第六十四話「因縁」
前回、第二魔王軍の見習いと仲良くなったヴァート達だったが、バンの爆発音にて食事を止める。
暴れるバンを止めるためレトと共に向かうが、バンの目の前に【支配の魔神】クーストが現れていた。
【テン村】正面入口
「…」(【120%】で情報が見えない…)
汗を流すヴァートは、深呼吸する。
「先に言っておく…俺は実戦経験初めてだ……」
▶︎第二魔王軍所属【レト】
「…了解」
「…俺のスキルは【未来予知】。狙って使えるわけじゃないが、基本ピンチの時は発動する。」
「!助かる。仲間の情報は知っておきたい。」
▶︎第二勇者パーティ所属【ヴァート】
「ごちゃごちゃと煩いなぁ。僕の目的は【玩具】の回収のみだった。それを【悪化】させて…【勝手】に【被害】を増やそうとしてる…【理解】出来ないなぁ。」
▶︎第一魔王軍幹部[支配の魔神]【クースト】
右手の人差し指を曲げると、触手が2本出現する。
「仕事は少ない方がいい。分かるだろ?」
瞬間、1本目の触手が動き始めた。
軌道の見えないそれに、薄緑髪の少年は対応する。
「【反射】」
▶︎第二魔王軍所属【アイ】
「それ…腹立たしいよね……【実力】の伴ってない【弱者】が、スキルの能力だけで【強い】と【錯覚】する。……スキルがなければ…もう既に死んでるってのにさぁ?」
地面に倒れているバンに右足を乗せると、笑いながら評価する。
「その点この子は良い。やたらスキルを発動するが、身体能力の才は目を見張る物がある。口さえ閉じさせれば、良い【道具】になるだろう」
2本目の触手がうねり始めると、瞬時に伸びアイを攻撃する。瞬間アイは消え、黒髪に白いメッシュの男が出現した。
「はぁ?!?!」
動揺する男。彼の着る青色をしたローブに触手が触れる寸前、目に止まらぬ速さで伸びた触手がクーストへ【反射】した。
「またこれか」
ドンッ!!!!!!!!!
「おい待てやソラ!!状況説明せず呼び出す事はねぇだろ?!?!」
▶︎反勇者組織[青ローブ]ギル
「ナイスソラ!!ギル協力しろ!!評価挽回可能だぞ!!!」
「ガキに指図されて溜まるか……って?!お前あの時の?!」
ギルはヴァートを見るなり怒りをあらわにした。
「…え?」
「言っとくが!!俺はお前には負けてねぇからな!!!」
「えっと……」
見たことない顔に戸惑うヴァートだったが、ローブを見るなり理解する。
「あんたか……」
(【物理反射】と【魔法反射】持ちの奴か…)
剣を強く握り、呼吸を整える。
(アイくんが消えてこいつが出現した……恐らくキザさんと同じ【位置交換】を持つ人がいる…【反射】二人と【未来予知】、リーラさんの回復と【異常回復】。【位置交換】によるカバー……時間を稼げばホープラスとアイスも戻ってくる。)
息を飲み、汗を流すレトに覚悟を決めて問いかけた。
「ここの村にいる中で、近接戦闘が得意な仲間の数は?」
「5人。バンと俺とカイ。1人は過去に戦ったことがあるはずだ。」
「……反勇……【赤ローブ】か?」
「正解。昼間はそこまでだが、【暗殺】スキルは夜に牙を剥く。もう1人は【位置交換】が通じない……」
「って事は、ランクが2つぐらい上って事か……頼もしいな。」
「その点すぐ連れて来れない。騒ぎに気付いてくれればいいけど……」
「ごちゃごちゃと……」
「「?!」」
煙を手で払ったクーストは、土を払いながら歩き始めた。
「寄ってたかって…弱い生き物はすぐ【集まる】。光源に集まる蛾の様に、自ら光を放つことが出来ない【無能】の集まり。【変化】を試みず【進化】を止める。どうせ【協力】したら倒せる~とか【甘い】【幻想】抱いてるんだろうけど……」
ニヤニヤしていた口はゆっくり閉じ、半目になったクーストは呟いた。
「一人でやる気力すら無いのなら、それはもう出来ない事なんだ。諦めなよ。」
「理解出来ないな」
「……はぁ?」
「ずっと一人で生きていくより……」
---------
(行ってらっしゃい)
---------
「誰かと生きて、助け合って…」
-------------------
(僕をパーティに入れてくれませんか?!)
-------------------
「辛い時に背中を押してくれる」
--------------------
(笑顔!!)
(仲間が笑ってたら大丈夫って思うでしょ?)
(大丈夫?!?!)
--------------------
「みんながいないと。俺は今ここに居ない。」
「で?何が言いたい訳?この子にも言われてたけど……また【助けて貰う】のかな?【助ける】側に回ることは無い。と?」
イラつきを見せ始めたクーストに、ヴァートは笑顔で回答した。
「不甲斐ないけどな!!俺は助けて貰う事が得意みたいだ。でも絶対勇者になる!!人を助ける英雄になる!!」
「…ぅざ」
▶︎反勇者組織[緑ローブ]バン
「はは!だとよ魔神!!」
「……なんだ。意識あったんだね。」
「おいヴァート!!!俺とお前はまだ正式に勝敗着いてねぇんだ!!!俺に殺されるまで死ぬんじゃねぇぞ!!!!」
「…君は…口だけがどうしても【必要無い】みたいだ」
パンッ
まるで日常の様に、不思議とすら思わせないモーションで放たれた触手は、バンの頭を貫通した。
肉片と血が飛び散り、静かになった【それ】にクーストは喜びの声を漏らした。
「…うん。いいね。凄く良くなったよ。」
「……え」
「バン!!!!!!!!!」
剣を構え走り出したレト。それに反応して触手が伸びる。
「お前!!お前!!!!!」
「そんなに【大切】だったかな?第二魔王軍は相変わらず…【仲間思い】だねぇ。」
「【120%】!!!」
剣を強く握ったヴァートは、背中に駆け巡る鳥肌と湧き上がる怒りに身を任せ、走った
次回「実感」
ご覧いただきありがとうございます。いいねと感想。ブックマーク登録も是非是非。それでは。




