを倒しに向かった。


「どっちが多く倒せるか勝負しようよ!」

▶︎白髪の少女【アイス】


「協力なんだから勝負する必要ないだろ…」

▶︎黒髪の少年【ヴァート】


「そっか!」

こんな時でもアイスはヴァートと張り合おうとしている。しかし、アイスの言った一言がヴァートの心に火を付けた。


「負けたら私。何でもするよ?」

「じゃあ勝負スタート!!」

アイスの速さに合わせて走っていたヴァートは、自身のトップスピードの限界を引き出して、アイスとの距離を広げた。


「あ!!ずるい!待ってよヴァート!」

驚いたアイスはヴァートを引き留めたがヴァートは既に視界から消えていた。


「よし!このままのスピードでアイスから距離を保ちつつ、峰打ちでローブ全員気絶させれば俺の勝ち!この勝負貰った!」

ヴァートが走り出してすぐに青のローブを着た男が7人ほどの旅人と戦っているのを発見した。


ヴァートは剣の鞘を右手で持ち渾身の一撃で青のローブの男の首裏を叩いた。


ドンッ!!


かなり鈍い音がした。青のローブの男は地面に倒れ、気絶する。筈だった。


青ローブの男の首に鞘が触れる瞬間鞘は粉々になり、本来与える筈だった衝撃をヴァートが受けた。


「ガァ?!」

自分すら認める渾身の一撃を防御なしでまともに喰らった。ヴァートは10メートル程吹き飛ばされ、朦朧とする意識の中で、一つの答えを見出した。


「…物理…反射か」

「その通りだ」

▶︎反勇者組織[青ローブ]【ギル】


青ローブの男は周りの旅人に目をくれず吹き飛んだヴァートの方に近付いてきた。 


「えらく速かったな?何者だ?ランクは?最低でもBは超えてる様だが?」

ヴァートはクラクラする頭を上げ、重い体で立ち上がった。

(やばい…まともに喰らった。幸い鞘だったから死なずに済んだが…もしスキルが"物理反射"なら俺に勝ち目はない…ただ…魔法やローブに物理反射のカラクリがあるなら勝機はある!)


「ヴァートだ。ランクはまだ決まってない。」

(時間を稼いでまだ考えろ!魔法なら消耗させれば良いし、ローブなら奪い取れば良い!)

「ザークを倒したのか?…まぁ良い。ザークを倒したとなるとやはりBランク以上の強さな訳だ。」


徐々に近づいて来る青ローブに警戒しながら作戦を練っていると、後ろから声が聞こえた。


「あーーーー!!やっと追いついた!」

「!!」

「何だあの女は?」

物理反射がある以上ヴァートは相性が悪いがアイスには関係ない。このままだと手柄を一つ奪われる。


(くそ!こいつは相性が悪すぎる…一旦アイスに譲って黄色のローブを倒しに行くか。)

ヴァートは青ローブの男から距離を置き、同時にアイスが魔法の詠唱を始めた。


「アイスロック!」

青ローブの男の周りから分厚い氷の柱が生え、青ローブの男に攻撃した。


「あっ?!?!」


声を上げたのはアイスだった。

服には水晶の様な氷のかけらが付いていた。


「アイス?!」

ヴァートは思わず息を呑む。魔法攻撃は物理反射じゃ効果を発動できない。アイスの魔法を反射したと言う事は…


「魔法反射」

砕けた氷の中から青ローブの男は笑いながら答え、ローブに隠していた刀を抜く


「お前らに勝ち目は無いんだよ!」

素早く振り下ろされた刀にヴァートは焦って剣でガードした。


「チッ…よく動くな」

ヴァートはすぐに体制を戻し、青ローブの男から距離を置く。しかし、青ローブの男は距離を詰めて来る。


「逃げんなよ」

再び振り下ろされる刀。ヴァートは剣で弾こうとするが手を止める。


ガキーン

金属がぶつかる音が辺りに響く

「チッ…またかよ」

「やばいな…」

(物理反射だから、武器を弾く事すら出来ない…こいつの攻撃が遅すぎるから癖で反撃しちゃいそうだ…やっぱり…この手しか無いな…)


ヴァートは倒れているアイスを担いで青ローブの男から距離を取った。


「ん?どうした?ビビったか。」

少しずつ近づいて来る青ローブの男に目もくれず、ヴァートは振り向き大きな声で叫んだ。


「すぅぅぅぅぅ!!今だぁぁぁぁぁぁあああ"あ"!!!」

その声量に担がれていたアイスはびっくりし、堪らなく泣く。


「うるさいぃ。」

「ごめん!でも今はこの手しか無いから!」

一か八かの駆け引き。もし声が届いてなかったら。声が届いていても見てなかったら。そんな不安を吹き飛ばし、高台の上から少年は答えた。


「了解」

▶︎黒髪の少年【ホープラス】


      〜〜〜第六話 「相性」〜〜〜


途端青ローブの周りに薄水色のバリアが生成され、青ローブを一瞬で閉じ込めた。


「なんだ?!」

青ローブの男はバリアを何回も叩くがピクリとも動かない。


「なんだよ!くそ!閉じ込められた!!」

必死にバリアを叩いている青ローブにヴァートは近づき煽り始める。


「物理反射も魔法反射も閉じ込められたら意味ないな!」

「うるせえぞクソガキ!つか!お前の手柄じゃないのに出しゃばってんじゃねぇぞ!!」

「あーはいはい。反射反射ーー。旅人さん達!コイツこのままにしとくんで、勇者様来るまで見張ってて下さい!」

「は、はぁ。分かりました」

「おい待てガキ!話はまだ終わってねえぞ!」

騒ぎ立てる青ローブをガン無視し、アイスをおんぶして黄色のローブの元へ向かう。


「大丈夫か?」

「うるさかったぁ…」

「ごめんって」

一度泣きモードに入ったアイスはよっぽどのことがない限り、気持ちを切り替えてくれない。


「強かったな…」

「うん…」

「ホープラスが居なかったら負けてたかもな」

「うん…」

「もう泣くなって!今回は俺の負けだ!この戦いが終わったら、俺が何でもやってやる!」

「ほんとに?」

「本当だ!」

「わかった」

アイスは涙を手で拭い、ヴァートに強く抱きついた。


「なんだよ?!」

「何でもない!!!」

ヴァートはくっ付いたままのアイスを連れて黄色のローブの元へと走った。



次回 「3人」


パーティーメンバー情報

ヴァート(15歳)剣士

アイス(15歳)魔法使い

ホープラス(14歳)盾使い Aランク


敵情報

赤ローブの男「ザーク」(34歳)短剣使い Aランク

青ローブの男「ギル」(35歳)

→エンチャント使い(魔法) / Aランク

→スキル「魔法反射」 エンチャントローブ「物理反射」

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