第四十五話「戸惑い」
前回。勇者学校特待生と連戦していたヴァートは、ランキング三位の特待生[キザ]と戦う。模擬試合中、ヴァートはキザに"魔王軍からの宣戦布告"の情報を伝えられた。
勇者学校を離れ、街を歩きながら話すヴァートとホープラス。アイスは、勇者学校での出来事を、脳内でリピートしていた。
「…ヴァート?」
「だから…。ん?どうした?」
「今日は一緒に寝たいかも……」
「?うん。良いけど…」
「…分かりました。では、一度解散して明日の朝、王宮に集合しましょうか?」
「?おう。ホープラスは今からどうするんだ?」
「僕は、もう一度勇者学校に戻ります!バリアの話…教えて貰ってないので…」
「あ〜…そう言えばスキルの事も聞けてなかったな…。王国でやる事終わったら俺達も戻るよ!」
「聞いてくるので大丈夫ですよ!ヴァートさんはアイスさんと宿探して休んでて下さい!!」
「?分かったけど…良いのか?」
「はい!では!!」
急足で戻るホープラスに手を振り、残されたヴァートとアイスは、話しながら王宮に向かった。
第四十五話「戸惑い」
街を歩きながら、景色を眺める。ヴァートとアイスは、一言も喋らず数分立っていた。
「…」
「…」
「…」
(気まずい……。あれ?今までどう接して来てたっけ?)
横目でアイスを見ると、透き通る様な髪は靡かれ、光を反射する白い瞳に吸い込まれそうになった。目を離し、再び脳内で思考を巡らせる。
「…」
(くそ…分かってる…分かってはいたんだが……。アイスって改めて見ると…凄く可愛いよな…ぁあ馬鹿!!何考えてんだ俺!!)
咄嗟に両手でほっぺを叩き、思考を戻す。
「…?!?!」
「…」
(よし…まず勇者様に出会って、情報伝達を…)
「…?」
(ヴァート…どうしたんだろ…全然話しかけてくれない…。せっかくホープラスが二人にしてくれたのに…。あれ?私が話しかければ良いじゃん?なんで待ってたんだろ…)
アイスは口を開けると、ヴァートを横目で見た。引き込まれそうな黒い髪。少し伸びた身長。合わせてくれる歩幅。アイスは目を離すと、街を見ながら考えた。
(カッコいい?!?!うん!!ヴァートはカッコいいんだ!!普段は可愛いのに、ふと見ると…やっぱり男の子なんだな…て感じ…あれ?私…いつもどう接してたっけ?)
///「ヴァート好き!!」(ハグ)///
「…」
(出来るわけ無いじゃん!!!はぁぁぁあ私のばかばかばか!!うぅ…なんか…妙に緊張する…)
///「大好き…です…」///
「…」
頭がショートしたアイスは、顔を真っ赤にしながら下を向いた。
「…ヴァート?」
「!どうした?」
「…ま、また…抱きしめて欲しいな?」
「……おう…夜でも良いか?」
「はぇ?!」
予想外の返答に、アイスは脳がパンクした。
「ぅ…あ…へ?」
(夜?!?!?!?!?!?!え?!それって…え??えぇ?!?!?!)
「なんだよ…先に言ったのはアイスだろ?」
(…寝る時いつもくっ付いてたしな…久しぶりだし、俺もゆっくり寝たいしな…)
※ヴァートは性知識が無かった
すれ違う二人の思想。鼓動の早くなるアイスと、会話出来て喜ぶヴァートは、偶然。意外な人物と出会う。
「あれ?」
「え?」「あ!!」
灰色髪の青年は少し笑顔になり、ヴァートとアイスに握手しようと手を伸ばした。
「昨日ぶり!えっと…?」
勇者ランキング四位[普通の勇者]グレー
「昨日振りです!!ヴァートと申します!!」
「あ、アイスです!!」
「いやいや!!そんなに固まらなくても良いよ?僕はグレー。よろしくね?ヴァートくんとアイスくん。」
「はい!」「はい!」
握手をし、キョロキョロするグレーは、ヴァートとアイスを路地裏まで案内した。
「よし!!特訓だね?」
「ぁえっと!!その前に伝えたい事が!!」
「?何かな?」
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勇者学校での出来事を話し、驚くアイスと少し考えるグレー。
「…なるほど?」
(…まぁあり得ない訳じゃ無い…。最近問題が多い2つの魔王軍は、アキラさんも警戒してた。問題は…情報源……)
「あの…俺らはどうしたら?」
「……情報提供者と話がしたい。罠の可能性もあるしね。まぁまず…勇者学校に魔王軍の一人がいる事自体問題だ。秘密にしてと言っていた様だが…安全面を考えて監視するべきだろう。二人は休んでて良いよ。…あっ!特訓しないといけないんだったね?」
「…いや!!時間がある時で良いですよ?」
慌てるヴァートを見て、笑顔になったグレーは、困惑しているアイスの後ろに立つ緑髪の男性に話しかけた。
「…サオ?お願いしても良いかな?僕は今から勇者学校に行くから」
「…おう。行ってきや?グレーさんの頼みとなればなんでもするで。…レッドはこのままナイ村に行ってもらうわ。トパーズは王宮。報告必要やろ?」
元魔王軍幹部ランキング六位[防具の魔神]サオ
「?!ぅえ?!」
「びっくりした?!?!」
「いつも助かるよ。」
「ん。」
目の前から消えたグレーにも驚くと、サオはヴァートとアイスの肩を触る。
「えらい可愛い選抜勇者やな?名前は?」
「!ヴァートです!!」「アイスです!!!」
「おう。元気で何より。疲れてないか?特訓言ったって体を動かす事が特訓とは限らん。休憩が必要なら休んでもええで?」
「大丈夫です!!」
「私も!!」
「…そか?なら場所変えよか?」
振り向いたサオは、笑顔で叫ぶ。その言葉は、不思議と二人の気持ちを高めた。
「半日で次元を変えたるわ!!グレーさんの期待に答えないけんからな!!取り敢えず…」
「4thランク以上に鍛えたる。」
次回「試練 その3」
レッドとトパーズは…
「あ?!グレーさんどこだ?!…!!しまった!!メスどもに連れ去られたか?!」
「グレー様の服♩ご飯、食材、料理器具♪あ!寝不足みたいだしアイマスクも買っとこう!!」
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