第六十三話「価値観」
前回再開した【ヴァート】と【バン】は衝突する。
新しい武器、【折り畳み刀】の剣劇をものともしないヴァートだったが、2人の前に赤髪の青年【レト】が現れる。
騒がしい宿は笑い声が飛び交う。
「これうっま?!?!この肉まだある?!」
▶︎第二勇者パーティ所属【ヴァート】
「ヴァート!!これも食ってみろよ!!名産品らしいぞ!!」
▶︎第二魔王軍自称見習いリーダー【レト】
打ち解けた二人は、目をキラキラさせながらご飯を頬張る。次々におかわりする2人を見つめる青髪の少年は、嬉しそうに笑った。
「……。なんだ。良い人じゃん」
▶︎第二魔王軍所属【ルーブ】
メガネを上げると慌てた様子で振り向き、薄緑髪をした少年に話しかける。
「勇者って…ブラッドさんに酷いことした人達じゃないの……?」
「…?分かんないけど。多分勇者にも色んな人がいるんだと思うよ?」
▶︎第二魔王軍所属【アイ】
目を開かない少年は、笑顔で食べ物にかぶりつく。
「ふーん…」
「…!!なぁヴァート!!わざわざ第二魔王軍周囲の村に来た理由ってなんだ?」
「ちょ…レト!!」
「んだよ。俺が言わなくても言っただろ?」
「そこじゃない!!……ったく…」
天井を見上げたヴァートは情報を抜き出すために、控えめに質問した。
「……第二魔王軍と第三魔王軍が手を結んだって…本当?」
「…?そうなのか?いつの話?」
「1週間前。情報が流れてきた。」
「ふーん。ガセだろ。第三魔王軍って言えば、The悪者だろ?流石に手は組まないって!」
「…そっか。ならよかっ」
ドカンッッッ!!!!!!!!!!
「?!」
外から大きな爆発音が響く。窓はガタガタと震え、振動が部屋を揺らす。
「ったく…ガキかよあいつ」
立ち上がるレトは、外を見ながら呟いた。
「……?あいつ誰?ヴァートの仲間か?」
呼ばれ、視線を外に移す。赤く燃えるバンの目の前に、紫と白の髪をした男が立っていた。
「…いや?知らない」
「ってことは民間人か?!まじあいつ手当たり次第かよ!!!」
「俺も行く!!狙いは俺だ!!!」
「助かる!!」
2階の窓を飛び出し、地面に足をつける。
日は落ち、月が顔を出していた。
「だから!!俺に指図すんじゃねぇ!!」
▶︎反勇者組織【バン】
「【威勢】が良いだけの【実力不足】。それを理解しない【脳】。【言葉遣い】も正してあげよう。君はもっと【強く】なれる。」
バンの頭を掴み、呟いた瞬間。男は2人を視界に写した。
「「?!?!」」
「おや?何か用かな?」
▶︎第一魔王軍幹部[支配の魔神]【クースト】
冷たい目線が体を止める。足の指1本に至るまで、その迫力は、思考や心臓の鼓動すらも……
「【異常回復】!!!!(焦り)」
▶︎第二勇者パーティ所属【リーラ】
「?!っ?!?!」
(息!!息しろ俺!!!意識持って行かれた!!!)
「回復助かる?!?!…なんだよこの威圧…」
武器を構えたヴァートとレト。
沈黙するクーストは、バンの頭から手を離し、頭を傾げた。
「【警戒】した?初対面で武器を突きつけられる人の【気持ち】が分からないなんて、【理解力皆無】。せめて質問だけでも答えるのが【平和】への一歩だと思うけど?それとも、君たちは【悪者】なのかなぁ?」
「……ヴァート?2歩下がれ…首飛ぶぞ」
「…?!舐めん…」
「頼む」
「…おう……」
言葉通り2歩下がった瞬間、レトは大きな声で話しかけた。
「……そこの馬鹿が迷惑かけた。ただ連れ戻しに来ただけだ。面倒事は避けたい…」
「……ふん。【馬鹿】ってこの子の事?まぁ否定はしないけど…名前があるならそっちで呼ぶのが【仲間】なんじゃないの?あと……この子はもう僕のだから……ごめんね?」
「え?」
「…?分からなかったかな?この子は僕の【仲間】になったから、大人しく帰りなよ。それとも、【奪おう】としてるかな?」
「いや……奪うも何も!バンは俺達の仲間で!!」
パンッッッ!!!!!!
「…【否定】【決めつけ】【思い込み】。主張すれば【思い通り】になると【勘違い】する【生物】が産まれるのは何故だろう?」
「レト?!?!?!」
「……だぃ…じょおぶ!!見えてたから!!でも?!」(おっも?!?!?!)
触手のような斬撃を防御するレト。ヴァートの後ろから走って来た薄緑髪の少年は、斬撃にナイフを当て呟いた。
「【反射】」
▶︎第二魔王軍所属【アイ】
「ん?」
【反射】した斬撃は、クーストへと向かい直撃した。倒れ込みそうなレトを抑え、汗を流す。
「大丈夫?!」
「ナイスカバーだアイ!!!いやまじ助かった!」
「【宣戦布告】と捉えても良いんだよね?いやぁ…【遠慮】なく【攻撃】するなんてまぁ。親の顔が見てみたい」
「…ダメージ無し……」
(本当に遠慮込の攻撃だったのか……?【物理反射】は以前に経験したけど…かなりのダメージだった…)
剣を握るヴァートはレトに目配せし、息を吸った。
「…守るぞこの村」
「当たり前!!バンも取り戻す!!」
剣先が月を反射する。
微笑むクーストは、深く。ため息を吐いた。
次回「因縁」
ご覧頂きありがとうございました。いいねと感想。ブックマーク登録も是非是非それでは!!




