第六十二話「出会いと恋 その3」
前回、テン村へと足を運んだヴァート達だったが、突如現れた第二魔王軍所属【カイ】によって、二手に別れることとなる。
ご飯と宿を先に済まそうとするヴァートの元に、因縁のある相手、【バン】が奇襲を仕掛けてきた。
刃が交差し、金属音が辺りを奏でる。
「バン!!!!!」
「うるせぇよクソガキィ!!」
右足に固定された刀は、ヴァートの剣を弾く。瞬間刀身は消え、そのまま右足で着地したバンは、左足を振り上げた。
ギャン!!!!!!!
不快な金属音が響き、左足から繰り出された刀身を弾き距離を取る。弾かれたバンは、器用に左足から着地し、バク宙。反動を消し両足で着地した。
「何の用だよ」
「あ"?見てわかんねぇかクソゴミカスてめぇゴラァ?両腕無くなって生活すら危ういってのに、加害者がどの面下げて質問してんだぁ?」
「なら次は徒歩すら危ういな?」
「ほざく様になったな守られくん。今度はそこの女に守って貰うってか?」
「え、っと?(困惑)」
「……」
(【記憶】はもう使えない……両腕が無いとはいえ、あの足についてる武器が厄介…)
汗を垂らしながら剣を構えると、バンは嬉しそうに左足を浮かせた。
「すげーだろ。折り畳み刀ってんだ。第二魔王軍のジジイが付けてくれた。使いこなすのに1週間も掛かったが、これなら殺すのに手も要らねぇ」
「お前の足は機動力だろ。得意の爆発移動も昔と比べたらスピードが落ちたみたいだったが?」
「魔法にわかの分析程おもしれぇもんはねぇな!!てめぇ俺が足からしか出せねぇと思ってるだろ?」
「違うのか?」
「…違わねぇ。だがてめぇは広く捕らえすぎだ。」
バンッ!!!!!
「?!?!」
(ノーモーションで?!)
踵を爆発させ回転しながら前に出たバンは、指の間から鋭い爆発を起こし加速した。
「重心前剣の持ち方…」
「?!」
左から横向きに振る剣の、更に下まで加速したバンは、計2回の起動調整を行い間合いに入る。
「ビビったろ。俺の身体能力!!!」
左足の刀身を剥き出しにし、ヴァートの横腹に叩き込む。
キャンッ!!!!!!
「は?」
弾かれた刀身に驚いたコンマ、ヴァートの剣筋がバンを襲う。
バサッ!!
スレスレで避けたバンの前髪は切れ、ヴァートは息を吐きながら呟いた。
「遅すぎ」
「あ"?!」
「……凄い(驚)」
「はぁ!!はぁ!!!まてまてまて!!!」
「?!」
突然走ってきた赤髪の男に、ヴァートは警戒する。
息を切らしながら顔を上げた男は、バンに向かって怒鳴った。
「おまっマジ!!…大人しく……っはぁ…」
▶︎第二魔王軍自称見習いリーダー【レト】
「うるせぇガキその2!!今お前の説教聞く余裕ねぇーんだよ」
「ガキじゃねえ!!はぁっ…そこの……黒髪の…え?あぁ。ヴァートって君のこと?」
「?!」
(名前?!なんで?!)
「いやいやバン。彼が教えてくれたじゃんか!!」
「……あ"?」
「……あぁ…いや、こっちの話」
息を整える【レト】は、辺りを見渡すと右手を開いて笑顔で接近してきた。
「いやぁかっこいいね?!勇者の卵!!どんなことが好き?!俺は…」
「まっ?!」
警戒していた相手が急接近した事に驚いたヴァートは、反射的に剣を振った。しかし剣は、赤髪の男の開かれていた右手に捕まれ、目の前までの接近を許した。
「大切な人を守る事が好き。君は勇者志望だよね?」
「……え?」
想像と違う回答に戸惑うヴァート。
その隙を狙ったバンの動きに合わせて、レトが右手を下ろすと、バンの首裏に直撃しその場に倒れ込んだ。
「?!?!?!」
「君は何を守る為に正義を名乗ってる?」
「お前……どっちの味方だよ」
「…ごめん?!警戒してる?!大丈夫!!俺はさっきの【カイ】の仲間!!悪いやつじゃないから安心してよ!!」
「って事は……第二魔王軍?!?!」
「ん~…本拠地はね。別に俺らは魔王軍じゃないし。なっ!みんな!!」
「え?!」
レトが振り向くと、至る所から人がわらわらと現れた。
「マジそれな!!魔王軍と一緒にすんなし」
▶︎第二魔王軍所属【ソラ】
青髪の髪を靡かせる女の子は、後ろを振り向くと、笑顔で叫んだ。
「ほら!!本人だと緊張するでしょ!!…お仲間さんから仲良くしとかないっと!!」
「え、わぁ?!」
勢いよく引き出された女の子は、顔を真っ赤にしながら叫んだ。
「あの!!っ!!!ホ、ホープラスくんのことをぉ!!教えてください!!!!」
▶︎第二魔王軍所属【ヒューラ】
「……いや?!待ってくれ!!突然の事で何が何やら……」
(【120%】の情報だと、敵意は無い……こんな大勢なら俺達2人をいつでも始末できるって事か…?)
困惑するヴァートに、しがみついたリーラは、人混みの多さに頭から煙が上がっていた。
(2人が帰ってくるための時間稼ぎ……相手に敵対心を向けさせないように立ち回るしか……)
「あの……?だめですか…?」
「えっと……ま、まずご飯食べてからで良いですか…?」
(…………雰囲気に流された?!?!こんなの通るわけないだろ俺のアホ!!!!)
「うちの宿で食ってく?!」
「えっ!はい!!」
(通った?!?!)
手を引かれるヴァートとリーラは、第二魔王軍所属の愉快な仲間たちと、ご飯を共にすることとなった。
次回「価値観」
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